産業ガスのグリーントランスフォーメーション


三菱重工グループ、米国ジョージア・パワーと世界最大の水素50%混焼実証に成功


天然ガス100%焚きに比べCO2排出を約22%減、2022年の水素20%混焼実証成功に次ぐ快挙

 三菱重工グループの米国現地法人である三菱パワーアメリカ(Mitsubishi Power Americas, Inc.)は、米国の電力会社ジョージア・パワー(Georgia Power)とともに、ジョージア州スマーナ(Smyrna)市にある同電力会社のマクドノフ・アトキンソン(McDonough-Atkinson)発電所で、M501GAC形天然ガス焚きガスタービンを使い、部分負荷および全負荷の条件下において、水素を50%混合(水素混合比率は、体積比)した燃料による燃焼実証試験に成功した。この実証成功は、高効率・大型のガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電設備によるものとしては世界最大規模。水素50%混焼により、CO2排出量は天然ガス100%焚きに比べ約22%削減される。

 ジョージア・パワーは、サザン・カンパニー(Southern Company)グループ最大の電力子会社。同社は、発電設備群全体でCO2排出量を削減しながら、顧客に信頼性が高く手頃な価格のエネルギー提供を増進させる新しい研究開発を継続的に推進し、その一環と位置づける画期的挑戦に向け、三菱重工グループとの協力関係を結んだもの。同社は2007年以来、CO2排出量を60%以上削減してきた。

 今回の実証試験は、2022年6月にマクドノフ・アトキンソン発電所で既存のM501G形GTCC発電設備を使って実施した水素20%混焼による最初の実証試験成功に次ぐものとなる。水素50%混焼への準備として2024年、ガスタービンを蒸気冷却方式から高比率での水素混焼実績があるJ形燃焼技術を搭載した空気冷却方式へ換装することに着手。50%の水素混焼実証に先立って5%から50%まで複数の水素混合割合での試験を経て、5月から6月にわたって実証を行った。

 マクドノフ・アトキンソン発電所は、州都アトランタの中心街から約15kmの距離に位置し、80年以上にわたって電力を供給してきた。2012年には天然ガス焚きに燃料転換、最大170万世帯に電力を供給できるよう拡張された。現在、高性能・高効率かつ大容量のM501Gシリーズのガスタービン6台および蒸気タービン3台から成る3系列のGTCC発電設備が稼働している。

 三菱重工は今回、出力28万3,000kWのM501GAC形ガスタービン1台の水素混焼を完了。この過程において、エンジニアリング、計画立案、水素混合燃焼装置・機器の提供、運転制御、試運転、ならびにリスク管理を含む完全なターンキーサービスを提供した。水素の供給と物流などの管理については、北米の新エネルギー関連企業であるサータラス社(Certarus Ltd.)との協力で取り組んだ。

 技術コンサルタントは、業界で主導的地位にあるサザン・カンパニーの研究開発組織が務めた。同チームは、低炭素水素発電、生産、輸送、インフラ、およびエネルギー貯蔵に焦点を当てた研究に取り組む。


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