IHI相生工場(兵庫県相生市)に大型燃焼試験設備を新設

燃焼時にCO2を排出しないアンモニアガスタービンを開発

 株式会社IHI(IHI)と米国を拠点とするGE Vernova Inc.(GEV)は、IHI相生工場(兵庫県相生市)に大型燃焼試験設備(Large-scale Combustion Test facility、以下、LCT)を新設した。このLCTは、GEVのF型ガスタービンの圧力、温度、空気・燃料流量等の運転条件下で燃焼試験をするために設計されており、燃焼時にCO2を排出しないアンモニアを燃料とする新しい燃焼システムの開発において重要な役割を担う。

 IHIとGEVは、2024年に締結した共同開発契約に基づき、GEVのF型ガスタービンの燃料を100%アンモニアに転換する新たなガスタービン燃焼器で2030年までの実用化を目指す。2025年夏からLCTで実機サイズの試験用燃焼器を用いた100%アンモニア燃料による燃焼試験を開始し、IHIのアンモニア燃焼技術と、GEVのグローバル技術チームの協力、アメリカ・サウスカロライナ州グリーンビルのGEV最先端燃焼試験設備で培った技術とノウハウを結集する。

 IHIの山本建介 執行役員兼事業開発統括本部副本部長兼アンモニアバリューチェーンプロジェクト部長は「我々は、2024年に締結した共同開発契約のもと、2030年までにアンモニア100%燃焼システムの実用化を目指します。LCTは燃焼器開発を担うIHIの主要試験設備であり、GEVとの共同開発における重要な拠点になります。この完工は開発における非常に大きな前進です。IHIは既にアンモニア100%燃焼ガスタービンIM270(出力 2MW)を開発しており、この技術をさらに進化させ、大規模燃焼技術の開発へ取り組んでいきます」とコメントしている。

 また、GEVのジェフリー・ゴールドミア テクノロジーストラテジー シニアディレクターは「今回の発表は、発電事業の脱炭素化を目指してアンモニアを燃料として利用する技術の開発プロジェクトにおいて、アンモニアバリューチェーンの初期検討から技術の実用化への移行を意味しています。これは既存の発電設備を活かした脱炭素化の道筋を開発することを目指すGEVとIHIにおける協業の新たな段階になります」としている。