ジェイテクト花園工場にCNプラントを新設、水素バーナー式アルミ溶解保持炉を量産ラインに導入

水素製造予定量は約112,000Nm³/年、CO₂削減量56t/年を見込む

 株式会社ジェイテクト(本社:愛知県刈谷市、近藤 禎人 取締役社長)は、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの一環として、花園工場(愛知県岡崎市)に再生可能エネルギーを活用し、水素を生成・供給する設備「CNプラント」を新設、2025年12月4日に稼働を開始した。水素製造予定量は約112,000Nm³/年で、CO₂削減量は56t/年を見込む。本事業計画について、2025年12月5日付で愛知県から水素の製造、輸送、利用に伴う二酸化炭素の排出が少ない水素を「低炭素水素」として認証・情報発信する「中部圏低炭素水素認証制度」の認定を受けた。
 稼働開始により工場内で水素を自立的に供給できる体制を構築するとともに、水素を燃料とする「水素バーナー式アルミ溶解保持炉」を設置し、2026年夏頃の運用開始に向けた準備を進める。今後、花園工場内での水素の地産地消による環境効果を検証、工場規模でのグリーン水素地産地消モデルを確立し、他工場のアルミ鋳造工程へ展開することで、Scope 1、2におけるCO₂排出削減をさらに加速する。 

 新設された「CNプラント」は、生産工程におけるカーボンニュートラル達成に向けて、再生可能エネルギーを活用し、水素を生成・貯蔵・供給する施設。太陽光発電による電力を用いて水電解を行い、グリーン水素を生成してガスボンベに充填、余剰電力は蓄電池に貯蔵することで、エネルギーの有効活用を図る。さらに、工場内に水素供給用の配管設備を整備し、水素を「つくる」「ためる」「はこぶ」「つかう」の一連のプロセスを工場内で完結できる体制を構築した。これにより、外部から水素を輸送しない地産地消を実現し、効率的な水素活用を可能にする。

稼働開始日2025年12月4日
水素生成方式水電解装置
水素製造予定量約112,000Nm³/年
電力供給太陽光発電設備(2,349.6kWh/年)+系統電力(再エネ証書活用)
CO₂削減量56t/年(見込み)

水素バーナー式アルミ溶解保持炉について

 水素を燃料とする、アルミダイカスト(アルミを高圧で金型成形する鋳造法)工程の溶解保持炉。燃料の水素はCNプラントで生成した水素を配管で供給する。CO排出を伴うアルミダイカスト工程において、グリーンエネルギー由来のグリーン水素を用いることで、CO排出量を抑制し、環境負荷の少ない製造工程の実現を目指す。
 この炉は、2024年7月から2025年2月まで東刈谷事業場で実証実験を行い、溶解能力及び溶湯品質を評価した。従来の都市ガスと比較すると、水素火炎は燃焼範囲が狭く、材料の溶け残りが確認されたため、火炎の燃焼範囲に材料が集まるよう、溶解室をテーパー形状に改良している。生産した部品の品質は、従来炉と同等であることを確認済。

稼働開始日2026年夏頃(予定)
導入ラインアルミ部品の量産工程
導入台数1台
溶解能力200kg/h
生産計画約26,600個/月

Scope1、2で2035年にカーボンニュートラル達成

 ジェイテクトグループは、「環境チャレンジ2050」を策定し「All for One Earth」をスローガンに掲げ、かけがえのない地球を次世代につなぐためのチャレンジを続けている。カーボンニュートラル達成のためにScope1、2、3のすべてにおいてCO2排出量削減をすすめており、特に自社の生産活動に関連するScope1、2においては2035年にカーボンニュートラル達成を目指す。
 また、サーキュラーエコノミーにも注力し、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑制などを通じて、事業活動の持続可能性の向上にも取り組む。

 ジェイテクトは、製造工程のうち、ガス燃焼によるCO₂排出(Scope1)の削減を重要課題とする。この課題解決に向けて、グリーン水素の地産地消を目標に、水素の生成・保管インフラの整備と、水素を活用した燃焼技術の開発・実証を進めてきた。

CNラボの設置(2024年6月)

 本社敷地内に、水素技術の実証施設「CNラボ」を設置。太陽光発電による電力のうち、本社内で消費しきれなかった電力を用いて水電解を行い、水素を生成。生成した水素は水素タンクや吸蔵合金ボンベに充填する。発電量・蓄電量・水素生成量をリアルタイムで監視・制御できるエネルギーマネジメントシステムを実証。

水素調理器の導入(2025年7月)

 本社事務本館1FレストランONLY ONEに、リンナイ株式会社とトヨタ自動車株式会社が共同開発した、水素を燃料とする調理器「水素グリラー実証機」を導入。燃料にはCNラボで生成したグリーン水素を使用しており、自社で生成した水素をその場で有効活用する体制を構築している。焼き魚などの調理に水素を活用することでCO₂排出を削減し、生産工程以外の領域においても環境負荷低減に寄与するとともに、食という身近な場面でもカーボンニュートラルを意識できる環境を整えた。