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決算

鈴木商館 2025年3月期通期連結決算

増収増益。ガス部門の売上高は327億8800万円、前年同期比17.1%増

 鈴木商館の2025年3月期通期連結決算は、売上高501億3200万円(前年同期比8.4%増)、営業利益26億8800万円(同41.2%増)、経常利益29億1200万円(同41.1%増)、当期純利益18億8800万円(同35.8%増)だった。

 セグメント別の売上高は、ガス部門が327億8800万円(前年同期比17.1%増)、産業機材部門が22億2700万円(同1.7%減)、化学品部門が99億8800万円(同10.7%減)、低温機器部門が23億3400万円(同3.5%増)、空調部門が24億3700万円(同12.2%増)、その他が3億5800万円(同2.7%増)となった。

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決算

レゾナックHD 2025年12月期第1四半期連結決算(IFRS)

電子材料用高純度ガスを含む半導体前工程材料は、NAND需要の回復ペース緩やかで売上収益横ばい

 レゾナック・ホールディングスの2025年12月期第1四半期連結決算は、売上収益3211億2200万円(前年同期比0.3%減)、コア営業利益148億4800万円(同55.3%増)、営業利益139億8200万円(同51.0%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益87億5400万円(同69.4%減)となった。当期より国際財務報告基準(IFRS)を適用、コア営業利益は営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除いて算出。通期業績予想と年間配当金予想に変更はない。

 売上収益は、半導体・電子材料セグメントとクラサスケミカルセグメントが販売数量増により増収だったが、モビリティ、ケミカルの2セグメントは減収、イノベーション材料セグメントは横ばい。コア営業利益は、ケミカルセグメントで大幅減益、モビリティセグメントは減益となり、イノベーション材料セグメントは横ばいだが、半導体・電子材料とクラサスケミカルの2セグメントで増益だった。営業利益は、旧本社土地建物の固定資産売却益があった前年同期に比べ減益。親会社の所有者に帰属する四半期利益は、営業利益の減益に加え、為替差損益の悪化により減益となった。

関連するセグメント別概況

【半導体・電子材料セグメント】

 電子材料用高純度ガスを含む半導体前工程材料は、NAND需要の回復ペースが緩やかなことから売上収益は横ばい。半導体後工程材料は、主にAI等の先端半導体向けの販売数量増加により増収となった。デバイスソリューションは、HDメディアがデータセンター向け需要の回復により増収、SiCエピタキシャルウェハーも販売数量の増加で増収。売上収益は1111億8600万円(前年同期比14.1%増)、コア営業利益195億6800万円(同134.8%増)。

【ケミカルセグメント】

 基礎化学品と産業ガスの化学品は、売上収益は前年同期並み、一部製品の原料高により減益。グラファイトは、黒鉛電極の市況低迷の影響を受け販売数量、販売価格ともに下落し減収、前年同期に計上した低価法戻り益も当四半期は発生せず、赤字拡大となった。売上収益は376億9900万円(前年同期比16.4%減)、コア営業利益62億7400万円の赤字(前年同期は7億8600万円の赤字)。

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新コスモス電機 2025年3月期通期連結決算

期末配当を12円増配し60円、2026年3月期予想は10円増配の70円

 新コスモス電機の2025年3月期通期連結決算は、売上高421億5300万円(前年同期比9.4%増)、営業利益51億5500万円(同26.2%増)、経常利益54億5100万円(同13.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益33億7600万円(同14.1%増)となった。期末配当を直近予想の48円から12円増配し60円とした。

 一酸化炭素検知機能付き火災警報器「プラシオ」、IoTを活用した家庭用都市ガス警報器や半導体工場向けガス検知警報装置「PS-8シリーズ」など、家庭用ガス警報器関連、工業用定置式ガス検知警報器関連および業務用携帯型ガス検知器関連の各分野において独自のガスセンサ技術を活かした機器の開発・販売を進めた。また、世界中のガス事故ゼロを目指し、より一層、安全・安心で快適な環境づくりに貢献するため、高性能・高品質・高付加価値製品の開発に取り組むとともに、グループのネットワークを活かしたグローバルな営業活動を展開し、業績の向上に努めた。

 商品別概況は次のとおり。

家庭用ガス警報器関連

 ニューヨーク市条例による警報器設置義務化の影響を受け、北米向け電池式メタン警報器の販売が好調に推移した。加えて、国内向けの都市ガス用警報器の販売も堅調に推移。売上高は217億3500万円(前期比12.7%増)。

工業用定置式ガス検知警報器関連

 海外市場の半導体業界向けガス検知警報器の販売が好調に推移した。加えて、国内市場の半導体業界および自動車業界などに向けたガス検知警報器の販売も好調に推移。また、メンテナンスサービスも堅調だった。売上高は119億9300万円(前期比6.1%増)。 

業務用携帯型ガス検知器関連

 国内市場の都市ガス業界および電力業界に向けたガス検知器の販売が好調に推移した。また、メンテナンスサービスも堅調に推移。売上高は64億円(前期比1.7%増)。

今後の見通し

 2026年3月期の通期連結業績予想は、売上高480億円(前年同期比13.9%増)、営業利益56億円(同8.6%増)、経常利益57億2000万円(同4.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益34億5000万円(同2.2%増)を見込む。年間配当金予想は前期比5円増配するとともに、2026年3月期が設立65周年となるため5円の記念配当を実施し、期末配当70円となる前期比10円増配の計70円を見込む。

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フクダ電子 2025年3月期通期連結決算

在宅医療向けレンタル事業、AEDが伸長

 フクダ電子の2025年3月期通期連結決算は、売上高1390億0700万円(前年同期比0.9%減)、営業利益258億7400万円(同2.4%減)、経常利益266億3300万円(同1.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益186億0500万円(同0.5%減)となった。2025年5月8日付で期末配当を110円(直近予想は85円)へ修正し、中間配当85円とあわせた年間配当金は195円(前期は185円)とした。

 在宅医療向けレンタル事業を含む治療装置部門の売上高は619億5100万円(前期比3.8%増)だった。在宅医療向けレンタル事業、AEDが伸長した。

今後の見通し

 2026年3月期通期連結業績予想は、売上高1370億円(前年同期比1.4%減)、営業利益240億円(同7.2%減)、経常利益240億円(同9.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益170億円(同8.6%減)を見込む。年間配当金は中間配当90円、期末配当90円の計180円(前期は195円)を予想する。

