岩谷産業 2022年3月期第3四半期連結決算

通期業績予想を上方修正、従来予想から売上高579億円増加

 岩谷産業の2022年3月期第3四半期連結決算は、売上高4794億2400万円(前年同期比22.0%増)、営業利益258億5300万円(同76.7%増)、経常利益307億1500万円(同66.3%増)、親会社株主に帰属する純利益196億円(同61.5%増)だった。

 通期の連結業績予想を上方修正し、売上高6840億円(従来予想から579億円増、前年同期比21.6%増)、営業利益380億円(同60億円増、同27.8%増)、経常利益430億円(同65億円増、同25.9%増)、親会社株主に帰属する純利益270億円(同27億円増、同17.2%増)とした。配当予想は期末配当75円を維持した。 

 水素エネルギー社会の実現に向け、豪州で褐炭由来の水素を液化し、日本まで輸送する実証試験に参画。液化水素運搬船による、初の国際航海を経て、2022年1月に豪州の積荷基地に着桟、2月中旬以降には日本へ帰港予定で、今後日本と豪州を数回往復する計画。2030年頃の商用化に向け、日本への大規模なCO2フリー水素の輸送を目指す。

 LPガス事業の脱炭素化に向け、水素・LPガス混合ガスの導管供給の検討を開始。CO2削減効果や安全性の検証を実施し、将来的には福島県南相馬市で実証試験を想定する。一般住宅を対象として導管で水素を供給し、既存の供給インフラや機器を使用する点で、国内初の取り組みとなる。

 また、全国の顧客を対象に、CO2削減を推進する取り組みを開始した。重油や灯油などから、LPガスやLNGへの燃料転換により削減されたCO2排出量を取り纏め、環境価値として有効活用する。国のJ-クレジット制度を利用し、カーボンオフセットLPガスへの活用を検討し、顧客に対しCO2削減量に応じて保安サービス等を対価として還元する。 

 セグメント別の状況は次のとおり。

【総合エネルギー事業】

 売上高は2164億6600万円(前年同期比462億1100万円の増収)、営業利益は136億円(同73億2400万円の増益)。LPガス輸入価格が高値で推移したことや、業務用・工業用LPガスの販売が増加し、増収となった。LPガスの小売部門で収益性が低下したことに加え、LPガス非常用発電機等のガス関連機器の販売が減少したが、市況要因がプラス(前年同期比86億4300万円の増益)となったことや、海外でのカセットこんろ、ボンベおよび産業用エネルギー設備の販売が好調に推移したことで増益となった。

【産業ガス・機械事業】

 売上高は1349億7200万円(前年同期比135億円の増収)、営業利益は89億2000万円(同28億2000万円の増益)。エアセパレートガスについては電子部品業界向けを中心に販売が伸長した。水素の販売は主に半導体業界向けに増加したが、水素関連設備で大型案件の反動減があったことに加え、水素ステーションの増設に伴い費用が増加した。特殊ガスについては、新型コロナワクチン向けのドライアイスの販売が増加した。また、機械設備については、顧客の設備需要の回復に伴い、売上が伸長した。

【マテリアル事業】

 売上高は1074億6500万円(前年同期比243億5700万円の増収)、営業利益は46億8300万円(同15億8000万円の増益)。低環境負荷PET樹脂、バイオマス燃料、二次電池材料といった環境商品の売上が伸長した。ミネラルサンドは、市況の上昇により売上が増加。また、金属加工品はエアコン向けを中心に販売が増加し、機能性フィルムについても、スマートフォン向けに販売が伸長した。

【自然産業事業】

 売上高は171億0700万円(前年同期比25億6500万円の増収)、営業利益は5億4400万円(同2700万円の増益)。業務用冷凍食品の需要が回復したことに加え、一般消費者向け冷凍食品や農業・畜産設備の販売が増加したが、資材コスト等が上昇。

【その他】

 売上高は34億1200万円(前年同期比1億2000万円の減収)、営業利益は10億6700万円(同0百万円の増益)。