東洋エンジ、グリーンメタノール製造に最適な小規模プラント向け反応器「MRF-Z Neo™」を開発

メタノール反応器のコンパクト・低コスト化でグリーンメタノールの早期社会実装に貢献

 東洋エンジニアリング株式会社(以下、TOYO)は、グリーンメタノール(バイオメタノール*¹およびe-メタノール*²)の製造に適した小型メタノール反応器「MRF-Z Neo™」を開発した。本技術はTOYOが長年培ってきた大規模プラント向けメタノール合成技術「MRF-Z™」をベースに、小規模プラント向けに最適化された新型反応器になる。バイオマスや再生可能エネルギーといった分散資源の活用に対応し、地域ごとの資源を活かした分散型生産を可能にする。

 MRF-Z Neo™は、従来の大型反応器MRF-Z™の特長を引き継ぎ、①段階的に冷却する構造により理想的な温度変化を実現し、反応効率を高めるとともに触媒使用量を最小化、②ガスの流れを最適化するために、外側から中心への半径方向に流れる構造を採用することで、低い圧力損失・高効率な反応が可能、③冷却管の片方のみを固定するなど機械設計上の工夫により、長期的な安定運転とメンテナンス性の向上を実現、の3つの特長を持つ。 

 さらに、従来の大型反応器MRF-Z™の利点は残しつつも、下部の作業員アクセス用メンテナンス部分や上部ガス分散部の削除で装置全体をコンパクト化、これにより、反応器製作費を削減できるため、反応器の低コスト化も実現した。MRF-Z Neo™は従来のMRF-Z™をコンパクト化した場合と比較して最大約40%のコスト削減を達成する。

グリーンメタノール市場の成長

 近年、脱炭素社会の実現に向けた世界的な取り組みが加速する中で、グリーンメタノールは、化石燃料由来メタノールの代替として注目を集めている。メタノールは、燃料用途(船舶燃料、ジェット燃料、ガソリン)や化学品用途(樹脂、粘着剤、など)に使用される汎用性の高い化学品であり、バイオマス原料や再生可能エネルギーを利用したサステナブルな製造方法への転換は、カーボンニュートラルの実現に大きく貢献する。

 2050年にはメタノールの世界需要が2020年の約5倍に拡大し、そのうち約80%がグリーンメタノールになると予測されている。特に欧州を中心に、海運業界や化学産業におけるグリーンメタノールの導入が進んでおり、今後の市場成長が期待される。

 グリーンメタノールの製造においては、原料となるバイオマスや再生可能エネルギーが地理的に分散、時間的に変動しているため、大規模な集中型プラントは安定的な製造が困難で、世界の再生可能エネルギー発電所の97%以上が100MW以下の小規模*⁵であることから、分散型エネルギーに対応した小型反応器のニーズが高まっている。

 TOYOは、MRF-Z Neo™単体に留まらず、独自のe-メタノール製造技術「g-Methanol™」、省エネ型蒸留システム「SUPERHIDIC®」や再生可能エネルギー変動に対応するためのデジタルソリューションとの組み合わせにより、グリーンメタノールのコスト低減だけでなく、より柔軟で迅速な導入を可能にするトータルソリューションを提供する。

*1 バイオメタノールとは、農業残渣、林業廃棄物、都市ごみ、バイオマスやバイオガスから製造されるメタノール。
*2 e -メタノールとは、再生可能エネルギーを利用した水電解水素と分離回収したCO₂を原料とするメタノール。
*3 Innovation Outlook: Renewable Methanol, IRENA & Methanol Institute, 2021.
*4 “Global Initiatives Shaping the Future of Green Methanol Production,” S&P Global Commodity Insights blog, April 2023.
*5 Global Energy Monitor, Global Solar Power Tracker, 2024.

TOYOについて

 東洋エンジニアリング(TOYO)は1961年創立で、グローバルネットワークを構築し、世界60ヶ国以上の顧客にエンジニアリングサービスの提供とプラント建設を行ってきた総合エンジニアリング会社。祖業のアンモニア・尿素という化学肥料分野を中心に独自技術を磨き、石油化学、石油・ガス処理、資源開発、発電など、多岐にわたる領域へと事業分野を拡大してきた。また、「エンジニアリングで地球と社会のサステナビリティに貢献する」というミッションを掲げて、持続可能な社会の実現を目指し、環境に配慮したソリューションや最新技術を導入し、脱炭素社会の実現に取り組む。 https://www.toyo-eng.com/jp/ja/