水素専焼ジェットヒーター「Hydro H2eat」を建設現場に初導入

「しかおい水素ファーム(鹿追町)」のカーボンニュートラル水素を燃料に使用

 日工株式会社(本社:兵庫県明⽯市。以下、「日工」)は、自社開発した水素専焼ジェットヒーター「Hydro H2eat(ハイドロヒート)」が鹿島建設株式会社(以下、「鹿島」)の施工を担当する建設現場に導入されたことを発表した。「水素ジェットヒーター」が実際の建設現場に導入されるのは国内初(日工調べ)。現場では「しかおい水素ファーム(鹿追町)」のカーボンニュートラル水素を燃料に使用した。

 ジェットヒーターとは寒冷地で用いられる業務用温風ヒーターのことで、屋外イベント等での暖房をはじめ、建設現場のコンクリート養生などにも活用されている。一般的には灯油を燃料にする。「Hydro H2eat」は、水素燃料に対応しており、燃焼によるCO₂排出をゼロにすることに加え、作業者の一酸化炭素中毒予防といった安全性の向上にもつながる。

 日工によると連続自動運転による燃焼の安定性、安全性、使用性能を確認し、運用時の水素使用量などを測定したところ、騒音レベルは灯油ヒーター比3dB減(灯油ヒーター:71.4dB、「Hydro H2eat」:67.0dB)、CO₂排出量が0kg、水素使用量は平均11Nm³/hとなり、稼働時間は90時間(連続)としている。


 北海道は、北海道が有する豊富な再生可能エネルギー資源や森林などの吸収源を最大限に活用しつつ、脱炭素化と経済の活性化や持続可能な地域づくりを同時に進める「ゼロカーボン北海道」の実現を目指し、各種施策を展開している。特に、十勝地区では家畜糞由来のカーボンニュートラル水素を製造する「しかおい水素ファーム(鹿追町)」を起点に、地産地消を前提としたカーボンニュートラル水素の利用促進が進む。

 帯広市の建設会社である宮坂建設工業株式会社の依頼により、日工は水素専焼ジェットヒーターの開発に着手。2024年2月には試作機による実証実験を実施し寒冷下における安定燃焼およびCO₂排出ゼロを確認した。その後改良を重ね、2025年4月に製品化した「Hydro H2eat」が今回、鹿島が施工を担当する現場において導入され、連続運転を行った。

(参考)日本初!水素専焼ジェットヒーターの実証実験に成功~カーボンニュートラルと使用現場の安全性向上に貢献~https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000040.000081441.html

導入概要

  • 実施時期:2025年3月末~4月上旬
  • 試験場所:鹿島が施工を担当する建設現場
  • 使用機器:水素専焼ジェットヒーター「Hydro H2eat」
  • 使用燃料:カーボンニュートラル水素(しかおい水素ファーム製)
  • 測定内容:連続自動運転による燃焼の安定性、安全性、使用性能の確認

(国内において、水素専焼ジェットヒーターを実際の施工現場に導入するのは初めての試み

水素ジェットヒーターの概要

製品名:「Hydro H2eat(ハイドロヒート)」
製品名:「Hydro H2eat(ハイドロヒート)」
  • 使用燃料:水素
  • 使用圧力:0.3MPa未満
  • 最大熱出力:35kW
  • 最大燃料消費量:11.7Nm³/h
  • 寸法:570×1100×800(mm)
  • 本体質量:約90kg

注)高圧の場合には中圧に減圧するユニットが必要

【特長】

  • 燃料に水素を使用(燃焼によるCO₂排出ゼロ)
  • 排ガス中の水蒸気による雰囲気の高湿度維持
  • 燃焼排ガスが無臭(排ガスは水蒸気のみ)