星医療酸器 2020年3月期連結決算

 星医療酸器の2020年3月期連結決算は売上高108億7800万円(前年同期比0.5%増)、営業利益10億3700万円(同20.1%減)、経常利益10億7500万円(同18.5%減)、親会社株主に帰属する純利益7億3400万円(同15.6%減)だった。年間配当金は普通配当10円増配の50円。

セグメント別概況は次の通り。

【医療用ガス関連事業】

 売上高は33億4700万円(前年同期比0.5%減)、セグメント利益は1億9300万円(同48.9%減)。医療機関数の減少、グループ病院の台頭、医療用炭酸ガス需要増加、療養型医療機関の医療区分変更による酸素使用量の減少、日帰り手術の増加等、処置や手術の技術進歩により術後のリカバリー時に使用する酸素等は減少となった。公定価格が実質上の収益メリットとなりにくい環境のもと、配送コスト、原価を意識した製品価格の見直し、また医療用酸素ガス充填時にかかる電気料金の割引率の見直しを行うなど、ランニングコスト全般の見直しによる経費の効率化に取り組んだ。

【在宅医療関連事業】

 売上高は45億5100万円(前年同期比3.2%増)、セグメント利益は5億7800万円(同10.9%減)。国の施策である在宅医療への推進を受け、患者と医療機関のニーズに対応すると共に、学会や病院内でのPR活動を通じ、きめの細かい営業活動を継続した。「HOT」在宅酸素療法は微増、「CPAP」持続陽圧呼吸療法と人工呼吸器は、好調に推移した。
 また、次世代ヘルスケアとして国が掲げる「一気通貫で完結できる在宅医療実現」のため、医療従事者と患者の新しい懸け橋として、また、医師不足や遠隔地等、急速に高まる医療需要への対応として「オンライン診療システム」の提供を推進した。

【医療用ガス設備工事関連事業】

 売上高は11億0000万円(前年同期比20.2%減)、セグメント利益は1億4600万円(同4.5%増)。医療用ガス設備工事は、建設資材の高騰と人手不足による諸費用の上昇による新規・増築計画の延期、凍結に加えて、競合他社との競争が激化、大型物件の完成件数も少なく低調に推移した。消火設備工事は、消費税の関係から補助金交付が例年より遅かったため受注件数が減り、年度末の完成物件も例年に比べ3割程度となった。

【介護福祉関連事業】

 売上高は7億1600万円(前年同期比5.2%増)、セグメント利益は3600万円(同49.8%減)。商品ラインナップの拡充を図り、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者、医療・福祉系レンタル事業者への継続的な営業強化に努めたことなどから、介護福祉関連商品のレンタル及び販売は堅調に推移した。
 また訪問看護事業所は、地域へのPR活動強化による認知度アップとスタッフの増員など運営体制の充実が奏功し、順調に推移した。

【施設介護関連事業】

 売上高は3億3500万円(前年同期比3.9%増)、セグメント利益は200万円(前期はセグメント損失2400万円)。有料老人ホーム「ライフステージ阿佐ヶ谷」(東京都杉並区)は、24時間看護師在駐、地元医療機関との連携、イベントの開催や地元住民の方々との交流を通じて付加価値サービスの提供と、人材育成の体制をさらに強化した。
 また、入居者の多様性を把握したうえで、入居者、家族へ「安心」「安全」をお届けし、入居率の向上に努めた。通所介護施設「あしつよ・文京」(東京都文京区)「あしつよ巣鴨」(東京都豊島区)「あしつよ王子」(東京都北区)は、今後の高齢者人口の増大を視野に、地元密着のサービスの提供と顧客サービスの多様化に応じ、稼働率アップに努めた。

 今期見通しは、新型コロナウイルス感染症の急速な世界的拡大の影響により、足元で大幅に下押ししている。感染症の終息時期の見通しが立たず、厳しい状況が続くと見込む。医療・介護・福祉業界においても新型コロナウイルス感染症により医療機関・施設のそれぞれの役割にさまざまな変化が訪れることが予想され、医師・看護師のあらゆる負担(機能改善・時間短縮・オンライン化)を減らすサービスが求められるとした。

 2021年3月期連結業績予想は、売上高112億円(前期比3.0%増)、営業利益12億9000万円(同24.3%増)、経常利益13億3000万円(同23.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8億8000万円(同19.8%増)を見込む。年間配当金予想は50円を維持。