日揮、CO2バッテリー技術のエナジードーム社と日本市場で協業検討
ドーム状の貯蔵容器に、コンプレッサーを用いてCO2を圧縮・液化して貯蔵
日揮ホールディングスの国内EPC事業会社である日揮は、CO2バッテリー技術を有するイタリアのENERGY DOME S.p.A.(CEO Claudio Spadacini、以下「エナジードーム」)と、2025年10月1日付で日本市場での協業検討を目的とした覚書(以下「本MOU」)を締結した。
近年、太陽光発電や洋上風力等に代表される再生可能エネルギー発電の普及拡大に伴い、安定した電力供給を実現するため、出力変動の緩和が課題となっており、蓄エネルギー技術の発展が期待されている。蓄エネルギー技術のうち長期のエネルギー貯蔵システム(Long Duration Energy Storage、以下「LDES」)は、 出力変動の調整力・安定化技術の一つとして注目されており、2025年度に脱炭素電源への新規投資促進施策「長期脱炭素電源オークション」の対象技術に新たに採択されるなど、今後更なる普及拡大が期待される。
LDES技術の一つであるCO2バッテリー技術は、ドーム状の貯蔵容器に、コンプレッサーを用いてCO2を圧縮・液化して貯蔵する。貯蔵した CO2は、夜間など電力需要が高まる時間帯に再加熱・膨張させてタービンを回し発電する仕組みで、リチウムイオン電池のように希少金属を使用せず、主要機器や部材は既存のサプライチェーンから調達可能であり、経年劣化も起こさない。


日揮では、CO2バッテリー技術の特長に加えて、「長時間のエネルギー貯蔵が可能」、「既存のリチウムイオン電池等の蓄エネルギー技術に比べて低コスト」等の特長が、他のLDES技術の中でも競争優位性があるとしている。また、エナジードームが持つCO2バッテリー技術は安全性や安定性等において広く評価を得ており、既に他国での導入実績も有していることから、本MOUの締結に至った。本MOUに基づき日揮とエナジードームの両社は、エナジードームが持つCO2バッテリー技術と日揮が持つEPC遂行能力を活用した、日本国内における本格的なCO2バッテリー商用プラントの導入に向けた協業検討を実施する。
エナジードームは、イタリア・ミラノを拠点とする企業で、革新的なCO2バッテリー技術を開発・提供する。イタリア・サルデーニャ島において世界初のCO2バッテリー商用プラント(出力20MW、蓄電容量200MWh)の運転を開始しており、各国におけるCO2バッテリー技術の導入を進めている。



