住友化学とJFEエンジ、膜分離法によるCO2回収の実証試験に着手
川崎市浮島処理センターで2026年3月から開始。ごみ焼却処理施設の排ガスから膜分離法でCO2回収は、国内初
住友化学とJFEエンジニアリングは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)から受託している「グリーンイノベーション基金事業/CO2の分離回収等技術開発」(以下「本プロジェクト」)において、独自の膜技術を用いたCO2分離回収の実証試験を共同で行うことを発表した。実証試験は、川崎市環境局が管理・運営するごみ焼却処理施設である川崎市浮島処理センターで、2026年3月から開始する。ごみ焼却処理施設の排ガスから膜分離法を用いてCO2 を回収する試みは、国内初※。

カーボンニュートラル社会の実現に向けて、発電設備や産業設備の排ガスからCO2を分離回収する技術の必要性が高まる中、中規模排出源であるごみ焼却処理施設や小規模工場への導入に向けては、設備の小型化・低コスト化という課題がある。住友化学は、22年5月よりNEDOから受託している本プロジェクトで、株式会社OOYOO(ウーユー)(以下、「OOYOO」)と共同で分離膜を用いた低圧・低濃度のCO2分離回収の低コスト化技術開発に取り組んできた。これまでに実機サイズの分離膜エレメントの製造、および複数のエレメントを組み合わせたモジュールの製造に成功している。また、ごみ焼却処理施設の設計・調達・建設・運営で多数の実績を持ち、エネルギープラントや橋梁・鋼構造などの社会インフラを幅広く手掛ける総合エンジニアリング会社のJFEエンジニアリングは、25年4月から本プロジェクトに参画している。
今回両社で行う実証試験では、住友化学は、OOYOOと共同で開発したCO2分離膜を使用した膜モジュールの組み立て加工や分離プロセスの基礎設計を行い、ごみ燃焼排ガスのような10%以下の低濃度CO₂を含有する排ガスから低エネルギーでCO2を分離回収できるシステムを提供する。JFEエンジニアリングは、CO2分離回収プロセスの詳細設計に加え、CO2分離回収システムを組み込むことが可能なCO2分離回収試験設備の設計・据付・運用を行う。本設備を廃棄物処理のカーボンニュートラル実現を目指している川崎市浮島処理センターに導入し、26年3月から運転を開始する。
※CO2分離膜を用いたごみ焼却処理施設での実証試験について。2025年8月19日発表時点。住友化学調べ