三菱化工機、寒冷地でも安定使用可能な水素吸蔵合金・燃料電池一体型システム「HyDel™（ハイデル）」の実証実験を開始

カワサキ文化公園に1号機を設置、2026年度中の販売開始を予定

　三菱化工機は、水素吸蔵合金タンク（MHタンク）と燃料電池を一体化した、水素吸蔵合金・燃料電池一体型システム「HyDel™（ハイデル）」を、若者文化発信拠点「カワサキ文化公園」（川崎市幸区）に設置し、2025年12月6日（土）に行われた点灯セレモニーで、照明器具に水素由来のエネルギーを供給した。今回開発したHyDel™の1号機で実証実験を重ね、2026年度中の販売開始を予定する。

　三菱化工機と那須電機鉄工株式会社、日本フイルコン株式会社は、3社で開発した可搬型の水素吸蔵合金配送システムの実証実験を2023年より続けている。HyDel™は、寒冷地での使用の課題であった吸蔵合金からの効率的な水素の取り出しと燃料電池の運転を可能にした据え置き型システム。今回の1号機を「カワサキ文化公園」に常設稼働施設として設置し、実証実験を行う。

製品名	水素吸蔵合金・燃料電池一体型システム「HyDel™（ハイデル）」
定格出力	2kw/h
外寸（W/L/H）	2,500mm X 2,000mm X 2,500mm
重量	1.8 t

HyDel™の特長

１．省エネルギー

製造した水素を圧縮する必要がない（圧縮エネルギー不要）
水素吸蔵時は空冷で稼働（原則ファンの運転のみ）
水素放出時に必要な熱の一部は、燃料電池の排熱を利用（ファンの運転のみ）

２．安全性

高圧ガスに該当しない
吸蔵合金は非危険物扱い
法規上の制約がないため、誰でも取り扱うことができる

３．高性能　

燃料電池に水素を供給する際に燃料電池の排熱を使用するため、寒冷地でも安定使用が見込める
高い耐久性を備える（10,000回以上の繰り返し利用が可能）
低圧で市販ボンベ並みの水素貯蔵量を実現（タンクを立てた状態で輸送と利用が可能）

　再エネや余剰水素の小規模分散型利活用や、高圧ガスや安全性が導入の障壁となっている用途（取り扱いの安心性）をHyDel™の想定用途としており、例として離島、地方における利用 / 都心、病院、大学等研究機関 / 業務用途 / 仮設電源、災害時利用を挙げている。
　水素吸蔵合金配送システムは、水素の貯蔵や運搬が容易なことから、比較的小規模かつ場所や使用期間が固定されない場所での電力供給に優位点がある。三菱化工機では、今後も、実証実験を重ねると同時に、商業利用の可能性を広げることで、水素エネルギーを活用した持続可能な社会の実現に向けて協働するとしている。