「洋上に於ける水素サプライチェーン構築に関する調査」がNEDO事業に採択

商船三井テクノトレード、神鋼環境ソリューション、大陽日酸、日本シップヤードの4社が提案

 商船三井テクノトレード株式会社、株式会社神鋼環境ソリューション、大陽日酸、日本シップヤード株式会社の4社は、国立研究開発法人新エネルギー・ 産業技術総合開発機構(以下、NEDO)が公募した「水素社会構築技術開発事業/地域水素利活用技術開発/水素製造・利活用ポテンシャル調査」に対して、「洋上に於ける水素サプライチェーン構築に関する調査(以下本調査事業)」を提案し、10月27日に採択された。

 水素は自ら作り出すことのできる資源であり、地産地消が可能かつ最も有効な資源といえる。日本の地理的特性を考え、海水という海洋資源を活用した水素製造技術を確立していくことはエネルギーBCPの観点から将来国内での水素製造の可能性を引き出す契機となる。

 今回の調査事業では、海事分野からのカーボンニュートラルの実現に向け、海水を活用した、洋上での水素製造と水素燃料船への水素供給といった洋上に於ける水素サプライチェーンの構築について検討を進める。

洋上に於ける水素サプライチェーン構築に関する調査
台船上オンサイト型水素ステーションのイメージ

 検討に際しては、再生可能エネルギー由来の電力の活用を見据え水素燃料船向けの水素供給インフラの実現をターゲットに、①洋上での水素製造と、②システム最適化による安価な水素製造を念頭に置いたものとなる。

調査概要

(1)水素製造ポテンシャル調査

  1. 洋上での水素製造・供給設備に関する概念設計・技術検討
  2. 水素製造・供給設備及び水素製造コストの試算
  3. 水素製造を行う場合の課題(制度・社会面等)
  4. 水素製造量の調査

(2)水素利活用ポテンシャルの調査

  1. 船舶等への水素供給サプライチェーンの調査船舶等への水素供給サプライチェーンの調査
  2. 需要量・経済性の分析需要量・経済性の分析

(3)水素利活用トータルシステムの実現可能性検討

  1. 需要ポテンシャル・供給ポテンシャルのバランスを含めた経済性や制度面・社会面の課題整理
  2. 実装・実証を見据えた水素利活用トータルシステムの実現可能性の分析
  3. 環境評価

 本事業と並行して北九州市にて株式会社株式会社MOTENAMOTENA-Sea((商船三井テクノトレード株式会社92%出資)が、建造を進めている水素・バイオ燃料ハイブリッド型電気推進船への燃料供給を想定したモデルを念頭に、洋上での水素製造・利活用を行う水素サプライチェーン構築を検討する。

(*参照:https://www.motech.co.jp/information/2685/

 なお、本事業における地域設定として、カーボンニュートラル構想の実現に向けて積極的な取組を推進している北九州市を調査対象エリアとして想定し、福岡県、北九州市、東京大学先端科学技術研究センター、一般財団法人日本海事協会の協力を得て、実証に向けた調査を進める。

各社の役割

  1. 洋上での水素製造設備に関する基本設計・技術検討=㈱神鋼環境ソリューション
  2. 洋上での水素供給に関する基本設計・技術検討=大陽日酸㈱
  3. 水素製造プラントの搭載用の浮体設備に関する概念設計・技術検討=日本シップヤード㈱
  4. 船舶への水素供給に関する運用上の課題抽出及び関係官庁との調整による水素製造プラントに係わる適用法令の整理る適用法令の整理=商船三井テクノトレード㈱
  5. プロジェクトに於けるコスト試算、経済性評価及び環境評価=商船三井テクノトレード㈱、㈱神鋼環境ソリューション、大陽日酸㈱、日本シップヤード㈱
  6. 実装・実証を見据えた水素利活用トータルシステムの実現可能性の分析=商船三井テクノトレード㈱、㈱神鋼環境ソリューション、大陽日酸㈱、日本シップヤード㈱

※事業全体の取りまとめは、代表提案者である商船三井テクノトレードが行う。