帝人、ヘルスケア事業へのコロナウイルス感染症の影響は軽微

 在宅医療事業を行う帝人ファーマと帝人ヘルスケアを含む帝人グループは、5月8日に2020年3月期連結決算を発表し、医薬品と在宅医療からなる国内ヘルスケア事業は好調を維持、2021年3月期の見通しでも国内ヘルスケア事業は販売増を見込み、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は軽微で、安定したキャッシュ創出力を有するとした。

 帝人グループ全体の2020年3月期連結の売上高は8537億4600万円(前年同期比3・9%減)、営業利益562億0500万円(同6・3%減)、経常利益543億3700万円(同9・8%減)、親会社株主に帰属する純利益252億5200万円(同44・0%減)で、減収減益だった。

 在宅医療分野と医薬品分野を含むヘルスケア事業は売上高1539億円(前年同期比2・3%減、36億円の減益)、営業利益326億円(同8・2%減、29億円の減収)だった。国内医薬品や在宅医療は好調だったものの、欧米での医薬品「フェブリク」が後発品の影響を受けて減益となった。

 在宅医療分野では、在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)市場において睡眠時無呼吸症候群診療ネットワークの構築に注力し、契約施設数の増加により機器のレンタル台数が順調に伸長した。また、在宅酸素療法(HOT)市場において、携帯型酸素濃縮器や統合型酸素濃縮器(ハイサンソi)の展開等により、高い水準のレンタル台数を維持した。

 帝人グループの新型コロナウイルスへの対応としては、自社の製品、サービス、ノウハウを最大限に活用した社会への貢献として、次の取り組みを行っている。

  • 医薬品・医療機器の安定供給、医療サービスの継続的提供
  • 医療現場への医療用ガウンの提供(ディスポーサブルタイプ、ウォッシャブルタイプ)と医療用ガウンの型紙公開
  • 治療薬の検討に対する吸入ステロイド喘息治療薬(一般名:シクレソニド)の供給体制確保
  • 人工呼吸管理に対する、自社開発・生産する酸素濃縮装置の増産体制確保
  • 「知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言」に発起人として参画

 また決算及び今期業績見通しの質疑応答の中で、在宅酸素療法(HOT)の呼吸管理システムの新型コロナウイルス感染患者への使用可能性について、いつでも対応できるように準備していると述べた。

 2021年3月期の見通しでは、新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な消費の落ち込みや生産活動の停滞等、世界経済が大きく減速する中、帝人グループにおいてはヘルスケア事業領域やIT事業においてはその影響は限定的としたが、マテリアル事業領域においては販売量の減少に伴う収益の減少を想定する。