レゾナックのパワー半導体向け高品質SiCエピウェハーが、「第24回GSC賞 経済産業大臣賞」を受賞

「第二世代ハイグレードエピ(HGE-2G)」で100A級大電流デバイスの実用化、車載用インバータ駆動素子に採用

 レゾナックが開発・供給するパワー半導体向け高品質SiC※1エピウェハー※2が、公益社団法人新化学技術推進協会(以下、JACI)主催の第24回グリーン・サステイナブルケミストリー賞(GSC賞)※3 経済産業大臣賞を受賞した。本受賞は、レゾナックが手掛ける高品質SiCエピウェハーの開発とその社会実装が、カーボンニュートラル社会の実現に向けた産業技術として、その社会的価値を高く評価されたことによるもの。

 現在、地球温暖化や環境問題が深刻化する中で、世界中でカーボンニュートラルの実現が喫緊の課題となり、エネルギー変革を促進するための先進的な技術開発が求められている。その一環として、SiCを用いたパワー半導体が注目を集めている。この半導体は、シリコンを用いた従来のパワー半導体に比べて、高耐圧・大電流・高温動作・低損失などの特性を有し、エネルギー効率の向上に寄与する。

 レゾナックは、高品質なSiCエピウェハーの開発と量産化に成功、その中でも「第二世代ハイグレードエピ(HGE-2G)」は、従来品を超える欠陥密度の低減を達成し、パワー半導体の信頼性向上を実現した。この技術は、特に100A級大電流デバイスの実用化や車載用インバータの駆動素子に採用され、国内外で高い評価を得ている。さらに、国内で初めて8インチ(200mm)SiCエピウェハーのサンプル出荷を開始し、本技術の実用化をさらに加速させている。

受賞技術の特徴と社会的意義

  • エネルギー変革への貢献:高品質SiCエピウェハーを用いて製造される、高耐圧・大電流対応のSiCパワー半導体は、電気自動車(EV)、再生可能エネルギー、鉄道車両、AIデータセンター用電源など、さまざまな分野での利用が進んでいる。
  • 革新性・技術力:「HGE-2G」の開発や8インチSiCエピウェハーの製造を可能にする、高度な結晶成長プロセス、欠陥制御技術、AIを活用した評価技術、革新的な専用装置により、優れた量産性と信頼性を実現した。
  • 長年の研究と共創:1998年から二十数年に及ぶ研究開発努力と、共創・オープンイノベーションによる技術基盤の強化。

※1 シリコン(Si)と炭素(C)から成る化合物半導体。
※2 SiC基板上に、エピタキシャル成長技術を用いて薄い高品質のSiC層を形成したウェハー。
※3 JACIが毎年開催し、持続可能な社会の実現を目指し、環境負荷の低減や新しい化学技術の社会実装に貢献した技術や製品に「GSC賞」が贈られる。