日本山村硝子がナトリウム・カルシウムシリケート原料をアンモニア燃焼で溶融
日本山村硝子(本社:兵庫県尼崎市)は、大阪大学大学院工学研究科 赤松史光教授の研究グループ、東京ガス、関西電力との共同研究により、ガラスびんなどに用いられるソーダ石灰ガラスを、非炭酸塩系のナトリウム・カルシウムシリケートを原料に用い、CO₂を排出しないアンモニア燃焼で溶融することに成功し、ガラス溶融工程におけるCO₂フリーが可能であることを実証した。
ソーダ石灰ガラス製品の製造では、ガラス溶融工程においてCO₂が発生する炭酸カルシウムや炭酸ナトリウムなどの炭酸塩原料と、都市ガスなどの化石燃料が使用されており、CO₂の排出は不可避だった。燃料の脱炭素化に関しては、水素やアンモニアを燃料とした研究が進められているが、原料由来のCO₂排出削減も大きな課題となっている。
本研究では、炭酸ナトリウムおよび炭酸カルシウムを使用せず、CO₂を含まないナトリウム・カルシウムシリケートを用いることで、原料由来CO₂排出を根本的に回避。さらに、燃料にはCO₂を排出しないアンモニアを使用することで、ガラス溶融工程における原燃料由来CO₂排出ゼロを実現する技術を構築した。


※図1および図2の出典:Materials Today Sustainability, DOI: 10.1016/j.mtsust.2025.101143
今回の研究は、ガラスびん製造における原料と燃料の両面からの脱炭素化を同時に達成した世界でも類を見ない成果であり、今後は工業スケールへの応用に向けて、原燃料の最適化およびガラス物性の安定化に関する研究開発を進め、持続可能なガラス製造技術の実現に貢献するとしている。