MHIETと東邦ガスが最大15%(体積比)の水素混焼が可能な450kWガスコージェネレーションシステムを共同開発

最小限の現地改造で水素混焼仕様に変更可能なパッケージも併売

 三菱重工グループの三菱重工エンジン&ターボチャージャ(MHIET)は、東邦ガスと共同開発した、最大15%(体積比)の水素混焼が可能な発電出力450kWのガスコージェネレーションシステム「SGP M450」を新たに発売する。

 両社は水素混焼を可能にするため、都市ガス専焼ガスエンジン「GS6R2」をベースに、燃料ガス系統やエンジン制御装置を改良した水素混焼エンジンを開発した。東邦ガス技術研究所(愛知県東海市)で500時間以上に及ぶ実証試験を行い、水素混合時の信頼性やCO2削減効果を確認している。

 実証試験では、発電設備に必要な電力需要の変動に応じた高い調整力や、安定運転が可能であることを検証するため、さまざまな運転パターンを模擬した試験も実施。異常燃焼などのリスクはなく、都市ガス専焼仕様と同じ運用が可能なことを確認した。

 水素混合率は、従来のガスエンジンからの変更範囲を最小限にすべく最大15%に設定した。運転モードは、都市ガス13A専焼モードと水素混焼モードがあり、負荷運転中に任意に切り替えられる。 また、水素混焼仕様では、エンジン始動時に都市ガスのみを用いる仕様とすることで、停電発生時の初期負荷投入量を都市ガス専焼仕様と同等にでき、BCPへの対応も可能にした。

 また、将来の水素利活用を検討している顧客に向け、「水素レディ」パッケージを併せて発売する。これは、初期導入時は都市ガス専焼仕様のみだが、あらかじめ水素混焼に必要な機器や機能を組み込んでおき、水素混焼仕様への現地改造時に工事期間を短縮するもの。

 省エネルギーによる環境負荷低減が期待できるコージェネレーションシステムは、カーボンニュートラルの実現に向け、一層推進すべき分散型エネルギーリソースの一つとされている。大規模災害などによる停電時にも対応可能な電源であることから、レジリエンスの強化という点でも期待されている。

※ 強靭性、回復力、弾力性などを意味し、具体的には災害に強いインフラの整備、早期復旧のための事業者との連携強化、情報発信の強化といった取り組み。