岩谷産業 2021年3月期第3四半期連結決算

産業ガス・機械事業は売上高1235億8800万円(前年同期比144億3200万円の減収)、営業利益61億5800万円(同20億1000万円の減益)

 岩谷産業の2021年3月期第3四半期連結決算は、売上高4451億2600万円(前年同期比10.9%減)、営業利益152億3400万円(同1.3%減)、経常利益188億1000万円(同4.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益123億7700万円(同8.6%増)だった。
 通期見通し、配当予想に変更は無い。

 新型コロナウイルスの影響により、工業分野向け主力商品の販売が減少したが、在宅率の上昇を背景に、家庭用LPガスおよび消費者向け商品の販売が増加した。また、LPガス輸入価格が期初に下落し、低位に推移したことから、販売価格が低下した。

 こうした状況のもと、岩谷産業グループは中期経営計画「PLAN20」の基本方針である「成長戦略の推進」と「経営基盤の拡充」に取り組んだ。脱炭素への取り組みが加速する中、水素エネルギー社会の実現に向けては、水素分野におけるグローバルな連携や水素サプライチェーンの形成を推進するため、共同代表者として、新たに「水素バリューチェーン推進協議会」を設立した。

 また、豪州の電力会社であるStanwellや鉄鉱石生産会社であるFortescue Metals Groupおよび川崎重工業株式会社とグリーン水素サプライチェーンの事業化の検討を開始した。豪州において、太陽光や風力などの再生可能エネルギー由来のグリーン水素を製造・液化し、大型の液化水素船で輸入することを目指している。

 LPガス事業については、独自のIoTプラットフォーム「イワタニゲートウェイ」の事業化を加速するため、日本電気株式会社、TIS株式会社、新コスモス電機株式会社の3社と共同で新会社を設立した。デジタルテクノロジーやデータ分析機能および機器開発力を持つ企業と協力しながら、岩谷産業の持つ事業基盤にIoTプラットフォームを融合させ、高齢化や過疎化など地域が抱える様々な課題の解決に向けて、暮らしを支える新しいサービス・価値を創造する。

 セグメント別の業績は次の通り。

【総合エネルギー事業】

 業務用・工業用LPガスの販売減少に加え、LPガス輸入価格が低位に推移したことに伴う販売価格の低下により、減収となった。一方、家庭用LPガスやカセットこんろ・ボンベおよびエネルギー関連機器の販売が好調に推移したことに加え、LPガスの市況要因による減益影響が改善し、増益となった。
 売上高は2003億2900万円(前年同期比236億9100万円の減収)、営業利益は67億5500万円(同16億4300百万円の増益)。

【産業ガス・機械事業】

 エアセパレートガスについては自動車関連業界および光ファイバー業界向けの販売が減少し、機械設備についても顧客の設備投資の抑制等から売上が減少した。ヘリウムについては、半導体業界向けを中心に海外での販売が増加。水素事業は、水素ステーションの費用は増加したが、液化水素の販売が伸長した。
 売上高は1235億8800万円(前年同期比144億3200万円の減収)、営業利益は61億5800万円(同20億1000万円の減益)となりました。

【マテリアル事業】

 ミネラルサンドについては、国内外で自動車関連業界および鉄鋼業界の低迷により販売が減少した。また、エアコン向け金属加工品の販売が減少したが、バイオマス燃料(PKS)や低環境負荷PET樹脂の販売が増加したことに加え、消費者向けの樹脂製品(グルラボ、アイラップ等)の販売が好調に推移した。二次電池材料については、市況が下落したことにより減収となったが、販売数量は増加した。
 売上高は1000億1600万円(前年同期比130億4100万円の減収)、営業利益は31億7100万円(同7900万円の増益)。

【自然産業事業】

 外食および給食業界向け冷凍食品の販売が減少した。また、種豚の出荷は増加したが、農業設備の販売は減少した。
 売上高は176億5900万円(前年同期比27億5200万円の減収)、営業利益は5億1600万円(同2億7800万円の減益)となった。

【その他】

 売上高は35億3200万円(前年同期比4億4600万円の減収)、営業利益は10億6600万円(同2億2600万円の増益)。