岩谷産業、使用済みプラスチックの再資源化事業に資本参加

米国バイオ化学ベンチャー企業・アネロテック社の技術を活用し、環境負荷の少ない効率的なプラスチック再資源化技術の開発に挑戦

 岩谷産業株式会社(本社:大阪・東京、社長:間島寬)は、サントリーMONOZUKURIエキスパート(株)、東洋紡(株)、レンゴー(株)、東洋製罐グループホールディングス(株)、J&T 環境(株)、アサヒグループホールディングス(株)、大日本印刷(株)、凸版印刷(株)、(株)フジシール、北海製罐(株)、(株)吉野工業所、のプラスチックのバリューチェーンを構成する 12 社で、持続可能な社会の実現に向けて、プラスチック課題解決に貢献すべく、使用済みプラスチックの再資源化事業に取り組む共同出資会社、株式会社アールプラスジャパン(代表取締役社長:横井恒彦 所在地:東京都港区)を設立し、6 月から事業を開始した。  
 今後も(株)アールプラスジャパンは広く出資を募る。現在、住友化学(株)なども出資への検討を進めている。

 岩谷産業は、「世の中に必要な人間となれ、世の中に必要なものこそ栄える」という企業理念のもと、1970 年に「住みよい地球がイワタニの願いです」という企業スローガンを策定し、クリーンエネルギーである「LP ガス」の普及やバイオマス燃料「PKS」の供給などを通じて、持続可能な社会の実現に取り組んできた。
 中でも、「水素」は 1941 年の取り扱い開始以来、究極のクリーンエネルギーと捉え、「水素」の利活用による「CO2 フリー社会」の実現に向け、様々な取り組みを進めている。
 また、植物由来原料を 30%使用した「バイオマス PET 樹脂」や東洋紡㈱の独自の技術である、リサイクル性の高い「アルミ触媒 PET 樹脂」を世界最大の PET 樹脂メーカーであるインドラマ・ベンチャーズにて量産化するなど、エネルギーのみならず素材開発でも持続可能な社会の実現に取り組んでいる。

(参考)岩谷産業の低環境負荷 PET 事業
使用済みプラスチックの再資源化技術
使用済みプラスチックの再資源化事業
使用済みプラスチックの再資源化事業

 ペットボトル以外のプラスチックは、現在国内では多くが燃焼※1 されていると言われている。今回の技術は、ペットボトルを含むその他一般のプラスチックを、直接原料(ベンゼン・トルエン・キシレン・エチレン・プロピレンなど)に戻すケミカルリサイクル※2 の技術。従来の油化工程を経由するケミカルリサイクルよりも少ない工程で処理でき、CO2 排出量やエネルギー必要量の抑制につながるものと期待され、この技術が確立できれば、より多くの使用済みプラスチックを効率的に再生利用することができるとされる。

※1:焼却時に発生する熱を回収し、発電や熱供給に活用するサーマルリカバリー(熱利用)を含む
※2:使用済みの資源をそのままではなく、化学反応により組成変換した後にリサイクルする

 設立した(株)アールプラスジャパンは、アネロテック社とともに、この環境負荷の少ない効率的な使用済みプラスチックの再資源化技術開発を進める。世界で共通となっているプラスチック課題解決に貢献すべく、回収プラスチックの選別処理、モノマー製造、ポリマー製造、包装容器製造、商社、飲料メーカーなど業界を超えた連携により、2027 年の実用化を目指す。

アールプラスジャパン
会社概要
  • 会社名:株式会社アールプラスジャパン
  • 事業開始:2020 年 6 月 5 日
  • 本社所在地:東京都港区台場 2-3-3
  • 代表取締役社長:横井恒彦
  • 事業内容:使用済プラスチックの再資源化技術の開発・実用化推進
アネロテック社(Anellotech Inc.)について

 2008 年創業。米国ニューヨーク州パールリバーに本社・研究開発機能をもつバイオ化学ベンチャー企業。非食用の植物由来原料から石油精製品と同一性能を持つベンゼン・トルエン・キシレンを生成する技術開発を進めている。