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高圧ガス工業 2025年3月期通期連結決算

2026年3月期の株主還元方針を見直し「配当性向50%を目安にDOE2.5%を下限」として配当を実施、年間配当金予想を20円増配

 高圧ガス工業の2025年3月期通期連結決算は、売上高989億8300万円(前年同期比6.1%増)、営業利益59億6900万円(同4.0%増)、経常利益66億4200万円(同0.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益47億8400万円(同6.2%増)だった。期末配当金は10円とし、中間配当とあわせた年間配当金は20円とした。

 セグメント別の経営成績は次のとおり。

ガス事業

 売上高は735億2900万円(前年同期比6.5%増)、営業利益は65億9400万円(同7.6%増)。

 鉄鋼、自動車、建設などの仕向け先において、需要回復が鈍く、更に原材料価格の高騰が続く厳しい状況で推移した。長年の事業活動により培われた強みを生かし、シリンダーガスビジネスの持続的な成長や収益の改善を目指し、地域に密着した営業に努めた。

 『溶解アセチレン』は、自動車、造船及び建設・土木向けに需要が減少し、売上高は前期を下回った。『その他工業ガス等』は、酸素は銅製錬向けの需要増加、窒素は食品向けの需要増加、アルゴンは、住宅設備向けが増加した。LNG、アンモニア及びフルオロカーボンは、新規獲得により増加し、売上高は前期を上回った。『溶接溶断関連機器』は、設備工事の獲得や工作機械等の受注が回復し、売上高は前期を上回った。『容器』は、水素用長尺容器の新規獲得や消火設備装置向け容器の需要が増加し、売上高は前期を上回った。 

化成品事業

 売上高は215億6800万円(前年同期比5.1%増)、営業利益は新設した甲賀工場の初期投資の影響で8億5600万円(同30.9%減)。

 円安影響やナフサ価格の上昇による原材料価格の高騰が続く厳しい状況で推移した。さらなる生産体制の増強のために甲賀工場を新設し、仕向け先への製品の安定供給に努めるとともに、新しい技術開発により、環境配慮型水性接着剤や高耐候性塗料など環境にやさしい製品や付加価値の高い製品づくりに努めた。

 『接着剤』は、ペガールは紙工用・塗料用が増加、ベトナムで木工用が増加した。シアノンはコンシューマー用が南米向けが減少したが、韓国向けの需要が増加、また、工業用がドイツで需要が増加した。ペガロックは欧米向けの需要が増加。売上高は、接着剤全般の原材料価格の高騰に伴なう価格改定もあり、前期を上回った。『塗料』は、建築用塗料の戸建塗替え需要の低迷が続くなか、外装用高機能品の「ビーズコートシリーズ」等の高機能製品は伸長したものの、一般建築塗料・防水用塗料・工業用塗料が減少した。また、エアゾール製品は塗料・食品・防水スプレーが伸長したが、売上高は前期を下回った。

その他事業

 売上高は38億8500万円(前年同期比3.9%増)、営業利益は9300万円(同279.5%増)。

 LSIカード関連及び食品添加物の需要が増加した。

今後の見通し

 2026年3月期の通期連結業績予想は、売上高1020億円(前年同期比3.0%増)、営業利益63億円(同5.5%増)、経常利益71億円(同6.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益45億円(同5.9%減)を見込む。年間配当金予想は中間配当20円(前期比10円の増配)、期末配当20円(同10円の増配)の計40円と前期比20円の増配を見込む。

 資本構成の適正化と⾃⼰資本の過剰な積み増しを回避するため、今期から株主還元⽅針を⾒直し、安定的かつ継続的な配当を実施する基本⽅針の下、「配当性向50%を目安にDOE2.5%を下限」として配当を実施する。また、機動的な⾃⼰株式取得も適宜検討する。

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大丸エナウィン 2025年3月期通期連結決算

2026年3月期の通期業績見通しは、売上高335億万円(0.2%増)、経常利益14億2000万円(4.6%増)、増収増益

 大丸エナウィンの2025年3月期通期連結決算は、売上高334億1800万円(前年同期比11.7%増)、営業利益12億6600万円(同20.0%増)、経常利益13億5600万円(同16.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8億8800万円(同21.1%増)となった。年間配当は前期比2円増配の27円(中間配当13円、期末配当14円)。

 グループの売上高は、LPガスの出荷量が前連結会計年度と比べ増加し、またLPガスの仕入価格に連動する販売単価が上昇したこと等により、前連結会計年度と比べ35億1300万円(11.7%)の増収となった。
 損益面では、売上高の増加に伴い、売上総利益は、102億3000万円と前連結会計年度と比べ2億6700万円(2.7%)の増益。販管費は、89億6400万円と前連結会計年度と比べ5500万円(0.6%)の増加となり、営業利益は、前連結会計年度と比べ2億1100万円(20.0%)の増益となった。
 営業外収益及び営業外費用を加減算した経常利益は、前連結会計年度と比べ1億9100万円(16.4%)の増益。法人税等控除後の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べ1億5500万円(21.1%)の増益となった。

セグメント別概況

リビング事業

 住宅設備部門の販売が減少したものの、LPガスの出荷量が前連結会計年度と比べ増加し、またLPガスの仕入価格に連動する販売単価が上昇したこと等により、売上高は、240億4400万円と前連結会計年度と比べ26億7600万円(12.5%)の増収。住宅設備部門の販売の減少等により売上総利益が減少したものの、販管費が減少したため、セグメント利益(営業利益)は、7億3700万円と前連結会計年度と比べ9100万円(14.3%)の増益だった。

アクア事業

 「スーパーバナジウム富士」の販売本数が増加したこと等により、売上高は、12億2900万円と前連結会計年度と比べ1300万円(1.1%)の増収となった。売上総利益は減少したものの、販管費が減少したため、セグメント利益(営業利益)は、6200万円と前連結会計年度と比べ200万円(3.5%)の増益。

医療・産業ガス事業

 在宅医療機器のレンタルや販売が増加したこと等により、売上高は、81億4400万円と前連結会計年度と比べ8億2300万円(11.2%)の増収。売上高の増加に伴い売上総利益も増加し、販管費が増加したものの、セグメント利益(営業利益)は、4億6600万円と前連結会計年度と比べ1億1700万円(33.6%)の増益となった。

今後の見通し

 LPガス消費者軒数増加のため、営業権の譲受けや新規LPガス供給設備投資を積極的に行い、また、アクア事業におけるミネラルウォーターの宅配事業と医療・産業ガス事業における在宅医療機器レンタル及び医療・産業ガス販売においてもM&A等による事業規模の拡大を図り、リビング事業に続く収益の柱として利益の安定を目指す。
 次期、2026年3月期の通期連結業績見通しは、売上高335億円(前年同期比0.2%増)、営業利益13億5000万円(同6.6%増)、経常利益14億2000万円(同4.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8億6000万円(同3.2%減)を見込む。年間配当金予想は、中間配当13円、期末配当14円の27円を維持した。

