岩谷産業が総額100億円のグリーンボンド発行

水素ステーション建設資金としては国内初の発行

 岩谷産業は、国内市場において公募形式によるグリーンボンドを発行する。グリーンボンドとは、調達資金の使途を環境改善効果のある事業に限定して発行する債券で、水素ステーションの建設資金としてグリーンボンドを発行するのは、国内初の事例となる。

 発行年限7年と10年の2銘柄で、発行予定額はそれぞれ50億円の総額100億円となる。発行予定時期は2021年12月から2022年1月。資金使途は、燃料電池を搭載する自動車(FCV)、トラック、バス、フォークリフト等の輸送機器向け水素供給設備(水素ステーション)の開発、建設に係る資金及び当該資金のために借り入れた借入金の返済資金、となる。

 岩谷産業は 1941 年から水素を究極のクリーンエネルギーとして捉え、水素エネルギーの普及に向けた歩みを進めてきた。創業 40 周年を迎えた 1970 年に発表した「住みよい地球がイワタニの願いです」をスローガンに、水素の利活用を通じてCO2フリー社会を実現することで、環境問題という社会的課題の解決を目指している。

 具体的な取組みの1つとして、燃料電池自動車(FCV)の普及に代表される水素エネルギー社会の早期実現を目指して、同社は水素の利活用を支える供給インフラ「水素ステーション」の整備を全国で進めている。2014 年7月に国内初の商用水素ステーションを尼崎に開所したのを皮切りに、2019 年には「イワタニ水素ステーション 大阪伊丹空港」、2020年には「イワタニ水素ステーション 東京葛西」「イワタニ水素ステーション 羽田空港」などを開所し、2021 年8月には「イワタニ水素ステーション 仙台空港」など7カ所がオープンした。さらに、東京都羽村市、和歌山市でも建設を進めており、すべて完成すると岩谷産業が運営する水素ステーションは 53 カ所になる。また、2019 年には米国4カ所で水素ステーションの運営を開始。2023 年度までに、累計で、国内では 83 カ所、米国では 23 カ所まで建設する計画になっている。

 岩谷産業ではグリーンボンドの発行による資金を水素ステーション建設に活用し、水素エネルギー需要を創出することで、CO2フリー社会への移行を進めるとしている。