旭化成、フィンランドの水素プロジェクトに1MW級のコンテナ型アルカリ水電解システムAqualyzer™-C3を供給

寒冷地環境でアルカリ水電解システムを含む水素供給インフラや燃料電池車の運用実証

 旭化成は、Central Finland地区で脱炭素プロジェクトを推進するCentral Finland Mobility Foundation(本部: フィンランド ユバスキュラ市、以下「Cefmof」)より、1MW級のコンテナ型アルカリ水電解システム「Aqualyzer™-C3(アクアライザー・シーキューブ)」を受注した。

 Cefmofは、フィンランド ユバスキュラ市、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(以下「TGR-WRT」)と一般財団法人トヨタ・モビリティ基金によって設立され、Central Finland地区の脱炭素化を水素の活用を通じて支援する現地社団法人。※1

 現在、フィンランドのユバスキュラ市で、水素を燃料とするバスや乗用車の導入を通じて、水素を活用したモビリティ分野の活性化を図るプロジェクト(以下、「本プロジェクト」)が、Cefmofやユバスキュラ市をはじめとする関係者の連携により進められている。本プロジェクトは、Central Finland地区内で、水素を製造・使用する「地産地消モデル」の構築を目指す。フィンランド初となる商用水素ステーションの開設※2に合わせて、その隣接地に旭化成のコンテナ型アルカリ水電解システムが設置される予定。

 水素社会を世界規模で実現するためには、さまざまな気象条件下での運用課題の検証と、技術的信頼性の確保が必要だが、ユバスキュラ市では冬季に厳しい寒さとなることから、寒冷地環境におけるアルカリ水電解システムを含む水素供給インフラや燃料電池車の運用実証を行うことが可能。凍結リスクなどの寒冷地特有の課題に対応しながら実証を進めることで、フィンランドを含む寒冷地における水素社会の実現に向けた重要な一歩となる。

旭化成の水素関連事業について

 旭化成は、水素関連事業を将来の成長ドライバ―となる「戦略的育成」事業の1つとして位置付け、本格的な事業化に向けた投資を行っている。旭化成の既存事業であるイオン交換膜法食塩電解事業を通じて蓄積してきた顧客基盤、技術などの無形資産を水素関連事業に活用することで、多様なパートナーとの協業などの活動が着実に進捗している。

 旭化成は、これまで実証を行ってきた大規模アルカリ水電解システム「Aqualyzer™」に、コンテナ型アルカリ水電解システム「Aqualyzer™-C3」を新たにラインアップに加えた。Aqualyzer™-C3は、新規に水電解システムを導入する企業向けのエントリーモデルとして、また、小規模な分散型設備を構築するために適したシステム。今後は、本システムを通じて、初期導入を支援しつつ、将来的なスケールアップにも対応することで、大規模システムの本格導入へとつなげていける体制を整える。※3

 本プロジェクトは、アルカリ水電解システムの商用化後、旭化成において初の受注案件となる。旭化成は、2025年末にAqualyzer™-C3をユバスキュラ市に設置し、2026年上期の本格稼働開始を目指す。今回導入されるAqualyzer™-C3は、1時間あたり約3台分の燃料電池車(FCV)を充填できるグリーン水素を製造可能。現在、旭化成はCefmofおよび複数のパートナー企業と連携して、同システムの製造を進めるとともに、現地での設置工事を推進している。導入後のメンテナンスおよびオペレーションにおいても、旭化成が継続的にCefmofをサポートする予定。

※1 Cefmof設立に関するプレスリリース:https://toyotamobilityfoundation.jp/news/release/0104.html
※2 Cefmof商用水素ステーションに関するプレスリリース:https://cefmof.org/finlands-newest-and-only-h2-refueling-station-to-be-built-in-jyvaskyla/
※3 コンテナ型アルカリ水電解システムに関するプレスリリース:https://www.asahi-kasei.com/jp/news/2024/ze240911.html

関連情報

旭化成 水素関連事業ウェブサイト:https://ak-green-solution.com/