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東邦アセチレン 2025年3月期通期連結決算

2026年3月期通期業績予想は売上高350億円(0.6%増)、経常利益20億円(7.9%減)、増収減益

 東邦アセチレンの2025年3月期通期連結決算は、売上高348億0400万円(前年同期比1.7%減)、営業利益19億1400万円(同9.5%減)、経常利益21億7000万円(同11.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益12億8700万円(同9.1%減)となった。年間配当金は中間配当5円、期末配当9円の合計14円。

セグメント別業績

ガス関連事業

 売上高は、211億6000万円と前連結会計年度に比べ1億2400万円(0.6%)増加したが、営業利益は19億1700万円と前連結会計年度に比べ1億7400万円(8.3%)減少。窒素は発電所向け、液化石油ガスは暖冬の影響により出荷数量は減少したが、酸素は工業用向けに出荷が好調であったこと及び液化石油ガスは輸入価格の変動に伴い販売価格が上昇したことから、売上高は増加した。利益面では、多賀城工場の大規模定期修理を実施したことにより、営業利益は減少。

エスプーマ関連事業

 売上高は、17億6000万円と前連結会計年度に比べ3000万円(1.7%)減少したが、営業利益は5億3600万円と前連結会計年度に比べ5200万円(10.9%)増加した。食品関連器材の需要が減少したこと等から売上高は減少。営業利益は、食品用ガス容器の購入が前期と比較し減少したことにより増加した。

器具器材関連事業

 売上高は、95億1300万円と前連結会計年度に比べ10億1000万円(9.6%)減少、営業利益は3億3200万円と前連結会計年度に比べ1億6900万円(33.7%)減少した。溶接材料は自動車向け及び建設向け、溶接切断器具は工業用向けの大型機械及び消耗品の需要が減少したことにより売上高及び営業利益は減少した。

自動車機器関連事業

 売上高は、9億9700万円と前連結会計年度に比べ3億5400万円(55.2%)増加、営業利益は前連結会計年度に比べ2900万円増加し、2200万円の営業利益(前連結会計年度は700万円の営業損失)。自動車部品メーカーの国内外の設備投資需要が増加したことにより売上高及び営業利益は増加した。

製氷機関連事業

 売上高は、11億0200万円と前連結会計年度に比べ8900万円(7.5%)減少したが、営業利益は2億0700万円と前連結会計年度に比べ8700万円(73.5%)増加した。製氷・冷凍機械の大型物件の減少により売上高は減少したが、製造コストの低減を図り営業利益は増加した。

その他

 売上高は、2億6900万円と前連結会計年度に比べ3200万円(13.5%)増加、営業利益は5600万円と前連結会計年度に比べ700万円(14.9%)増加した。医療用ガス配管工事が増加したことにより、売上高及び営業利益は増加した。

今後の見通し

 2026年3月期は中期経営計画の最終年度となり、通期の連結業績予想は売上高350億円(前年同期比0.6%増)、営業利益19億円(同0.8%減)、経常利益20億円(同7.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益12億円(同6.8%減)を見込む。年間配当金予想は、中間配当5円、期末配当9円の合計14円を維持した。

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帝人 2025年3月期通期連結決算(IFRS)

CPAPは検査数の増加で新規処方件数拡大継続、レンタル台数は前期末対比約7%増。新機台の投入台数や消耗品使用量の増加でコスト負担が増大

 帝人の2025年3月期通期連結決算は、売上収益1兆0054億7100万円(前年同期比4.7%増)、事業利益275億9400万円(同25.7%増)、営業利益718億2800万円の赤字(前年同期は49億1200万円の赤字)、親会社の所有者に帰属する当期純利益283億4700万円(前年同期は117億1200万円の赤字)となった。2023年4月1日を移行日として、当期からIFRSを適用、前期の連結財務諸表についても、IFRSを適用して表示。

※事業利益は、営業利益に持分法による投資損益を加算し、非経常的な損益(持分法による投資損益のうち金融損益や減損損失等の非経常的な損益を含む)を除いて算出

 帝人グループは、2024年5月に中期経営計画2024-2025を公表し、「収益性改善の完遂による基礎収益力の回復」と「事業ポートフォリオ変革」を主要課題に掲げ、各種施策を推進している。2024年度は収益性改善の施策を概ね計画通り達成するとともに、戦略的オプションの実行による事業の絞り込みに目途を付けた。一方、景気減速の影響により、マテリアル事業領域の需要が伸び悩むなど、新たな課題に直面した。中期経営計画で掲げた中長期的な方針に変更はないが、成長軌道への回帰に向けて、短期的には足元の厳しい市場環境に適応すべく、生産体制の見直しを含むコスト削減に取り組むなどレジリエントな対応を進める。

 事業利益に関して、マテリアル事業領域では、収益性改善策の効果の追加発現や、アラミド事業および樹脂事業を中心とした複数の用途での販売量増加により増益。また繊維・製品事業は、販売が好調に推移し増益となった。ヘルスケア事業においては、薬価改定影響および在宅医療機器の新機台投入によるコスト増などにより減益だった。

 在宅医療分野を含むヘルスケアセグメントの売上収益は1370億円(前年同期比77億円の減収、同5.3%減)、事業利益57億円(前年同期比125億円の減益、同68.7%減)。在宅医療機器分野では、在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)市場において、検査数の増加に伴い新規処方件数の拡大が継続し、レンタル台数は順調に増加(前期末対比約7%増)した。一方、新機台の投入台数や消耗品の使用量の増加に伴うコスト負担が増大。また、在宅酸素療法(HOT)市場では、全体としてはレンタル台数が微減となったが、2023年7月に上市した携帯型酸素濃縮装置新機種「ハイサンソポータブルαⅢ」のレンタル台数が順調に増加した。

今後の見通し

 2025年度は戦略的オプションの実行により絞り込んだ事業ポートフォリオでの収益基盤を整え、成長に向けての戦略の具体化と実行を進める。2026年3月期通期連結業績予想は、売上収益は8600億円(前年同期比14.5%減)、事業利益は350億円(同26.8%増)、営業利益は200億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は120億円(同57.7%減)。年間配当金予想は中間配当25円、期末配当25円の合計50円を維持した。ヘルスケアセグメントの通期業績見通しは売上収益1350億円(前年同期比20億円の減収)、事業利益125億円(同68億円の増益)。

