大阪ガスとUISがAIによる異常予兆検知システムを開発、システム構築サービスの提供開始

未経験のトラブルの早期検知、ユーザー自身でのAIの再学習が可能

 大阪ガス株式会社(本社:大阪府大阪市、社長:藤原 正隆)と株式会社宇部情報システム(本社:山口県宇部市、社長:辰己 尚久、以下「UIS」)は、人工知能(以下「AI」)により過去に経験がない異常予兆を早期に検知するシステム(以下「本AIシステム」)を開発した。UISは2022年4月1日より、対象装置に合わせた本AIシステム構築サービスの提供*1を開始する。

 大阪ガス小会社の大阪ガスリキッド株式会社(本社:大阪府大阪市、社長:多田 進一)では、工業用のユーザー向けに、高性能な触媒技術を活用して都市ガスから高純度の水素を製造する装置「HYSERVE」の設置と保守メンテナンスを組み合わせたイニシャルレスのサービスを展開し、すでに2020年4月より同装置において、本AIシステムによる異常予兆検知を導入(8か所14台)している。これにより、保全メンテナンスの改善が図られている。

 これまで、AIによる異常予兆検知は、過去に経験したトラブル時の異常データを学習させることで、同様のトラブルの予兆を検知することが一般的だった。

 一方、本AIシステムでは、AIに正常時の製造運転データを学習させ、そこから外れることで異常予兆を検知するため、過去に経験したことがないトラブルを検知できる。また、トラブル時の異常データが十分に得られないという課題も解決できる。

 本AIシステムは、リアルタイムの製造運転データの状態・傾向を監視し、異常予兆を検知すると通知するもので、従来の上下限アラート*2では検知が難しかったいつもと違う動き(異常予兆)を早期に検知できるようになり、装置の緊急停止などによる損失を未然に回避できる。

 また、異常予兆を監視することで、従来の事後保全*3や時間基準保全*4から、計画的な状態基準保全*5へ移行でき、保全業務の効率化、保全費用の削減に繋がるとしている。

 さらに、装置のオーバーホール*6や経年によるAIモデルの精度低下を防止するため、従来はシステムエンジニアが最新のデータでAIモデルを再学習する必要があったが、本AIシステムでは、顧客ユーザー自らが再学習できるようになり、コスト削減と迅速なシステム更新を実現した。

 2022年4月1日より、UISは本AIシステムの構築サービス「SAILESS(仮称)」の提供を開始する。対象装置に合わせたAIシステムを構築することで、多種多様な装置に適用できるとしており、特に、製造業における各種機械装置や反応装置などへの展開を期待する。

 Daigasグループでは今後も、AIなどのデジタル技術やデータ活用などによりデジタルトランスフォーメーションを推進し、暮らしとビジネスの“さらなる進化”の役に立つ企業グループを目指すとしている。

*1:システム構築に関する相談・問合せは受付中(問合せ先:0836(22)0112)

*2:データが予め設定した上下限の管理値を逸脱した際に、自動発信する仕組み

*3:機械や装置の故障や不具合が生じてから行う保全

*4:不具合が生じる前に計画的に行う方法で、一定期間経った部品を交換する保全

*5:不具合が生じる前に計画的に行う方法で、劣化の進み具合に応じて交換する保全

*6:装置を部品単位まで分解して清掃・再組み立てを行い、新品時の性能状態に戻す作業

 異常予兆検知のイメージ

  • UISにて、対象装置の正常時の製造運転データの特徴を分析・AIの学習を行い、対象装置に合わせた本AIシステムを構築し、顧客に納品
  • 本AIシステム(検知機能)がリアルタイムの製造運転データの状態・傾向を監視、異常予兆を検知すると通知
異常予兆検知のイメージ

再学習のイメージ

  • 顧客ユーザー自らが、本AIシステムに新しい正常時の製造運転データを入力し、再学習・更新
再学習のイメージ

導入メリット

(1)異常予兆の早期検知による損失回避

  • 既存の上下限アラートよりも早期に異常を検知。緊急停止を回避し損失防止
異常予兆の早期検知による損失回避

(2)異常予兆の監視による保全費用の削減

  • 製造運転データから算出される異常度(装置状態)を監視することで、事後保全・時間基準保全から計画的な状態基準保全が可能となり、保全業務の改善、保全費用の削減に貢献
異常予兆の監視による保全費用の削減

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