メトラン、英クロメック社と緊急用人工呼吸器に関するライセンス契約で合意

 人工呼吸器や酸素濃縮器、CPAP装置などの開発製造を行う株式会社メトラン (Metran Co.,Ltd.、以下メトラン。本社=埼玉県川口市、 新田一福〔Tran Ngoc Phuc〕代表取締役会長)は、英国クロメック社(Kromek社)と緊急用人工呼吸器に関するライセンス契約に合意した。クロメック社は放射線検知やX線に関する高い技術をもった英国企業で、医療分野、原発、スクリーニングなど幅広いマーケットへ測定器や分析機器を提供している。

 この合意に基づきクロメック社は、新型コロナウイルス対策として英国でメトランの緊急用人工呼吸器を製造・販売する。

 メトランは合意に基づき、すでに詳細な設計データと製造ガイダンスをクロメック社に提供しており、英国での使用許可が下り次第、2020年4月中にクロメック社で緊急用人工呼吸器の製造を開始する。クロメック社では8週間で1,000台、12週間で2,000台を製造する計画。

 メトランでは、この数ヵ月間の新型コロナウイルスの蔓延による人工呼吸器に対する引合いはこれまでにないほどのものとなっているとし、この問題の解決に貢献するには、同社の製造能力だけでは足りないと考え、国内外を問わず製造能力を増強する手助けをしてくれるパートナーを探していた。

 クロメック社は、メトランの提案に最初に応えた企業の一社で、クロメック社CEOのArnab Basu氏および同社チームと緊密に協力を進め、メトランの緊急用人工呼吸器を英国で製造し、英国その他の国の医療施設に提供が可能となった。メトランでは、「当社が持つ人工呼吸器での経験と、クロメック社が備えている先端電子機器の設計および製造技術を組み合わせれば、コロナとの戦いに大きな貢献が期待」できるとしている。

 クロメック社のCEOであるArnab Basu博士は「英国の日本領事館を通じて、国際貿易省から多大なる援助を受け、速やかにこの技術移転を実行に移すことができました。当社の製造技術とメトラン社の実績ある技術とを組み合わせれば、この素晴らしい人工呼吸器をすぐに製造して、国民健康サービスが感染症と戦っている前線に届けることができます。当社からこの機器を購入すると、North Eastでのコロナとの戦いに貢献するだけでなく、この地域での安全および雇用創出に寄与することになります。この計画がこれほど迅速に実現できたことに対し、メトラン社のチームに感謝したいと思います」と述べている。

 技術グループであるクロメックグループ(グローバル本社:カントリーダラム)は、テルル化カドミウム亜鉛(CZT)による高性能の放射線検知装置その他の先端技術を開発するトップメーカー。自社が持つコアな技術プラットフォームを用いて、クロメック社は、医療、セキュリティスクリーニング、原子力市場に向けたX線およびガンマ線の撮像装置や放射線検知製品の設計、開発、製造を手がける。