エア・ウォーター、遠隔診療支援システム「NOALON(ノアロン)」を開発

 エア・ウォーターは、遠隔診療支援システム「NOALON(ノアロン)」を開発し、5 月 11 日(月)より販売・レンタルを開始する。新型コロナウイルス感染症が拡大する中、本システム導入により集中治療室(ICU)での感染管理を強化することで、集中治療専門医など医療従事者の感染リスク低減に寄与するとともに、ICU 不足にも対応する。

「NOALON」の活用イメージ:ICU での感染管理を強化
「NOALON」の活用イメージ:ICU での感染管理を強化

 重病患者の治療を専門とする集中治療専門医は、国内に約1,820 名(2019 年4 月時点)しか存在せず、高度急性期医療をカバーする施設では医療の質低下が懸念されている。直近においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴い、院内での感染リスク低減が課題となるとともに、ICU ならびに集中治療専門医の不足が叫ばれている。

 こうした状況を踏まえ、エア・ウォーターは医療の質向上ならびに患者の利便性向上への貢献、医療の地域格差是正など地域医療の充実を目指し、遠隔診療支援システム「NOALON」を開発。ネットワークを使用して医療支援センターと遠隔地の医療施設を結び、多種多様な医療機器情報を含む患者情報を共有することで、医師と医師とのコミュニケーションをサポートする。また、既存ICU への「NOALON」導入により、院内外で患者の容態監視が可能な環境を構築することで、医療従事者の感染リスク低減に寄与する。

 エア・ウォーターの医療関連事業は手術室、ICU などの病院設備工事、医療用ガス供給、病院業務のアウトソーシング受託、設備機器のメンテナンスから、衛生材料や注射針、在宅医療に至るまで、多岐にわたる製品・サービスを提供する。特に、高度急性期医療分野では手術室、ICU をはじめとした病院設備工事、医療情報システム、各種医療機器・器具などを総合提案している。

 今後もますますニーズが高まるICU の改修・新設に対して、「NOALON」をはじめとする製品・サービスをトータルで提案、提供することで、医療従事者にとってより安全なケア環境を提供し、患者へ必要な医療を届ける設備を提供していく。

「NOALON」の概要

 NOALON は医療施設間をネットワークで接続し、共通の画面を見ながら遠隔で支援を行うシステムで、患者映像、生体モニター、電子カルテ情報や呼吸器をはじめとした各種医療機器情報を1つの画面で確認できる。接続する医療機器は医療施設ごとに選択可能で、テレビ電話、メッセージ機能、アノテーション機能 ※1 などを活用したリアルタイムな情報伝達により、円滑なコミュニケーションを支援する。

  1. 製品名: 遠隔診療支援システム「NOALON(ノアロン)」※商標登録済
  2. 基本構成
    • クライアント(支援先): 本体、カメラ、マイク、生体情報モニター入力装置搭載NOALON カート
    • サテライト(支援元): 本体、カメラ、マイク
  3. 基本仕様: 音声と映像によるWEB 会議機能、映像配信、画面共有、メッセージング機能、アノテーション機能
  4. オプション: 医療機器接続デバイス、映像入力ユニット、ハイスペックカメラ、映像記録装置、専用ネットワークの提供等
  5. 価格
    • サテライト(支援元)+1 クライアント(支援先):レンタル価格 約67 万円/月~(保守費用含む)※販売価格は別途問い合わせ
    • サテライト(支援元)+5 クライアント(支援先):レンタル価格 約275 万円/月~(保守費用含む)※販売価格は別途問い合わせ
  6. 導入目標: 販売・レンタル開始から3 年間で100 施設

※1:クライアントから送られてきた画像(電子カルテや放射線画像等)に、タッチペンで画面上に指示を書き込める機能
※2:本製品のご利用にはインターネットや閉域網等のネットワークが必要。クライアントは複数施設での導入も可能。

「NOALON」活用例:一般病床・会議室などを陰圧対応の病室へ改修

 ICU 並みのケアが必要な患者が急増した場合の、臨時的な病床の増加を想定し、一般病床や会議室などをICU 化するための改修工事も対応可能。必要に応じて医療ガス・電源設備を増設することで人工呼吸器など医療機器の使用を可能にする。エア・ウォーターが提供する陰圧空調装置や集合病室を半個室化する「ハードスクリーン」(指定薬剤で清拭可能な樹脂材を使用した間仕切り)を設置することで、空気感染や飛沫感染を低減することが可能となり、院内での新型コロナウイルス蔓延の防止対策を支援する。さらに、「NOALON」の設置により病室外からの容態確認が可能となり、医療従事者が病室に出入りする回数を減らすことで感染リスクの低減に寄与できる。

イメージ図:一般病床などをICU 化
イメージ図:一般病床などをICU 化

エア・ウォーターグループが提案するICU の将来像

 今回の新型コロナウイルス感染症拡大を受け、エア・ウォーターグループにおける ICU の将来像を以下のように提案する。ICU を構築するために不可欠な医療ガス・電源設備はもちろんのこと、患者の容態をどこからでも確認し、遠隔地からでも診療支援を行える環境を構築していくことが必要とし、「NOALON」をはじめとして、各種映像デバイス、サーマルカメラなどを設置することで容態を24 時間365日監視することができる。また、光触媒技術により優れた抗菌性、抗ウイルス性を持つ壁用のセラミックパネル「ハイドロタフ」を使用することで、ICU 内を清潔に保つ。さらに、急速に普及するAI 医療にも対応できるシステム開発に着手した。

イメージ図:ICU の将来像
イメージ図:ICU の将来像