「通信機能付きガス漏れ警報器」をIoTのゲートウェイとして活用

 岩谷産業は、一般家庭に設置するガス漏れ警報器に通信機能を付加することで、様々な「モノ」をインターネットにつなぐゲートウェイ(中継基地)として機能する新技術(特許申請中)を開発した。

 岩谷産業の LP ガス事業は国内最大規模の顧客基盤を有しており、全国の顧客に対して緊急時には 30 分以内に保安作業員が現場に駆け付けられる体制を確立している。今回開発した新技術は、その強みをベースに IoT 技術を活用することで、顧客の生活を様々な場面で支える新しいサービスの提供を目的としている。

 「通信機能付きガス漏れ警報器」を用い、ガスメーターとのデータ通信を行う。これにより遠隔で検針情報を取得したり、トラブル時にガスを遮断したりすることが可能になる。顧客にとっては、ガスの使用状況をタイムリーに確認できることに加え、ガス切れの心配がなく安心してガスを使うことができる。また、将来的には「通信機能付きガス漏れ警報器」をハブとして、その他のインフラメーターや家庭内の IoT デバイスと接続し、岩谷産業の全国に広がる拠点を活用することで、高齢者の「みまもりサービス」や健康管理など、新しいサービス・価値を提供するプラットフォームを構築する。

 これらのサービスを提供するには通常、各機器をインターネットに接続する必要があるが、岩谷産業が開発した技術では、すべての機器を直接接続する必要がない。「通信機能付きガス漏れ警報器」は 1 台の親機で 10~20 台の子機を設置することができる。ガスメーター等、各機器からの情報を子機が集約し、親機を介してデータセンターへ送信する。各機器~子機間、子機~親機間の通信は近距離無線通信等の通信費の掛からない通信網を活用し、親機~データセンター間の通信のみ通信費が必要となる携帯電話回線や今後普及が見込める無線通信方式であるLTE-M や NB-IoT 等を活用する。これにより各家庭当たりの通信費を大幅に抑えることが可能。

 家庭に広く普及しているガス漏れ警報器を IoT のゲートウェイとすることで、専用の機器を導入することなく、IoT ネットワークを構築することができる。「通信機能付きガス漏れ警報器」の取付は、顧客宅で通常のガス漏れ警報器の取付工事を行うだけで完了する。また、ガス漏れ警報器はそれぞれ独立した電源を持っているので、通信機能付加のために改めて電源を確保する必要がない。