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岩谷産業 2025年3月期通期連結決算

セパレートガス販売は堅調も、中国を中心にヘリウム市況が軟化、営業利益は前期比8.7%減

 岩谷産業の2025年3月期通期連結決算は、売上高8830億1100万円(前年同期比4.1%増)、営業利益462億2800万円(同8.7%減)、経常利益614億8700万円(同1.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益404億4800万円(同6.9%減)となった。2024年5月13日公表の直近業績予想から、売上高で189億8800万円減少、営業利益が64億7100万円減少、経常利益で113億1200万円減少、親会社株主に帰属する当期純利益が135億5100万円減少となった。

 売上高は、次世代自動車向け二次電池材料の販売低迷等により、前回発表予想を下回った。営業利益は、エアセパレートガスの販売は堅調に推移したものの、中国を中心にヘリウムの市況が軟化したこと等により収益性が低下した。また、コスモエネルギーホールディングス株式会社に係る持分法投資利益の減少に加え、オーストラリアの水素関連プロジェクトの撤退損を計上したこと等により、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益も前回発表予想を下回った。

 2025年3月期の期末配当を直近予想の32.5円から47円(前期実績は130円。2024年10月1日付で普通株式1株につき4株の割合で株式分割を実施)へ増配した。配当方針は、①コスモエネルギーホールディングスの持分法化に伴う利益影響を除く親会社株主に帰属する当期純利益、②コスモエネルギーホールディンスの持分法化に伴う利益影響の2つに区分して配当するとしており、直近の配当予想においては、②に関する配当を含めていなかったが、利益影響が確定し、配当金は1株当たり14.5円とした。また、①に関する配当は、業績の状況等を踏まえ、期初配当予想通りの1株当たり32.5円とした。

当期の経営成績の概況

 水素エネルギー社会の実現に向け、燃料電池バス専用の水素ステーション「岩谷コスモ水素ステーション有明自動車営業所」を東京都交通局の営業所内に開所した。また、水素燃料電池船「まほろば」による2025年大阪・関西万博での旅客運航を開始し、モビリティ用途としての水素活用を推進した。
 脱炭素戦略の一環として、カーボンオフセットカセットガスの販売を開始。岩谷産業が販売するカセットガスのカーボンフットプリントを算定し、自社で創出したJ-クレジットを活用してCO2をオフセットした商品で、カセットこんろ用ボンベ業界では初めての取り組みとなる。また、2025年大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンに対してカーボンオフセットしたLPガスを供給するなど、脱炭素社会に向けた取り組みを推進した。
 重要鉱物資源の安定調達に向けては、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と合弁会社「日仏レアアース株式会社」を設立し、希少資源であるレア・アースを生産するフランス企業と出資契約を締結した。これにより、生産する重希土類の50%を長期調達する。岩谷産業は、1990年代よりレア・アースの輸入・販売を始めており、今後も日本の重要鉱物のサプライチェーン構築に貢献するとともに、安定供給力の強化により事業拡大に取り組む。

 セグメント別の状況は次のとおり。

【総合エネルギー事業】

 売上高は3787億8200万円(前年同期比216億4900万円の増収)、営業利益は195億2600万円(同6億4600万円の減益)。

 LPガス輸入価格が高値で推移したことに加え、工業用LPガスの販売が堅調に推移し、増収。利益面においては、エネルギー関連機器等の販売が堅調に推移した。一方、LPガスは卸売部門で販売数量が減少し、小売部門では新規連結により販売数量が増加したものの、コスト上昇により収益性が低下した。また、市況要因による増益影響が縮小(前年度比5億4000万円の減益)し、減益となった。

【産業ガス・機械事業】

 売上高は2714億4900万円(前年同期比92億7900万円の増収)、営業利益は175億7200万円(同41億3300万円の減益)。

 エアセパレートガスについては、電子部品業界向けを中心に販売数量が堅調に推移した。水素事業は、宇宙開発や脱炭素用途として、液化水素の販売数量が増加。特殊ガスについては、国内外で冷媒事業が拡大したものの、中国を中心にヘリウムの市況が軟化したことにより、収益性が低下した。また、機械設備については、脱炭素用途・脱硝用途のアンモニア供給設備や、電子部材の販売が伸長した。

【マテリアル事業】

 売上高は2016億8500万円(前年同期比34億4200万円の増収)、営業利益は117億4800万円(同5億5700万円の減益)。

 エアコン向け成形品や消費者向け樹脂製品の販売が堅調に推移。また、バイオマス燃料や食品包装向けアルミ箔の売上が伸長した。一方で、ステンレスの販売価格が下落するとともに、次世代自動車向け二次電池材料の売上が低調に推移。ミネラルサンドについては、豪州自社鉱区の収益性が低下した。

【その他】

 売上高は310億9300万円(前年同期比7億5100万円の増収)、営業利益は33億0600万円(同5億3000万円の増益)。

今後の見通し

 総合エネルギー事業は、引き続きM&A等によるLPガス直売顧客数の拡大と、エネルギー関連機器等の拡販による販売数量の増加に加え、物流合理化により収益性の改善に努める。エネルギーの低炭素化に向けた取り組みでは、燃料転換の推進やカーボンオフセットガスの販売強化、グリーンLPガスの開発を推進する。カートリッジガス事業においては、東南アジアを中心に地域のニーズに合わせた新商品の開発に努め、海外事業の拡大に取り組む。
 産業ガス・機械事業は、エアセパレートガスや特殊ガスの調達・物流コスト上昇への対応を強化するとともに、拡大が見込まれるデータセンターやAI市場向けの拡販に注力する。また、脱炭素に関連した水素やアンモニア等の設備販売を強化。水素エネルギー社会の実現に向け、脱炭素需要の着実な取り込みと、CO2フリー水素サプライチェーンの事業化を推進する。
 マテリアル事業は、ノルウェー産グリーンチタン鉱石の販売開始、バイオマス燃料の拡販に加え、リサイクルPET事業を推進する。ステンレスについては国内加工拠点を活用し、販売数量の拡大を図る。また、重要鉱物資源の確保に向けて、引き続き取り組みを進める。
 2026年3月期の通期連結業績見通しは、売上高9364億円(前年度比6.0%増)、営業利益491億円(同6.2%増)、経常利益631億円(同2.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益488億円(同20.6%増益)を見込む。中間配当ができる旨の定款変更議案を2025年6月18日開催予定の第 82 回定時株主総会に付議することを決議、原案通り承認されることを前提に、2026年3月期の中間及び期末配当予想をそれぞれ23.5円とし、年間配当金47円を維持した。

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決算

エア・ウォーター 2025年3月期通期連結決算(IFRS)

2026年3月期通期業績予想は売上収益1兆1500億円(6.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益530億円(8.0%増)、増収増益

