エア・ウォーター北海道と鹿島、国内唯一のカーボンニュートラルな家畜ふん尿由来の水素サプライ事業を北海道鹿追町で開始

道内初の定置式水素ステーションでの供給体制を整備

 エア・ウォーターのグループ会社であるエア・ウォーター北海道株式会社(代表取締役社長:北川裕二 以下、エア・ウォーター北海道)と鹿島建設株式会社(代表取締役社長:天野裕正 以下、鹿島)は、北海道河東郡鹿追町において、国内で初めてカーボンニュートラルな家畜ふん尿由来のバイオガスから作られる水素の製造・販売等のサプライ事業を行う合弁会社「株式会社しかおい水素ファーム」(以下、しかおい水素ファーム)を設立した。

 エア・ウォーターと鹿島は、2015 年より、他2 社と共同で、環境省委託事業である「家畜ふん尿由来水素を活用した水素サプライチェーン実証事業」を進め、水素を製造、貯蔵、輸送、供給、利用するサプライチェーンの実証を行ってきた。本実証を通じて、水素の実用性と需要、CO2 削減やエネルギーの地産地消等による地域貢献の可能性など、水素の持つポテンシャルを確認した。

 このことから、地域の未利用資源を活かしたクリーンエネルギー供給モデルの構築を目指すエア・ウォーター北海道と、鹿追町と地域スマートソサエティ構想に向けて連携する鹿島は、実証事業が終了する本年 4 月より、相互の知見・ノウハウを生かしながら共同で本実証事業を商用化・事業化することで合意したもの。

 しかおい水素ファームでは、国内有数の家畜ふん尿の処理施設である鹿追町環境保全センターからメタン発酵により生成されたバイオガスの供給を受け、水素の製造を行う。なお、家畜ふん尿を由来とする水素は、国内唯一の事例となる。

 販売方法は、①水素製造設備に隣接する定置型水素ステーションで燃料電池自動車(FCV)や燃料電池フォークリフト等への充填販売、②高圧容器で運搬し鹿追町および近隣の施設の燃料電池への供給販売、③産
業用水素として工場等への供給販売、を予定しており、②③の販売エリアはいずれも鹿追町内をはじめ十勝地域や北海道内を想定し、再生可能エネルギーの地産地消を推進する。

 両社は、環境にやさしい水素のサプライ事業を軸とするビジネスモデルの確立と、事業の深化を図りながら、地元地域に貢献する企業づくりを進めるとしている。

事業の概要

  • 事業名称: 家畜ふん尿由来バイオガスによる水素の製造及び販売事業
  • 事業者: エア・ウォーター北海道株式会社、鹿島建設株式会社
  • 事業開始:2022 年4 月

合弁会社の概要

  • 会社名: 株式会社しかおい水素ファーム (英文:Shikaoi Hydrogen Farm Co.,Ltd.)
  • 所在地: 北海道河東郡鹿追町鹿追北4線5番地(鹿追町環境保全センター内)
  • 代表取締役社長: 粕谷 智樹
  • 設立:2022 年2 月
  • 資本金: 1 億円
  • 出資比率: エア・ウォーター北海道:51%、鹿島:49%
  • 設備概要:
    • 水素製造設備 能力:約70N ㎥/h
    • 水素出荷設備 圧力:19.6MPa
    • 水素ステーション 圧力:70MPa=燃料電池自動車用、35MPa=燃料電池フォークリフト用

ロゴマーク

しかおい水素ファーム
しかおい水素ファーム ロゴ

 しかおい水素ファームの水素が緑豊かな大地で育つ乳牛の体内から作られたものであることと、地球上の資源循環や自然エネルギー利用を目指す企業理念を表現するため、緑色の円の中に一筆書きで書かれた乳牛に水素の元素記号である「H2」が織り込まれたデザインとなっている。また、この乳牛は酪農を基幹産業とする鹿追町で飼育されていることを表す意味で、乳牛のまだら模様は鹿追町の形になっている。

各社の概要

【エア・ウォーター北海道株式会社】

 産業ガスメーカー「エア・ウォーター株式会社」が100%出資する北海道における地域事業会社。北海道における産業用水素の販売のほぼ全てを担う。

  • 所在地 北海道札幌市中央区北3 条西3 丁目1 番地
  • 資本金 20 億円
  • 代表取締役社長 北川 裕二

【鹿島建設株式会社】

 総合建設会社。2020 年に鹿追町と再生可能エネルギー活用を起点とする地域スマートソサエティ構想を連携して進める協定を締結。同町と協働し地域課題解決と事業展開等に取り組む。

  • 所在地 東京都港区元赤坂1 丁目3 番1 号
  • 資本金 814 億円余
  • 代表取締役社長 天野 裕正