エア・ウォーターと東洋炭素株式会社(代表取締役会長兼社長兼 CEO 近藤 尚孝、以下「東洋炭素」)および南海化学株式会社(代表取締役社長執行役員 菅野 秀夫、以下「南海化学」)の 3 社は、これまでエア・ウォーターが単独で事業運営を行ってきた熱膨張性黒鉛(TEG:Thermal Expandable Graphite)事業を3 社の合弁事業とし、5月12日、合弁会社設立契約を締結した。
熱膨張性黒鉛(TEG)は、天然の鱗片状黒鉛に硫酸を用いた層間化合物処理を施し、熱による膨張特性を与えた特殊黒鉛製品であり、国内では唯一、エア・ウォーターが製造を行っている。
加熱によって容積が膨張する特性を有することから、さまざまな形状に圧縮成形することが容易であり、熱や腐食に強く、高い気密性も保てる素材として、自動車用エンジンのガスケットや化学プラントのパッキンなどのシール部品材料として使用される。
また、膨張前の熱膨張性黒鉛(TEG)をゴムや樹脂等の可燃性物質に混合すると、火災時に膨張することで断熱層を形成し、燃焼が広がるのを抑制する効果があることから、断熱材などの建築材料や飛行機のシート材料向けの難燃剤としても使用される。
現在、エア・ウォーターは、日本製鉄株式会社和歌山製鉄所の構内で熱膨張性黒鉛(TEG)の製造を行っているが、生産体制の効率化と新たな用途開発が今後の事業成長のための課題となっていた。
製造技術とノウハウを有する「エア・ウォーター」、熱膨張性黒鉛(TEG)の最大ユーザーであり、さまざまな特殊黒鉛製品に豊富な技術とノウハウを有する「東洋炭素」、製造に不可欠な廃酸リサイクル処理設備を有する「南海化学」の 3 社が緊密に連携することによって、これらの課題を解決し、熱膨張性黒鉛(TEG)事業のさらなる成長を図る。
今後、合弁新会社は、和歌山市内において2022 年4 月の完成を目途に新工場を建設し、コスト競争力と安定供給力を兼ね備えた生産体制を構築するとともに、放熱材等の電子材料分野をはじめとした用途開発に取り組む。
合弁会社の概要
- 商号: ATNグラファイト・テクノロジー株式会社
- 所在地: 和歌山市湊1342 番地(エヌシー環境株式会社(南海化学株式会社の子会社)青岸工場内)
- 代表者: 代表取締役社長 江藤 久男
- 設立年月日: 2020 年6 月30 日(予定)
- 事業の概要: 熱膨張性黒鉛(TEG)の製造、販売
- 決算期: 毎年3 月
- 資本の額: 9.8 億円
- 出資比率: エア・ウォーター株式会社 50.5%、東洋炭素株式会社 34.5%、南海化学株式会社 15.0%
- 営業開始時期: 2022 年4 月(予定)
関係当事者の概要
エア・ウォーター株式会社の概要
- 商号: エア・ウォーター株式会社
- 本社所在地: 大阪市中央区南船場2 丁目12 番8 号
- 代表者: 代表取締役会長・CEO 豊田 喜久夫
- 設立年月日: 1929 年9 月24 日
- 資本金: 558 億円
- 事業内容: 産業ガス、ケミカル、医療、エネルギー、農業・食品、物流、海水、エアゾール等の事業
- 売上高: 8,014 億円(連結:2019 年3 月期)
- 従業員数: 15,757 名(連結:2019 年3 月31 日現在)
- 上場証券取引所: 東京証券取引所市場第一部、札幌証券取引所
東洋炭素株式会社の概要
- 商号: 東洋炭素株式会社
- 本社所在地: 大阪市西淀川区竹島5 丁目7 番12 号
- 代表者: 代表取締役会長兼社長兼CEO 近藤 尚孝
- 設立年月日: 1947 年7 月31 日
- 資本金: 79 億円 (2019 年12 月31 日現在)
- 事業内容: 高機能カーボン製品の製造、販売および関連する加工事業
- 売上高: 364 億円(連結:2019 年12 月期)
- 従業員数: 1,700 名(連結:2019 年12 月31 日現在)
- 上場証券取引所: 東京証券取引所市場第一部
南海化学株式会社の概要
- 商号: 南海化学株式会社
- 本社所在地: 大阪市西区南堀江1 丁目12 番19 号
- 代表者: 代表取締役 社長執行役員 菅野 秀夫
- 設立年月日: 1951 年6 月26 日
- 資本金: 4 億円(2019 年3 月31 日現在)
- 事業内容: 無機薬品、有機ファインケミカル、農薬、水処理剤等の製造、販売
- 売上高: 146 億円(単体:2019 年3 月31 日)
- 従業員数: 111 名(単体:2019 年3 月31 日現在)