 エア・ウォーターの2025年3月期通期連結決算(IFRS)は、売上収益1兆0759億2900万円(前年同期比5.0%増)、営業利益752億4600万円(同10.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益490億7400万円(同10.6%増)だった。物価上昇、為替変動の影響を受けるなど、厳しい事業環境であったものの、価格マネジメント、生産性向上のほか、半導体工場の新増設に伴う機器・工事事業、AI関連需要を背景としたデータセンター向けガス消火設備・高出力UPS事業の拡大等により、増収増益となり過去最高業績を達成した。

 株主に対する利益還元の一層の充実を図る目的として、これまでの配当性向30%の基準を改定し、35%へ引き上げた。同時に中長期的に業績に見合った安定的な配当を行うため、累進配当を基本方針とする。直近の期末配当予想を11円増配し32円から43円に修正、中間配当32円とあわせて年間配当金75円(前期は64円)とした。

 当期は、成長領域と位置付けるデジタル・半導体関連事業やインド、北米等の海外の産業ガス関連事業の強化を図った。国内既存事業においては、低採算案件の見直しを含めた価格マネジメント、生産性向上や効率化など、収益力を強化した。

 成長戦略実現のため、北海道の社会課題解決に関わる新事業の創造、開発、発信拠点「エア・ウォーターの森」を2024年12月に開業。2025年1月には、半導体・電池材料開発の中核拠点となる新研究棟「湘南イノベーションラボ」を開所した。オープンイノベーションの推進により、地域課題解決に貢献する新事業の創出に取り組むとともに、技術者を集約し育成を強化することでグループ各社が保有している知見・技術のシナジーを最大化し、新製品開発を加速する。また、2024年5月には、カーボンニュートラルの実現へ向け、家畜ふん尿由来のクリーンエネルギー「液化バイオメタン」の商用利用を開始するなど、製品・事業を通じた取り組みを推進した。

連結セグメント別業績

デジタル&インダストリー

 セグメント売上収益は3510億9400万円(前期比102.9%)、営業利益は362億6700万円(同108.0%)。
 鉄鋼・化学などの素材分野をはじめ国内の産業ガス需要が減少基調となる中、デジタル・半導体産業における製造拠点の増強に対応した大型プラント投資や新規取引先の開拓によってガス需要を獲得するとともに、特殊ケミカルやガス精製装置、関連工事といった半導体製造を支えるグループ商材・サービスを総合的に展開した。
 売上収益は、機能材料分野で無水フタル酸等の有機酸製品やシール材の需要低迷による影響を受けた一方、半導体工場向けガス供給の他、特殊ケミカルおよび同供給装置や半導体製造装置向け熱制御機器などデジタル・半導体関連事業が好調に推移したことで前期を上回った。営業利益は、機能材料分野やヘリウム調達コストの影響を受けたが、デジタル・半導体関連事業が好調に推移したことに加え、産業ガスの価格マネジメント効果やプラント稼働における生産性の向上も寄与し、順調に推移した。

エネルギーソリューション

 セグメント売上収益は709億1800万円(前期比106.5%)、営業利益は45億1000万円(同111.6%)。
 低・脱炭素需要が高まる中、顧客に対して重油から液化天然ガス(LNG)への燃料転換を積極的に進めた他、社会のカーボンニュートラル化に寄与する共同実証などに取り組んだ。北海道を中心とした家庭向けLPガス供給事業は、販売店の商権取得等による直販体制拡大、IoT技術を活用した配送の効率化など、収益力を強化した。
 LPガス、灯油、LNG等製品全般が市況価格に連動し、年間を通して販売価格が高水準で推移したこと、LNG関連機器の拡販が寄与したことにより売上収益は、前期から大きく伸長。営業利益は、LPガス販売における低採算取引の見直しなども加わり、増益となった。

ヘルス&セーフティー

 セグメント売上収益は2460億8300万円(前期比106.6%)、営業利益は150億9900万円(同100.1%)。
 医療用ガスの供給基盤を活かして医療機関のニーズを把握し、医療機器の開発、病院業務のアウトソーシング受託に注力した。手術室の改修案件など病院設備工事の直接受注による収益力強化に取り組んだ。
 コンシューマーヘルス分野では、事業拡大に向け、グループリソース最大化、サプライチェーン拡充など体制強化を進めた。
 国内における病院向けの新規工事案件やエアゾールの受託製造が前期に比べて減少したものの、医療機器や医療消耗品の販売拡大や衛生材料の価格改定効果があった。また、一酸化窒素吸入療法の症例数が増加した他、介護用シャワー入浴装置の販売が好調に推移。防災分野は、海外での病院向け工事案件、国内でのデータセンター向け工事案件が堅調に進展した。これらの結果、売上収益、営業利益は前期を上回った。

アグリ&フーズ

 セグメント売上収益は1744億8000万円(前期比107.3%)、営業利益は62億1900万円(同89.9%)。
 持続可能な農業と食料安定供給システムの実現を目指し、スマート農業・鮮度保持関連の技術開発の強化や農産品の取扱量拡大に取り組んだ。協業強化に取り組み、物流基盤を活かし、原料野菜の調達や青果流通・加工におけるサプライチェーンプラットフォームの構築も進めた。
 野菜・果実系飲料等の受託製造が増加したことに加え、北米市場での冷凍ブロッコリーや北海道産馬鈴薯や人参等の販売が拡大、青果仲卸事業を展開する丸進青果㈱を前期に新規連結したことが寄与した。これらの結果、売上収益は前期を上回った。一方、営業利益は、ハム・デリカにおける豚肉の原料高やスイーツにおけるコンビニエンスストア向けの採用が減少した影響、一過性費用を計上したことから前期を下回った。

その他の事業

 セグメント売上収益は2333億5300万円(前期比104.5%)、営業利益は125億8600万円(同115.8%)。

 物流事業は一般貨物及び食品輸送が堅調に推移する中、受託料金適正化の取り組みやデジタル技術活用による業務効率化を進めた。加えて、協業による青果物等の荷扱量、産業廃棄物の取扱量が増加したことから前期を大きく上回った。
 ㈱日本海水は、電力事業における燃料ガス価格上昇の影響があったが、塩事業における融雪塩や食品事業における海苔・ふりかけの販売が好調に推移したことで前期を上回った。
 電力事業は小名浜バイオマス発電所で、大規模点検により例年に比べ稼働日が減少した影響があったが、発電燃料であるPKS(パーム椰子殻)の市況低下やコスト低減の取り組みが寄与したことから営業利益は前期を上回った。
 グローバル&エンジニアリング事業では、インド市場は、鉄鋼向けオンサイト供給が堅調に推移した他、新規顧客に対してローリー・シリンダー供給による産業ガスの拡販が順調に推移した。北米市場は、建設中の自社ガスプラント稼働に向け、新規取引先獲得に努めた。また、前期に新規連結した産業ガス関連2社が収益に貢献した。高出力UPS(無停電電源装置)分野はデータセンター及び半導体メーカーの設備投資の増加を背景に、引き続き好調に推移した。
 これらの結果、その他の事業セグメントは売上収益・営業利益ともに前期を上回った。

