背景

独 Linde(現 Linde AG) と米 Praxairの合併を機に、Praxairの欧州事業を買収し、Lindeの米国HyCO事業の買収手続きを進めている。この2件の大型買収により、大陽日酸の事業規模が大きく拡大するため、中期経営計画 Ortus Stage 2最終年度 2021年3月期の数値目標を変更。

 

進捗状況

前 中期経営計画 Ortus Stage 1に引き続き、現 中期経営計画 Ortus Stage 2 2年目において所期の目標に対し概ね順調に進捗していることから、計画策定時に定めた基本方針と重点戦略を最終年度まで継承。

 

戦略方針

基本方針

1.基盤強化

・保安・品質とコンプライアンスに関する取り組み強化

・R&D戦略の推進

・コーポレート機能の強化

2.成長戦略

・国内事業の拡大

・グローバル化の推進

 

重点戦略

1.構造改革(連携強化によるグループ力の最大化)

・販売部門の連携強化

・エンジニアリング部門の一元化

・生産と物流部門の一体運営

・シェアードサービスの推進

2.イノベーション(外部リソース、IoT活用によるイノベーション推進)

・開発のイノベーション

・エンジニアリングのイノベーション

・販売のイノベーション

・生産・物流のイノベーション

3.グローバリゼーション(ガバナンス強化、成長戦略)

・国際事業の機能強化

・地域統括会社の機能強化

・事業領域拡大

・Total Electronics

4.M&A(M&Aを通じて当社の持続的成長と成長加速を図る)

・事業エリアの拡大と事業密度の向上

・新たな商材・技術・サプライチェーンの獲得

・メディカル事業の拡大

 

重要課題とこれまでの成果

Ortus Stage 2の課題とここまでの成果

構造改革

・販売部門の連携強化

・エンジニアリング部門の一元化

・生産と物流部門の一体運営

・シェアードサービス化推進

 

・営業拠点の集約、営業支援ツールの共有化

・グループ各社の技術を結集し、エンジニアの多能化を推進中

・産業ガスオペレーションの一体運営により効率化・最適化を推進

 

イノベーション

・開発のイノベーション

・エンジニアリングのイノベーション

・販売のイノベーション

・生産・物流のイノベーション

 

・酸素バーナー、カーボンナノチューブを利用した高機能フッ素樹脂等を上市

・3Dプリンター関連3社との提携・出資

・エネルギー効率の向上(SAITEKI活動)による収益性の向上と環境負荷の低減

 

グローバリゼーション

・国際事業の機能強化

・地域統括会社の機能強化

・事業領域の拡大

・Total Electronics

 

・グローバルサポートセンターを新設し、海外エンジニアリング体制の強化

・地域CCOを任命し、グローバルなコンプライアンス体制を整備

・東南アジア地域でのオンサイト案件の獲得

・半導体戦略顧客向けの一元対応による収益力の強化及び電子材料ガス生産能力の増強

 

M&A

・事業エリアの拡大と事業密度の向上

・新たな商材・技術・サプライチェーンの獲得

・メディカル事業の拡大

 

・欧州事業買収

・米国のHyCO事業買収(予定)

・米国のディストリビュータ買収

・アイ・エム・アイ社買収

生産・物流本部のコスト削減活動

2017年4月発足の生産・物流本部によるコスト削減活動を通じて、 国内でのバルクガスの生産や配送にかかるコストを計画以上に削減

 

生産部門

・液化ガス生産時の電力原単位の低減

・燃料価格上昇に伴う電力コストの増加

・CO2排出量削減に向けた社会からの要請の高まり

・電力原単位目標に向けた生産設備操業の最適化

・老朽化設備の計画的なリプレース・保全

 

物流部門

・生産工場から消費地までの効率配送

・激しさを増すユーザー需要の変動(統廃合含む)

・国内での労働力人口減少に伴う乗務員不足

・需要動向に応じた車輌の最適配置

・ITによる客先在庫状況把握に基づく配送計画

 

コスト削減活動の成果(2017年3月期での生産・物流関連で発生した原価実績見込みを基準とした場合)

 

具体的な取り組みと成果

・データ解析による液化ガス装置運転の効率化

・計画保全の適正化による修繕費の圧縮

・戦略的拡販効果による工場稼働率の向上

・顧客への提案に基づく輸送効率の追求

・ヘリウム・水素の管理体制の最適化

 

