大陽日酸が銅ナノ粒子による 導電性ペースト開発

大陽日酸は耐熱性の低いPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム基材上に金属ペーストを印刷・低温焼成することで、導電配線を形成することが可能な銅ナノ粒子を用いたペーストの開発に成功した。プリンテッド分野のRFタグや微細配線、感圧センサーなどへの用途展開が期待され、今後ペーストサンプルの提供を行う。

PETフィルム上に形成した銅ナノ配線(RFパターン)

従来、PETなどのフィルム基材上に導電配線を形成する手法としては、エッチングプロセスが一般的だが、工程が煩雑で真空蒸着装置などの高価な設備が必要となる。銅ナノ粒子などの金属ナノ材料は、バルク金属よりも低温で焼結できることから、耐熱性の低いPETフィルム基材上に安価で簡便なプロセスで導電配線の形成が可能になるが、金属ナノ材料を利用した導電性ペーストは熱焼成法において数十分程度の長い焼成時間が必要であったり、短時間で焼成できる光焼成法では基材との密着性に課題があった。

大陽日酸は独自開発の酸素燃焼による金属ナノ粒子の合成技術で銅ナノ粒子を合成し、粒子径100nm程度で、表層が亜酸化銅で被膜された粒子(乾粉)を開発した。従来の湿式プロセスで合成されたものとは異なり有機保護膜が無いため、焼結時のアウトガスが少なく極めて焼結性が高く、かつひび割れの少ない焼結膜を得ることが可能となった。

この銅ナノ粒子を用い、バインダーおよび溶媒の配合を最適化させることで、基材への密着性が良好な導電性ペーストの開発に成功。本ペーストを用いて、PETフィルムなどの基材にスクリーン印刷し光焼成することで、比抵抗10^5Ω・cm前半レベルの導電性を確保しながら、屈曲耐性やテープ剥離耐性があることを確認した。