今後の見通し

 2025年3月期の通期連結業績予想は、売上収益1兆1500億円(前年同期比6.9%増)、営業利益840億円(同11.6%増)、親会社株主に帰属する当期利益530億円(同8.0%増)とし、すべてのセグメントで増収増益を見込む。最先端半導体関連向け事業の拡大、機能材料・コンシューマーヘルス分野の回復のほか、産業ガス・業務用塩を中心とした価格マネジメントを継続する。配当金予想は中間配当37.5円、期末配当37.5円の年間配当金75円。

 エア・ウォーターは2030年度に目指す姿「terrAWell30」の達成に向けて、グループの経営資源である「多様な事業・人材・技術」のシナジーによって生み出される価値の最大化を実現するという考えのもと、「地球環境」と「ウェルネス」という2つの成長分野を設定しており、成長領域の拡大、収益力強化、新規事業創出に取り組んでいる。
 具体的には、成長領域である海外、デジタル・半導体向け産業ガス事業の拡大に向けたエンジニアリング強化のため、2025年4月に大阪府堺市で「グローバルエンジニアリングセンター」が稼働開始。グローバルな成長戦略の実現と海外グループガバナンス強化に向け、グローバル戦略推進本部を新設。新規事業創出に向け、研究所の新設や統合を行い、研究開発活動を強化、グループシナジー最大化を目指し、事業ユニットの新設・再編等、組織改革を行った。
 これら経営基盤の強化、整備に加え、「人を活かす経営」を推進し、グローバル成長戦略を担う次世代の人材育成など人的資本投資を強化し、中長期的な成長を実現する。
 現時点では、米国の関税政策によるグループ業績への影響は軽微と認識している。主力の産業ガス事業は地産地消のビジネスモデルであり、各国の関税政策の直接的な影響を受けることはないが、主要ユーザーの製造業への関税影響は不確実な状況のため、今後も注視するとしている。

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決算

住友精化 2025年3月期通期連結決算

エレクトロニクスガスの販売数量は増加

 住友精化の2025年3月期通期連結決算は、売上高1475億7100万円(前年同期比3.2%増)、営業利益107億1200万円(同12.4%増)、経常利益111億0600万円(同8.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益59億6100万円(同3.3%減)となった。取引先に対する製品代金の過剰請求に関連する費用、および機能マテリアル事業の一部製品に関わる減損損失26億5200万円を特別損失に計上した。

 エレクトロニクスガスを含む機能マテリアルセグメントの業績は、売上高317億8900万円(前期比12.3%減)、営業利益は26億2200万円(前期比10.0%減)。エレクトロニクスガスの販売数量は増加したが、IRラテックスの事業が終了したことなどにより減収減益となった。

今後の見通し

 2026年3月期の通期連結業績予想は、売上高1450億円(前年同期比1.7%減)、営業利益90億円(同16.0%減)、経常利益92億円(同17.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益67億円(同12.4%増)。

 吸水性樹脂の販売数量の増加はあるものの、前期と比べて円高を見込んでいることやIRラテックスの事業終了などにより、売上高、営業利益および経常利益は減少する見込み。年間配当金予想は中間配当100円、期末配当100円の合計200円を維持した。 

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決算

理研計器 2025年3月期通期連結決算

2026年3月期通期業績予想は売上高520億円(6.0%増)、経常利益118億円(8.9%増)、増収増益

 理研計器の2025年3月期通期連結決算は、売上高490億3800万円(前年同期比7.6%増)、営業利益106億4200万円(同7.3%減)、経常利益108億3000万円(同11.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益80億0700万円(同4.4%減)だった。直近の期末配当予想を修正し、20円から25円に5円増配した。中間配当20円を加えた年間配当金は45円。

 主要顧客である半導体業界の在庫調整局面からの回復はまだらに推移しているが、生成AI向け半導体の需要急増に向けた先端半導体投資等中長期的には成長が見込まれている。理研計器グループでは「中期経営計画 2024年3月期~2026年3月期」の2年目において「変化への対応・海外市場の強化」を方針に掲げ、人と技術の力による、マーケティング体制の強化と新領域の開拓とともに、脱炭素・カーボンニュートラルやIoTに対応する新技術の開発への取り組みを進めた。

 顧客の納期要求や製品に求められる認証取得に適確に応えるべく、品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)の維持向上に取り組むとともに、中長期的な視点に立って海外半導体業界で主流の多点テープ式ガス検知警報機器の開発や、営業部門の組織変更や認証管理部門の新設を行い競争力の強化に努めた。さらに海外市場シェアの拡大を図るため、海外子会社へ人材を積極的に派遣するなど、海外子会社の体制の充実を進めた。また、中長期的な企業価値向上の観点から、サステナビリティを巡る課題にも積極的に取り組み、SDGs、脱炭素化を意識した開発・生産・販売・アフターメンテナンスサービス活動に努めた。

機種別売上の概況

定置型ガス検知警報機器

 主要顧客である国内及び東アジア地域の半導体工場の在庫調整、中国の経済不況の影響を受けたものの、国内の更新案件等が堅調に推移したことから、売上は増加した。またガス業界、船舶業界向けの売上が堅調に推移した。アフターメンテナンスサービスも好調に推移。売上高は311億8500万円(前連結会計年度比3.8%増)。

可搬型ガス検知警報機器

 主力機種であるポータブルガスモニター「GX-3Rシリーズ」が、国内・海外の工場、船舶、ガス業界向けを中心に幅広く売上を伸ばした。アフターメンテナンスサービスも堅調に推移した。売上高は165億0500万円(前連結会計年度比15.1%増)。

その他測定機器

 売上高は、13億4700万円(前連結会計年度比14.3%増)。

今後の見通し

 主要顧客である半導体業界では、設備投資再開への前向きな兆しはあるものの、先行きについては当面の間は不透明な状況が続くと見込まれる。2026年3月期通期業績予想は売上高520億円(前年同期比6.0%増)、営業利益120億円(同12.8%増)、経常利益118億円(同8.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益86億円(同7.4%増)。年間配当金予想は、中間配当25円、期末配当25円の合計50円を見込む。

