副生CO₂は、東柏崎ガス田平井地区の貯留層へ圧入、水素は水素発電し新潟県内へ、一部水素からアンモニアを製造し県内需要家へ供給
INPEXは、新潟県柏崎市で実施している「ブルー水素・アンモニア製造・利用一貫実証試験」において、2025年6月2日にプラント設備に天然ガスを導入した試運転を開始した。本実証試験は、利用時にCO2を発生しないクリーンなエネルギーである水素・アンモニアを、その製造から利用まで一貫して実施する、日本初のプロジェクトとなる。


原料となるガスは新潟県内でINPEXが操業する南長岡ガス田からの国産天然ガスを利用する。また、製造の際に副次的に発生するCO₂は、既にガス生産を終了した東柏崎ガス田平井地区の貯留層へ圧入(CCUS注1)し、大気への排出量を抑える。本実証試験で製造した水素は水素発電設備を通して新潟県内に電力として供給。また、一部水素からアンモニアを製造し、新潟県内の需要家へ供給する。
2023年7月に建設工事を開始した本プラント設備は、今回の天然ガスを燃料として使用する周辺機器の試運転を行い、水素製造設備、アンモニア製造設備の試運転に移行する。試運転完了後の2025年秋には、プラント設備の実証運転を開始し、それに引き続いて貯留層へのCO₂圧入を開始する予定。
本実証試験のうち、水素・アンモニアの製造およびCO₂回収については、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)から、「燃料アンモニア利用・生産技術開発/ブルーアンモニア製造に係る技術開発」として採択された助成事業のもとで実施される。また、CO₂の地中貯留の実施と評価については、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構 (以下「JOGMEC」)と共同研究「天然ガス利用等における低炭素化を目的とした国内枯渇油ガス田を活用したCO₂貯留可能量把握に関する実証試験」として実施する。

注1 Carbon Capture Utilization and Storage:二酸化炭素を回収、貯留そして利用する技術
参考
水素・アンモニア製造・利用一貫実証試験の概要
体制 | ・水素・アンモニアの製造およびCO₂回収について:NEDO の助成事業として採択 ・国内枯渇油ガス田を活用したCO₂貯留可能量把握を含むCCUSについて:JOGMECとの共同研究として実施 |
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期間 | 2022 年度~2025 年度末 (延長可能性あり。助成事業・共同研究終了後も自社事業として実証運転を継続の予定。) |
場所 | INPEX 東柏崎ガス田平井地区 |
概要 | 1) ブルー水素の製造実証と、それを利用したクリーンな電力の供給 2) 近年開発された低温低圧の合成プロセスを利用したアンモニアの製造 3) 国内枯渇油ガス田を対象としたCO2貯留可能量の評価・検証 4) 圧入CO₂による炭化水素増進回収効果(Enhanced Gas Recovery, EGR)の確認 5) 圧入CO₂の挙動を監視するための各種モニタリング |