地域事業会社との協業で農産事業を全国展開
エア・ウォーターは2021年11月1日付で、和歌山県、大阪府、奈良県で農産物の直売所「産直市場よってって」を運営する㈱プラスの株式(同社発行済株式総数の51%)を譲り受け、同社はエア・ウォーターグループ入りした。
近年、食料自給率向上や食品ロスの低減、地産地消の重要性が指摘される中、全国各地で農産物直売所が注目されている。エア・ウォーターグループでは、㈱プラスとのシナジー創出を図るとともに、これまで培ってきた農産物の調達から開発・加工、販売までのバリューチェーンと全国をカバーする食品物流ネットワークを活かし、地域に密着した事業を展開するグループ会社の3地域事業会社との協業により、農産事業の全国展開に取り組む。
株式譲受の目的
エア・ウォーターグループは農産・加工品事業、飲料事業を中心に、青果小売など「食」に関わる多彩な事業を展開している。これらの事業に共通する、調達、開発・加工、販売をつなぐ物流ネットワークを活かすとともに、北海道において物流と農業を組み合わせた新たな農産事業を推進する北海道エア・ウォーター・アグリ㈱を、九州にも農産物の調達、加工拠点としてトミイチ九州㈱を設立するなど、バリューチェーンの強化・拡大を図っている。
また、高圧ガスの輸送に始まったグループの物流事業は、昨年西日本を中心に青果物輸送に強みをもつ㈱桂通商がグループ入りするなど低温物流を強化し、農業・食品事業と連携した、食品物流事業の創出にも取り組んでいる。
一方、㈱プラスは農産物直売所「産直市場よってって」を和歌山県、大阪府、奈良県で計28店舗運営し、農家の販売支援、良質で安価な農産物の提供、地域の雇用創出、地産地消に貢献する、生産者・消費者・従業員・地域の“四方良し”のビジネスモデルを構築している。
今回、㈱プラスのグループ入りにより、これまでグループが培ってきたバリューチェーンに産地直売ならではの地産地消という新たな価値を付加した。3地域事業会社(エア・ウォーター北海道㈱、エア・ウォーター東日本㈱、エア・ウォーター西日本㈱)との協業で、農産物直売所の展開地域を拡大し、生産者の支援と顧客満足度の向上を図るとともに、食品物流と農産物の加工機能を併せ持った事業の全国展開に向けて産直事業、食品物流、食品加工に関する投資を積極的に進める。
今後は、さらに地産地消を通じたフードマイレージ※低減はもとより、農家の栽培支援、販路拡大などによる地域農業の振興、食料自給率の向上に寄与するとともに、加工技術・機能の強化による規格外農産物の廃棄ロス低減など食品ロスゼロを目指し、SDGs達成にも貢献する。
※フードマイレージ:食料の生産地から消費者の食卓に並ぶまでの輸送にかかった「重さ×距離」。
株式譲受の概要
- 譲受日:2021年11月1日
- エア・ウォーター出資比率:発行済株式総数の51%
株式会社プラス 会社概要
- 設立:1954年6月(創業:1948年)
- 代表者:代表取締役社長 野田 正史
- 本社:和歌山県田辺市宝来町17番12号
- 資本金:142,500千円
- 売上高:7,641百万円(2021年2月期)
- 従業員数:社員・契約社員136名、パート646名(2021年2月28日現在)
- 事業内容:「産直市場よってって」を中心とした食料品小売、不動産賃貸、スポーツクラブ経営など
「産直市場よってって」概要
- 開業:2002年5月。1号店 産直市場よってって いなり本館(和歌山県田辺市)
- 店舗数:28店舗(和歌山県14店舗、大阪府9店舗、奈良県5店舗)
- 店舗面積:550㎡(標準的な店舗の規模)
- 主な取扱品目:地元で生産される野菜、果物、梅干し、玉子、菓子、調味料や弁当などを販売
- 登録生産者数:約8,000人