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決算

星医療酸器 2025年3月期通期連結決算

2026年3月期通期業績予想は売上高152億6000万円(1.0%増)、経常利益21億4000万円(3.7%増)、増収増益

 星医療酸器の2025年3月期通期連結決算は、売上高151億0200万円(前年同期比2.2%増)、営業利益19億8200万円(同1.0%増)、経常利益20億5200万円(同0.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益14億6300万円(同4.2%増)だった。

セグメント別概況

医療用ガス関連事業

 新規取引先拡販が順調に推移し、医療用酸素・医療用二酸化炭素の出荷量は堅調に推移した。世界情勢を反映したエネルギーコスト上昇等に伴う材料・仕入価格上昇については、市況を見ながらコスト上昇分を鑑みた適正価格への変更に注力し交渉を進めた。また物流・運送業界における2024年問題に対応すべく、円滑な組織体制づくりや人的資源の拡充にも努めた。売上高は40億0200万円(前期比4.6%増)、セグメント利益は6億3500万円(前期比4.3%増)。

在宅医療関連事業

 きめの細かい営業活動の継続により「HOT(在宅酸素療法)」、「CPAP(持続陽圧呼吸療法)」共に好調に推移した。利益面では世界的な原材料価格の上昇やエネルギー関連の高騰が続いているが、自助努力による合理化に努めた。売上高は67億3000万円(前期比6.7%増)、セグメント利益は9億0700万円(前期比13.4%増)。

医療用ガス設備工事関連事業

 保守点検業務及びそれに伴う修繕は安定した売上を確保。工事売上高は建築費の高騰により医療機関の設備投資の減少及び計画自体の中止・延期の影響を受け完成工事高が減少した。売上高は18億6000万円(前期比9.5%減)、セグメント利益は2億7200万円(前期比21.0%減)。

介護福祉関連事業

 居宅介護支援事業所(国保連レンタル)の売上は前年の売上を下回ったが、病院及び施設への販売は継続的な営業を行い順調に推移した。デイサービス及び訪問看護事業所部門は、都内3拠点を事業基盤として地域へのPR活動強化による認知度アップとスタッフの増員など運営体制の充実を図ったが、一部人員の欠員等に伴い前年の売上を下回った。売上高は11億6200万円(前期比4.1%減)、セグメント利益は4400万円(前期比9.5%増)。

施設介護関連事業

 売上高は3億3100万円(前期比5.4%減)、セグメント損失は1800万円の赤字(前期は1600万円の黒字)。

今後の見通し

 社会全体で進むデジタル化に対応するため、DX推進を一層強化し、業務効率化や柔軟な経営体制の整備に取り組むことで変化に強い組織づくりを目指す。働く環境への設備投資を進め、業務効率や従業員の意欲向上を図ることで生産性の向上にも努める。高齢化の進展により、福祉や在宅医療分野でのニーズは今後さらに高まる見通し。社会の変化を的確に応え、医療を支える一員として、持続可能な価値の創出を目指す。
 2026年3月期通期業績予想は、売上高152億6000万円(前期比1.0%増)、営業利益20億7000万円(前期比4.4%増)、経常利益21億4000万円(前期比3.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益14億7600万円(前期比0.9%増)を見込む。年間配当金予想は中間配当35円、期末配当35円の合計70円を維持した。

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決算

小池酸素工業 2025年3月期通期連結決算

2026年3月期通期業績予想は売上高550億円(0.4%減)、経常利益56億円(7.4%減)、減収減益

 小池酸素工業の2025年3月期通期連結決算は、売上高552億0600万円(前年同期比7.4%増)、営業利益54億4800万円(同26.3%増)、経常利益60億4600万円(同17.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益36億3300万円(同18.9%増)だった。主需要先である造船業界は高い水準の手持ち工事量を維持しているものの、建設業界では鉄骨、橋梁需要が減少し、産業機械業界では市況は低調に推移した。直近の配当予想を修正し、期末配当を220円から260円に40円増配した。

セグメント別業績

機械装置

 11月に「2024 KOIKEプライベートフェア」を開催し、DBC(Dual Beam Control)ファイバーレーザー切断機の納入ユーザーによる講演会や新たな切断技術である「厚板CW切断」による軟鋼40mmの高品質切断の実演等により、多数の引き合いを獲得した。また、自動化、省力化、IT化などの課題解決を実現する新製品を販売開始し新規顧客の獲得が進んだ。海外市場においてはサウジアラビアの新造船所向けの設備納入が進んだことにより、売上高は増加した。売上高は258億8500万円(前期比16.8%増)、セグメント利益は49億3100万円(同45.8%増)。

高圧ガス

 産業ガス分野においては、原材料や物流コストの高騰等に伴う価格改定、深耕拡大および新規拡販活動に注力した。医療分野においては、仕入価格の上昇等に伴う価格改定、CPAPレンタルや院内感染防止対策機器の営業活動を強化したことにより、売上高は増加しましたが、セグメント利益は減少。売上高は204億円(前期比1.5%増)、セグメント利益は13億7200万円(同5.7%減)。

溶接機材

 新商品であるファイバーレーザー溶接機の販売に成果があったが、建設・産業機械業界の需要低迷や輸入商材の価格高騰を背景に溶接材料などの出荷量が減少したことにより、売上高、セグメント利益とも減少した。売上高は81億6400万円(前期比2.2%減)、セグメント利益は5億8300万円(同3.6%減)。

その他

 海外向けの排ガス処理装置の販売は好調に推移したが、ヘリウム回収精製装置の受注が減少したことにより、売上高、セグメント利益とも減少した。売上高は7億5600万円(前期比3.1%減)、セグメント利益は1億9200万円(同16.7%減)。

今後の見通し

 機械装置部門においては、オンリーワン技術のDBC(Dual Beam Control)ファイバーレーザー切断機の更なる販売強化に努めていくとともに、機械性能向上並びに切断現場の自動化、省力化、IT化などを目指した研究開発に注力する。また、海外市場においてもDBCファイバーレーザー切断機の販売を強化する。

 高圧ガス部門においては、機械との一体販売の更なる推進などにより新規顧客の獲得に取り組むとともに、原材料および物流コスト上昇等に伴う価格改定に取り組む。また、将来に向けたガス事業の構造改革として充填工場の再構築や配送の合理化を推進し、安全、安定供給および原価低減を図る。医療分野においては、酸素濃縮器レンタル、CPAPレンタルなどの強化と、原材料等のコスト上昇に伴う価格改定に取り組む。

 溶接機材部門においては、アーク溶接機、ファイバーレーザー溶接機、溶接材料等の新製商品を、人手不足や脱技能化といった課題解決に資する商材として拡販に努める。また、資材や運送費等の仕入価格高騰等に伴う商品価格の改定に取り組む。

