岩谷産業とコータキ精機、水素切断機を発売

水素の新たなアプリケーション開発

 岩谷産業は、グループ会社でプレス機や切断機を製造・販売するコータキ精機株式会社(本社:静岡、小黒二郎社長、以下「コータキ精機」)と共同で、水素ガス100%を使用して鋼板を切断する水素切断機を開発し、10月5日より販売を開始した。

水素切断機
水素切断機

 今回開発した水素切断機は、鉄骨橋梁、建機などの厚板鋼板を切断する機械設備で、従来のアセチレンやLPGといった切断ガスの替わりに、100%水素ガスを使った切断が可能となり、切断時にはCO2を全く排出しない。水素ガス自体の熱が集中しやすいという特性により、従来のガス切断と比較して歪みが少なくなるメリットもある。また、デジタルマスフロコントローラを使用してガス流量をNC制御することで切断条件の再現性を高め、火口の選定及び安全逆火防止装置、ガス検知器の2重設置対策により安全性の向上を図った。

 100%水素のガス切断機をラインアップしたことにより、コータキ精機はあらゆる切断ガス(酸素と、アセチレン・LPG・ハイドロカット・水素)を対象としたガス切断機の取り扱いが可能となり、顧客の様々なニーズに対応する。

 岩谷産業は脱炭素社会の実現に向け、水素エネルギー社会の早期実現に取り組んでおり、その実現には、水素のグローバルサプライチェーンの構築はもとより、エネルギー用途としての水素アプリケーションが増え、利用促進が図られることも重要となる。今回の水素切断機はサプライチェーン全体でのCO2削減に寄与することになり、同社では、この開発にとどまらず、さまざまな水素の用途開発を進め、脱炭素社会の実現に貢献するとしている。

※ハイドロカット:水素ガスをベースにエチレンを混合した岩谷産業オリジナルの切断用プレミックスガス

水素ガスによる切断サンプル(材質:SS400)
水素ガスによる切断サンプル(材質:SS400)

水素切断機の仕様

  • 品名:PC-5000CNC-HG
  • メーカー希望小売価格:オープン価格
  • 機体形式:門型構造
  • 早送速度(mm/min):16,000(mm/min)
  • 駆動方式:ラック&ピニオン
  • 入力電源:AC200V/220V、三相50/60Hz
  • 予熱ガス:水素ガス
  • NC制御装置:FANUC製0iF・31iM55
  • 切断ガス:酸素ガス
  • 機械精度:±0.5mm(総合罫線精度)