三菱重工が北海道電力苫東厚真発電所向け国内最大規模のCO₂回収設備の基本設計受注
1日にCO2を5,200トン回収する設備の主要装置や仕様を検討、回収したCO2は苫小牧エリア海域にCCS貯留
三菱重工業は、北海道電力から北海道電力苫東厚真発電所向けCO2回収設備の基本設計(FEED:Front End Engineering Design)を受注した。この設備は、発電所ボイラーでの燃焼による排ガスから1日当たり5,200トンのCO2を回収するもの。今回のFEEDでは、将来の設備導入に向けて、三菱重工業のCO2回収技術を基に主要装置や仕様などの検討を進める。設備が完成すれば、国内最大規模のCO2回収量となる見込み。

北海道電力は、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の「先進的CCS(注1)事業に係る設計作業等」に関する委託公募において、石油資源開発、出光興産と協同して北海道苫小牧エリアにおけるCCS事業の設計作業等を受託し、契約を締結している(注2)。北海道電力苫東厚真発電所で回収されたCO2は、本契約に基づき、2030年時点におけるCO2貯留量を年間約150万~200万トンとする目標に向けて、苫小牧エリア海域を対象とした深部塩水層に貯留される構想。なお、苫小牧エリアは、CCS事業法に基づき経済産業省から全国で初めて「特定区域」に指定されており、試掘に関する検討が行われている。
三菱重工グループは2040年のカーボンニュートラル達成を宣言し(MISSION NET ZERO)、エネルギー需要側・供給側双方の脱炭素化に向け、戦略的に取り組む。このうちエネルギー供給側の脱炭素戦略である「エナジートランジション」における柱の一つが、多種多様なCO2排出源と貯留・利活用をつなげるCCUS(注3)バリューチェーンの構築となる。この柱を引き続き強化することに努め、独自のCO2回収技術を活用したCCUS事業を強力に推進するとともに、ソリューションプロバイダーとして温室効果ガス排出削減に地球規模で貢献し、環境保護に寄与するソリューションの開発をさらに進める。
注1)Carbon dioxide Capture and Storageの略。
注2)JOGMEC「先進的CCS事業」公募における苫小牧エリアでのCCS事業についてのプレスリリース。https://www.hepco.co.jp/info/2024/1252632_2023.html
注3)Carbon dioxide Capture, Utilization and Storageの略。

三菱重工グループのCO2回収技術について
三菱重工グループは、1990年から関西電力と共同でCO2回収技術「KM CDR Process™」や「Advanced KM CDR Process™」の開発に取り組む。2025年7月現在、これらの技術を用いたプラントを18基納入。Advanced KM CDR Process™には、アミン吸収液「KS-1™」に技術改良を加えた「KS-21™」が採用されている。KS-21™は、KS-1™と比べて再生効率に優れ劣化も少ないといった特長を持ち、優れた省エネルギー性能と運用コストの低減および低いアミンエミッションが確認されている。
三菱重工グループ「CO2回収技術」製品情報:https://www.mhi.com/jp/products/engineering/co2plants.html