カイロスと資本業務提携し、8K 技術を医療現場へ導入、手術室関連事業拡大

 エア・ウォーターは、2018年2月27日付で、超小型・軽量の8K硬性内視鏡カメラを開発したカイロスとの間で資本業務提携を行い、同社が実施する第三者割当増資の引き受けにより同社株式の21.5%を取得した。
 今後、カイロスが有する8K技術を活用した手術室ビジネスの強化・拡大を図るため、2018年7月31日付をもって同社に対する出資比率を80.1%に引き上げ、子会社化する。

 エア・ウォーターグループの医療関連事業は、高度化する先端医療現場である病院の最新設備から、医療用ガス供給、病院業務のアウトソーシング受託、設備機器のメンテナンス業務、地域のクリニックや在宅医療等に至るまで、多岐にわたる製品・サービスを提供している。
 近年、手術においては、器具の性能や医師の技術の向上などにより、従来の開腹術に比べ患者の身体的負担がより少ない内視鏡下での手術が増加傾向にあり、それに伴い、内視鏡カメラの販売台数も堅調に推移し、今後も安定した需要が見込まれている。

 カイロスは、世界に先駆けて高精細な8K技術を使った硬性内視鏡カメラを既に製品化(医療機器届出済み)。8K は、2K(現行のハイビジョン)に比べて16倍の高解像度で、自然界の色が実物に限りなく近く表現できる広色域性、速い動きもスムーズに捉える高フレームレート、明暗をくっきりと表現できる高ダイナミックレンジといった特長を有している。
 現在、外科手術用内視鏡カメラの市場は2K が主流だが、8K 硬性内視鏡カメラの導入により、さらに高精細で高画質の撮影ができる。これにより、手術空間の視野が拡大し医師の負担軽減につながるとともに、より安全で正確な手術が可能となる。カイロスでは、さらにこの8K技術を眼科や脳外科手術用の顕微鏡などへも応用した製品を現在、開発中。

 エア・ウォーターでは、手術室映像管理システムやシーリングアーム(天井吊りシステム)、「エコウス」術中カメラ、ICUベッド、小型手術用鉗子、腹腔鏡手術用商材などの周術期(入院、麻酔、手術、回復といった術中だけでなく術前・術後を含めた一連の期間)医療製品を取り扱い、手術室・ICUの施工、設備、機器ビジネスの拡大を図っている。カイロスとの資本業務提携により、8K 硬性内視鏡カメラとエア・ウォーターの周術期医療製品との連携を図り、手術室ビジネスをさらに強化するとともに、今後海外においても同様のビジネス展開を図る。

【カイロス株式会社の会社概要】
本社所在地:東京都千代田区神田駿河台2-3-16
代表者:代表取締役会長 千葉 敏雄 (医師、医学博士)
事業内容:医療用8K硬性内視鏡カメラおよびシステムの開発・製造・販売
資本金 :116百万円
設立:2016年2月

 カイロスが開発した8K硬性内視鏡カメラ「KairoScopeカ イ ロ ス コ ー プ-E」は、8K スーパーハイビジョン技術を応用し、現行(2K)ハイビジョンの16倍の高解像度。8K硬性内視鏡のカメラヘッドとしては、超小型・軽量(約370g)で、手術の現場で医師が長時間、軽々と持つことを可能にした。視力4.27※1に相当する鮮明な高画質に4倍デジタルズームで、術野局所を見やすくし、安全かつ効率的な内視鏡手術を実現する。
※1:ハイビジョンを視力1.07相当とした場合

 一般的な内視鏡手術とは、体壁に5~10ミリ程度の孔を開け、内視鏡を挿入して手術部位の様子をモニターで見ながら行われる、体に負担の少ない手術。内視鏡手術は、開腹手術や開胸手術などと比べて非常に小さな創で済むために患者の身体への負担が少なく術後の回復が早いこと、それにより入院期間の短縮と早期社会復帰が実現でき、医療費の抑制に繋がることが大きな利点となる。