LNG供給会社「甲賀エナジー(株)」が貯蔵タンク増設、エリア内のエネルギーユーザーにほぼ全域で供給

100kℓ×2基、より安定的な供給基盤を確立

 天然ガス供給会社「甲賀エナジー株式会社」(本社:滋賀県甲賀市、社長:加藤泰平〔岩谷産業株式会社 常務取締役〕)は11月5日、100kℓ貯蔵タンク2基の増設工事を終え、完成検査を受けた。これにより、同社では貯蔵タンク5基、計500kℓの貯蔵能力を保有することとなり、より安定的な供給基盤を確立する。

 甲賀エナジーは岩谷産業、関西電力、甲賀協同ガスの3社の共同出資により、平成17年7月1日に設立され、平成19年1月より工業用大口需要家向けの直接供給を開始。同年5月よりは、簡易ガス事業者から一般ガス事業者へ移行した甲賀協同ガス(供給戸数約3,000戸)への卸供給を行なっている。

 甲賀エナジーの天然ガス供給実績は、平成19年度で10,000トン超、供給先としては卸供給を含め数社であったが、平成20年9月末には全14社へと増加した。今後、新たに数社との取引が確定しており、これによりエリア内のエネルギー使用ユーザーのほぼ100%に供給することになる。平成21年度末での供給見込み量は約16,000トン、22年度末には約18,000トンを見込んでいる。

 同事業におけるLNG供給は、岩谷産業が関西電力の堺LNGセンターからローリーで輸送したLNGを、甲賀エナジーのサテライト基地で気化する。工業用の大口ユーザーへは基幹導管を用いて直接供給を、家庭用・商業用のユーザーへの天然ガスはエリア内にある2ヶ所の整圧器を通じて、甲賀協同ガスへ卸供給を行っている。

 これまでLNGの供給は、既存の都市ガス事業者による導管での供給が一般的だったが、規制緩和を背景にした法改正により、近年、LNG供給ではさまざまな供給方法が確立されてきた。このような状況のもと、岩谷産業では、クリーンエネルギー供給および、地理的要因や、顧客の要望に合わせた柔軟なエネルギー供給を行なう観点から、従来のLPG事業に加え、同じガス体エネルギーでかつCO2排出量の少ないLNGの供給にも積極的に取り組んできた。甲賀エナジーにおける取り組みは、低温ガス供給の物流や貯蔵などに多くの経験を持つイワタニならではのものとして、新たな可能性を提案する意味でも非常に大きな注目が集まっている、一定エリアへの供給体制構築としては、今回の貯蔵タンク増設でほぼ完成形となる。

■会社概要 

(1)商号

: 甲賀エナジー株式会社

(2)設立日

: 平成17年7月1日

(3)本社所在地

: 滋賀県甲賀市水口町ひのきが丘12番地

(4)社長

: 加藤泰平

(5)資本金

: 355百万円(岩谷産業㈱ 56%、関西電力㈱ 34%、甲賀協同ガス㈱ 10%)

(6)事業内容

 

 

 

 

: ①都市ガスの製造、供給及び販売

  ②ガス供給設備の設計、施工及び管理

  ③ガス機器・設備の販売、レンタル、リース、設置及び保守管理

  ④都市ガス供給事業に関する技術指導及びコンサルティング

  ⑤前各号に付帯または関連する一切の業務

 

 ■設備概要

(1)LNGタンク

: 100kℓ貯槽 5基(従来3基に、今回2基増設)

(2)気化器

: 2組 合計4,500m3/h (従来3,000 m3/hに今回1,500 m3/hを増設) 

(3)その他

 

: ①熱量調整設備

  ②付臭設備 他

 

 ■岩谷産業グループのLNG事業

(1)エル・エナジー株式会社
  関西電力株式会社との合弁(2000年設立)
  事業内容:LNGの直接供給 
(2)株式会社エル・エヌ・ジー中部
  中部電力株式会社、コスモ石油株式会社との合弁(2000年設立)
  事業内容:LNGの直接供給 
(3)北陸エルネス株式会社
  北陸電力株式会社、中部電力株式会社、新日本石油株式会社との合弁(2001年設立)
  事業内容:LNGの直接供給

※(1)(2)(3)の合弁会社でのLNG販売量合計は約30万トン/年。

※上記のほか、東日本では東京電力(株)よりLNG供給を受け、2008年1月より岩谷産業単独でLNG販売事業を展開。