東京都の臨海副都心で共同溝を活用した水素配管新技術の研究開発

水素を複数の需要拠点まで無付臭で供給するネットワークの実現

 東京都港湾局、NTTアノードエナジー、NTTアドバンステクノロジは、臨海副都心の共同溝を活用し、水素を複数の需要拠点まで無付臭※1で供給する水素ネットワークの実現をめざし、水素漏えい検知手法等の研究開発を行う。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業」の助成を受けて実施する。街区内において、複数の需要地点まで水素を無付臭で供給する水素ネットワークの実現をめざす漏えい検知手法等の研究開発は全国初。水素を無付臭で供給できれば、燃料電池へ水素を直接利用可能(付臭水素は脱臭する必要有り)で、付臭脱臭措置が不要(水素価格の低減)、維持管理が容易となるとしている。

 実施する内容は、既存インフラ(共同溝等)活用による水素配管新技術の安全対策等に関する研究として、(1)水素配管の安全動作・性能検証及び運用に関する安全性検証、(2)水素配管技術の安全性評価研究、(3)水素配管材料の性能評価研究、(4)水素配管の情報発信及び都事業連携。研究開発後は、既存インフラを活用した水素配管輸送の事業化に向けた大臣特認取得※1を目指す。

 主な実施場所は、東京都江東区青海二丁目5番地内 臨海副都心青海地区(下図:実施予定範囲(赤枠))で、一部の検証については、東京都港湾局が管理する敷地内でも実施する。事業期間は、2025年度(令和7年度)~2027年度(令和9年度)で、2025年度は水素配管材料の性能調査、模擬設備環境における検証等を行い、2026年度~2027年度に実フィールド(共同溝等)での安全対策に関する評価研究、水素配管の性能評価等の後、データ収集、取りまとめを行う。

※1 ガス事業法における大臣特認制度:2024年に新たに創設され、国の技術基準に求める技術以外についても、事業者からの申請に基づき同等の安全性が担保できるものと大臣が認めた場合に、代替措置の例外が認められる制度