 その他の部門においては、カーボンニュートラル時代を見据えた新製品として、水素を燃料とした排ガス処理装置の開発に取り組む。また、ヘリウム液化関連機器の受注、半導体市場向けヘリウム回収精製装置の開発など、ヘリウムリサイクル事業の拡大に取り組む。

 2026年3月期の通期連結業績予想は、売上高550億円(前年同期比0.4%減)、営業利益51億円(同6.4%減)、経常利益56億円(同7.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益32億円(同11.9%減)を見込む。配当予想は期末配当48円、年間配当金48円とした。(2025年4月1日付で普通株式1株につき5株の割合で株式分割を実施)

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決算

日本酸素HD 2025年3月期通期連結決算(IFRS)

2026年3月期通期業績予想は売上収益1兆2900億円(1.4%減)、コア営業利益1910億円(1.0%増)、減収増益

 日本酸素ホールディングスの2025年3月期通期連結決算は、売上収益1兆3080億2400万円(前年同期比4.2%増)、コア営業利益1891億4900万円(同13.9%増)、営業利益1659億0600万円(同3.6%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益987億7900万円(同6.7%減)だった。2025年3月期期末配当金を直近予想の24円から3円増配の27円に上方修正し、年間配当金は51円(前年同期は44円)とした。

 グループ全体における製商品の出荷数量は微減だったが、主力製品であるセパレートガス(酸素、窒素、アルゴン)の出荷数量は前期並みとなった。グループ全体で、コスト上昇による販売価格への転嫁等の価格マネジメント、地域ごとの生産性向上プログラムに取り組んだ。一方、米国で建設を進めていた水素生産設備の建設計画中止に伴い、減損損失が発生した。

 為替の影響については、期中平均レートが前連結会計年度に比べ、米ドルで145円31銭から152円57銭へと7円26銭(同5.0%増)、ユーロで157円72銭から163円66銭へと5円94銭(同3.8%増)の円安となるなど、売上収益は全体で約353億円、コア営業利益は全体で約55億円のプラス影響となっている。

セグメント業績

 セグメント業績は、次のとおり。セグメント利益はコア営業利益で表示。コア営業利益は営業利益から非経常的な要因により発生した損益(事業撤退や縮小から生じる損失等)を除いて算出。

日本

 セパレートガス及び炭酸ガスの出荷数量は減少した。また、電子材料ガスは減収。一方、機器・工事では、産業ガス関連、エレクトロニクス関連共に、中大型案件の工事の進捗に伴う売上等により、増収となった。なお、前期の特定顧客向けにオンサイト供給を担う子会社のジョイント・オペレーション化及び民生用LPガス事業を担う子会社の非連結化による減収影響があった。セグメント利益は、電力代の落ち着きや、機器・工事における売上収益の増加が寄与し、増益。
 売上収益は、4100億0900万円(前連結会計年度比1.1%減少)、セグメント利益は、470億9000万円(同9.5%増加)。

米国

 セパレートガスの出荷数量は微増、価格マネジメントの効果により、増収となった。機器・工事では、産業ガス関連、エレクトロニクス関連共に販売が軟調だった。セグメント利益は価格マネジメントの効果に加え、生産性向上に取り組んだ結果、増益。
 売上収益は、3602億円(前連結会計年度比3.8%増加)、セグメント利益は、597億6100万円(同19.5%増加)。 

欧州

 セパレートガスの出荷数量は前期並み、炭酸ガスは軟調だったが、価格マネジメントの効果もあり、増収。機器・工事では、ガス関連機器及び医療関連機器の販売が好調で増収となった。セグメント利益は、売上収益の増加に加え、生産性向上活動が寄与し、増益。
 売上収益は、3286億0100万円(前連結会計年度比8.6%増加)、セグメント利益は、624億1900万円(同17.2%増加)。

アジア・オセアニア

 セパレートガスの出荷数量は堅調に推移。主に豪州地域での販売が多くを占めるLPガスでは、販売数量が堅調に推移し、増収だった。エレクトロニクス関連では、ガス・機器共に増収となった。一方、セグメント利益は、豪州における人件費及び物流費の上昇、ヘリウムの供給過多による一部地域での販売価格の軟化もあり、減益だった。また、豪州における買収事業の取得関連費用を第4四半期に計上したことも減益の要因。
 売上収益は、1765億3800万円(前連結会計年度比10.1%増加)、セグメント利益は、150億4700万円(同5.6%減少)。

サーモス

 日本では、機能的でスタイリッシュなデザインの新製品の上市もあり、ケータイマグの販売は堅調、また、韓国の販売は前期並みで増収となった。セグメント利益は、引き続き円安に伴う製造コストの増加の影響を受けたが、コスト低減に努め、増益となった。
 売上収益は、325億9300万円(前連結会計年度比5.9%増加)、セグメント利益は、62億8600万円(同12.9%増加)。

今期の見通し

 2026年3月期の産業ガス事業では、食品・飲料、医療といったレジリエントマーケットへの注力による成長のほか、カーボンニュートラル社会の実現に向けて取り組む顧客とともに新たな事業機会を探求する。また、エレクトロニクス分野では、顧客の生産、需要、設備投資計画に合わせて対応する。

 地政学的問題を背景とした2022年3月期から始まった世界的なエネルギー価格の上昇による厳しい事業環境は、徐々に緩和しているが、地域により状況が異なるとともに、依然として今後のエネルギー価格を見通すことは容易ではない。引き続き、適切な価格マネジメント、さまざまな生産性向上への取組みに、グループ全体で注力する。

 また、サーモス事業は、物価上昇による原材料価格の上昇は継続する見通し。新たなデザイン、あるいは食洗器対応シリーズ等の機能性を高めた新製品の販売や、調理器具を含む製品ラインナップの拡充、オンライン通販ビジネスを含む電子商取引(EC)サービスに注力し、業績改善を図る。
 2025年3月期の連結会計年度では、中期経営計画で定めた5つの財務KPI目標(最終年度:2026年3月期)のうち、3つの指標(売上収益、コア営業利益、ROCE after Tax)で上回ったが、今後も顧客の期待に応え、顧客への価値提供、価格マネジメント、生産性向上の取組みを継続し、収益力の強化を図る。 

 2026年3月期の連結業績予想は、売上収益1兆2900億円(前年同期比1.4%減)、コア営業利益1910億円(同1.0%増)、営業利益1910億円(同15.1%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益1160億円(同17.4%増)を見込む。

 主要通貨の米ドル・ユーロの想定為替レートは、 米ドルで141円00銭、ユーロで162円00銭とした。年間配当金予想は、中間配当が前年同期比3円増配の27円、期末配当は27円を維持し、年間配当は54円(前年同期比3円増配)を見込む。

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