JSEと川崎重工、世界最大40,000 ㎥型液化水素運搬船の造船契約締結

川崎重工の坂出工場(香川県坂出市)で建造、液化水素の荷役実証、国際間の海上輸送を模した外洋条件下での実証試験を 2030 年度までに実施

 日本水素エネルギー(以下「JSE」) と、川崎重工業(以下「川崎重工」)は、世界最大となる40,000㎥型液化水素運搬船の造船契約をこのほど締結した。本船は、川崎重工の坂出工場(香川県坂出市)で建造される。JSE が事業主体として進めている、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業※1「液化水素サプライチェーンの商用化実証」(以下、「商用化実証」)において、基地と船間での液化水素の荷役実証、ならびに国際間の海上輸送を模した外洋条件下での実証試験を 2030 年度までに実施する。

40,000m3 型液化水素運搬船(イメージ)
40,000㎥ 型液化水素運搬船(イメージ)

 川崎重工は、2021 年に世界に先駆けて 1,250㎥型液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」を建造するとともに、液化水素の荷役実証ターミナル「Hy touch 神戸」を建設し、2022 年 2 月には、HySTRA※2 による日豪間で液化水素を海上輸送・荷役するパイロット実証※3 に世界で初めて成功した。本船は、川崎重工が 2030 年代の世界における水素需要に応えるべく開発・建造する 40,000㎥ 型の液化水素運搬船で、将来の液化水素サプライチェーンの本格運用に向けた基盤を形成する。
 JSE は、本船と川崎市扇島に建設中の液化水素基地「川崎 LH2 ターミナル」により、国際水素サプライチェーンの商用化に求められる要件(性能、安全性、耐久性、信頼性、経済性等)を確認する商用化実証を通じて、水素の社会実装への歩みを着実に進める。

本船の主な特徴は次の通り。

  1. 合計約 40,000㎥の液化水素用貨物タンクを搭載。外部からの侵入熱により発生するボイルオフガス(BOG)を低減する高性能の断熱システムを採用し、極低温の液化水素の大量輸送を実現。
  2. 推進機関には、従来型の油を燃料とする発電用エンジンに加えて、水素および油を燃料とする発電用二元燃料エンジン※4 を追加搭載した電気推進システムを採用。また、水素ガス圧縮機や水素ガス熱交換器で構成される水素ガス供給システムを搭載し、液化水素用貨物タンクから発生する BOG を船舶の推進用燃料として有効利用することで、液化水素輸送時の二酸化炭素排出削減に寄与する。
  3. 大量の液化水素の荷役を実現する貨物運用システムを搭載。また、陸上設備から船内の液化水素用タンクまで、極低温のまま効率的かつ安全に移送するために、真空二重配管を採用している。
  4. 液化水素の比重が軽いことを考慮した船型および喫水とすることで必要な推進馬力を小さくし、推進効率を向上。
  5. 液化水素/水素ガスに係る本船の水素燃焼システム、燃料供給システムおよび貨物運用システムに対するリスク評価を実施し、適切な安全対策を施すことにより、液化水素に起因するリスクが乗員、環境、構造強度、船の健全性に与える影響を排除し、安全性を確保。

    主要目

    • 全長: 約 250.00 m
    • 幅:(型) 35.00 m
    • 深さ:(型) 20.00 m
    • 夏期満載喫水: 8.50 m
    • 貨物タンク容積: 約 40,000 ㎥
    • 推進機関: ディーゼル発電/水素発電・電気推進
    • 航海速力: 約 18.0 ノット
    • 船級: 日本海事協会(NK)
    • 船籍: 日本

    ※1 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業(https://green-innovation.nedo.go.jp/project/hydrogen-supply-chain/
    ※2 HySTRA:技術研究組合 CO2 フリー水素サプライチェーン推進機構。CO2フリー水素サプライチェーンの構築および商用化に向けて、褐炭を有効利用した水素製造から、輸送、貯蔵、利用に至るまでの技術確立と実証を主目的として、岩谷産業、川崎重工、シェルジャパン、J パワーの 4 社で設立。その後、丸紅、ENEOS、川崎汽船が参画。現在は岩谷産業、川崎重工により構成されている。(https://www.hystra.or.jp/
    ※3 NEDO の「未利用褐炭由来水素大規模海上輸送サプライチェーン構築実証事業」として実施(https://www.nedo.go.jp/content/100950550.pdf
    ※4 NEDO 助成事業「グリーンイノベーション基金事業/次世代船舶の開発/水素燃料船の開発/舶用水素エンジンおよび MHFS の開発」にて開発する水素/油二元燃料エンジン(https://green-innovation.nedo.go.jp/project/development-next-generation-vessels/progress/