東南アジア地域でのオンサイト事業の拡大

経済成長が著しいベトナム・フィリピンでの産業ガスマーケットにおいて新規のオンサイト案件を獲得し、磐石なサプライチェーンを構築

 

ベトナム

1.外資系金属メーカー・化学メーカー向けASU

・完成時期 2019年中頃~後半 設備完成(予定)

・パイピング供給での安定的な収益基盤の構築

・エアセパレートガスの生産能力の拡充

2.Long Son Petrochemicals (タイ系石油化学メーカー)向けASU

・稼動時期 2021年(予定)

・パイピング供給での安定的な収益基盤の構築

・エアセパレートガスの生産能力の拡充

 

フィリピン

3.外資系電子部品メーカー向けASU

・完成時期 1号機:2017年12月

・パイピング供給での安定的な収益基盤の構築

・窒素ガスの生産能力の拡充

4.外資系半導体メーカー向けASU

・稼動時期 2019年後半 設備完成(予定)

・半導体・電子機器メーカー向け供給体制の強化

・窒素ガスの生産能力の拡充

 

欧州事業買収

中期経営計画 Ortus Stage2 最終年度の目標を達成するとともに、 グローバル産業ガスメジャーとして、さらなる飛躍を目指す

 

取得対象事業範囲

米Praxairが欧州12カ国で展開している産業ガス事業 (炭酸ガス事業含む)と、ヘリウムに関連する事業を 買収する。取得対象地域で約16%のシェアを持ち、 その事業規模は、30年以上掛けて育てた米国事業と同等

買収意義

・米国に次ぐ大きな産業ガス市場である欧州で一定の事業規模を獲得

・取得事業は、取得対象地域*で16%(当社推定)のシェアを持ち、収益性は高い

・現在のトップマネジメント層を含む有為な人材、事業プラットフォームを取得

*取得対象地域の中で、英国・アイルランド・オランダ・フランスにおいては、

炭酸事業のみを対象とする

PMI戦略

・グループ連携(日・米・アジア・欧州)・ガバナンスの強化

・グローバルネットワークを活用した顧客対応機能の強化

・戦略商材のサプライチェーン最適化

買収事業の連結経営成績(2021年3月期見込み)

バルク・パイピングが一定規模含まれていることに加え、欧州市場は競争環境も安定的であり、高収益を計上できる事業

・売上収益: 1,440百万ユーロ(約1,800億円*)

・コア営業利益: 224百万ユーロ (約280億円*)

* 換算レート:125円/ユーロ

 

欧州事業買収―事業計画

欧州での地域統括会社として、スペインにNippon Gases Euro-Holding S.L.U. を設立し、その傘下に置く各事業会社のガバナンス体制を構築

 

事業戦略(概要)

<基本的な考え方>

・買収先の既存トップマネジメント層に事業運営を委任し、 欧州での既存事業を安定的に成長

・シナジー効果(グループ総合力の活用・戦略商材の展開) も発揮し、今後5年間でCAGR 約3.8%の成長を計画する

 

 

 

米国HyCO事業買収

重点戦略「イノベーション」に基づき、M&Aを活用したガステクノロジー 領域の拡大を目指している。独 Lindeの米国HyCO事業の買収手続きを進め ており、製品ラインナップの拡充により、ユーザーへの提案力を強化する

 

HyCO事業のビジネスモデル

天然ガス等から水蒸気改質装置(SMR)で分離される 水素・一酸化炭素を主に硫黄分除去の工程で使用する 石油精製・石油化学産業向けにパイプラインで供給する

日本国内では、ユーザーの石油精製・石油化学産業で H2・COを自家生産・自家消費しているため、事業の構造上、 産業ガスメーカーは当該事業には参入していない

買収意義

・米国でのHyCO事業への本格参入が実現

・H2・COのオンサイト供給契約による安定的な高収益を獲得

・当該事業の効率的な運営を可能とするリソースを取得

PMI戦略

・米国での新規オンサイト需要(石油精製、石油化学など) への提案力強化

買収対象資産

独Lindeが米国に展開しているHyCO事業のうち、 SMR式HyCOプラント(5ヶ所)、パイプライン、 遠隔監視センター、供給契約、オペレーション技術、 人的資源が買収対象