世界初の商用規模液化水素基地「川崎LH₂ターミナル」で「超電導モータ搭載型液化水素ポンプ」を採用
発熱を極限まで抑えて液化水素への熱侵入を最小限に抑制、蒸発ロスを大幅に低減
株式会社酉島製作所(以下:トリシマ)は、川崎重工業から、同社が建設を進める国の助成事業を活用した官民連携による世界最大級の液化水素基地「川崎LH₂ターミナル」向けに、大流量液化水素ポンプを受注した。受注したのは「昇圧ポンプ」と「積荷ポンプ」で、トリシマが2024年に運転試験に成功した「超電導モータ搭載型液化水素ポンプ」が採用される。トリシマでは、世界の水素産業界にとって遠心ポンプ実用化への扉を開く画期的な一歩であり、トリシマにとっても歴史的な役割を担うものとしている。
| ポンプ名称 | 液化水素昇圧ポンプ | 液化水素積荷ポンプ |
| 用 途 | 貯蔵タンクから各利用先へ液化水素を送り出す役割を担い、安定した供給を支える。 | 液化水素運搬船への大量移送を担うポンプ(大規模荷役の要)で、スムーズかつ迅速な積み入れを実現。 |
| 台 数 | 5 台 | 1台 |
| 流 量 | ~51.8 m³/h | 700 m³/h |
| 全揚程 | ~2,400 m | 510 m |
| 回転速度 | ~5,300 min⁻¹ | 3,350 min⁻¹ |
| モータ容量 | 50 kW | 105 kW |
水素社会の本格的な商用化に向けては、一度に大量の液化水素を効率的かつ安定的に移送できるインフラの整備が不可欠。「川崎LH₂ターミナル」のような商用規模の施設では、従来を大きく上回る流量を実現するポンプ技術が求められる。しかし、従来のモータ技術でポンプを大流量化(大型化)すると、モータ自体の発熱が液化水素に伝わり気化することで、「液体のまま大量に運ぶ」という液化水素本来の効率性が損なわれることが大きな課題だった。
この課題を解決するため、トリシマは、2023年度に採択されたNEDOの助成事業「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業」のもと、長年にわたり培ってきたポンプ技術と、京都大学が研究開発してきた高温超電導技術を融合させ、「超電導モータ搭載型液化水素ポンプ」を開発。超電導モータを搭載した液化水素ポンプを産業用途として実装するのは世界初となる。
「超電導モータ」は、マイナス253℃という極低温環境下で電気抵抗がゼロとなるため、発熱を極限まで抑えることが可能。これにより、液化水素への熱侵入を最小限に抑制し、蒸発ロスを大幅に低減できる。その結果、貴重な水素を気化させることなく効率的かつ大量での輸送が可能となり、商用サプライチェーンの構築に求められる「安価で大量の水素輸送」の実現に貢献する。

「川崎LH₂ターミナル」は、日本水素エネルギー株式会社(JSE)が事業主体となり、川崎重工を代表企業とする共同企業体が主要コントラクターとして設備の設計・建設を進めている。本ターミナルは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下:NEDO)が推進する「グリーンイノベーション基金事業」に採択された「液化水素サプライチェーンの商用化実証」における重要な設備であり、世界最大級となる液化水素貯蔵タンク(貯蔵容量5万㎥)をはじめ、海上荷役設備(出荷・受入両機能を含む)、水素液化設備、水素送ガス設備、液化水素ローリー出荷設備などを備えた、世界初となる商用規模の液化水素施設。

※㈱酉島製作所が、℗マーク、昇圧ポンプ、積荷ポンプ、各利用先へ、液化水素運搬船へ の文言、点線矢印を追記
■ 技術詳細資料 NEDO水素・アンモニア報告会2025 資料(PDF)
https://www.nedo.go.jp/content/800030717.pdf
■日本水素エネルギー株式会社および川崎重工業株式会社の公表資料
https://www.japansuisoenergy.com/news/pdf/液化水素サプライチェーン商用化実証の主要施設となる液化水素基地%20の起工式を開催.pdf
■ 液化水素サプライチェーン商用化実証事業について 日本水素エネルギー株式会社 公式サイト
https://www.japansuisoenergy.com
■酉島製作所 液化水素ポンプ運転試験成功(2024年3月14日)


