液化水素貯蔵タンク(貯蔵容量5万立方メートル)、海上荷役設備、水素液化設備、水素送ガス設備、液化水素ローリー出荷設備を備える
日本水素エネルギー(JSE)は、川崎重工、大成建設、東亜建設工業の3社で形成される共同企業体に、世界初の国際水素サプライチェーンの商用化実証における国内基地の建設工事を発注し、着工した。建設地は、JFEグループの土地利用構想「OHGISHIMA2050」において「カーボンニュートラルエネルギーゾーン」に設定されている川崎市扇島東部の一角で、2025年5月23日に安全祈願祭を執り行った。

川崎重工 尼子元久 執行役員、東亜建設 堀越研司 横浜支店長
この国内基地建設は、JSEが幹事会社として実施する、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業に採択された「液化水素サプライチェーンの商用化実証」プロジェクトの一環となる。グリーンイノベーション基金は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に基づき造成されており、本プロジェクトは、カーボンニュートラル実現に重要なエネルギーキャリアである液化水素の大規模サプライチェーン実証を行うもの。政府関係府省庁が一体となって2023年6月6日に改定した「水素基本戦略」に沿って、水素の大量消費社会を見据えた水素サプライチェーンの本格的な社会実装を目指す。
世界初の商用規模の重要拠点、海外で製造された液化水素を国内基地で受け入れ
今回建設される国内基地は、液化水素貯蔵タンク(貯蔵容量5万立方メートル)、海上荷役設備(出荷/受入両機能を含む)、水素液化設備、水素送ガス設備、液化水素ローリー出荷設備を備えた、世界初の商用規模の施設となる。JSEとJFEホールディングス、JFEスチールの合意に基づき、2025年4月30日に土地賃貸借本契約を締結、土地引渡しを受けて建設工事に着工した。

本プロジェクトでは、今回の国内基地および今後建造する液化水素運搬船を用いて、上流から下流まで国際水素サプライチェーンとしての性能、安全性、耐久性、信頼性、経済性等の商用化に求められる要件を2030年度までに確認する計画。JSEは、本プロジェクトを完遂後、海外で製造された液化水素を今回建設する国内基地で受け入れ、国内需要家へ供給することで、水素サプライチェーンの社会実装を推進する。
JSEでは本プロジェクトと並行して、川崎市の「川崎カーボンニュートラルコンビナート構想」や「川崎港港湾計画」、JFEグループの「OHGISHIMA2050」等、様々な構想や企業と連携することで、地域、日本の脱炭素に貢献するとしている。