天然ガス供給会社「甲賀エナジー株式会社」が竣工

　天然ガス供給会社「甲賀エナジー株式会社」(本社:滋賀県甲賀市、社長:加藤泰平〔岩谷産業株式会社、取締役〕)が5月30日竣工し、本格的な稼働を開始した。同社は、簡易ガス事業者から一般ガス事業者(参考2)へ移行する甲賀協同ガス株式会社に、天然ガスを卸供給するとともに工業用大口需要家向けへの直接供給を行う(別紙1)。今回のように、ガス供給インフラを建設、保有する新会社を設立し天然ガスを卸供給するのは、全国でも初めての取り組み。

 

　甲賀エナジー株式会社は岩谷産業、関西電力株式会社(本店:大阪、社長:森 詳介、資本金:4,893億円)、甲賀協同ガス株式会社(本社:滋賀県甲賀市、社長:中村 暎一郎、資本金:2億円)の3社の共同出資により、平成17年7月1日に設立され、既に平成19年1月より直接供給を開始しているほか、卸供給を含めた本格供給開始へ向けて準備を進めてきた。

　同事業におけるLNG供給は、岩谷産業が関西電力の堺LNGセンターからローリーで　輸送したLNGを、甲賀エナジーのサテライト基地で気化し、基幹導管を利用して行う。このため、供給区域内にサテライト基地および導管を含め、供給に必要な設備の建設を行ってきたが、今回、これらの工事がすべて完了し本格的に供給を開始できる体制が整い、竣工となった。これにより、工業用の大口の顧客へは基幹導管を用いて直接供給を、家庭用・商業用の顧客へはエリア内にある2ヶ所の整圧器を通じて、甲賀協同ガスへ卸供給を行う、現在のところ、直接供給で年間約12,000トン、卸供給で年間約3,000トンの供給を予定する。

　これまでLNGの供給は、既存の都市ガス事業者による導管での供給が一般的だったが、規制緩和を背景にした法改正により、各エネルギー間の垣根が低くなり、競合業界からの相互参入が進んできている。このような供給サイドの環境変化と、環境を重視する需要家サイドのニーズから、近年、LNG供給はこれまでにない様々な方法(※1)が確立されてきた。このような状況下、岩谷産業では、クリーンエネルギー供給および、地理的要因や、顧客の要望に合わせた柔軟なエネルギー供給の観点から、従来のLPG事業に加え、同じガス体エネルギーで同様にCO2排出量の少ないLNGの供給にも積極的に取り組んできた。今回の取り組みは低温ガス供給の物流や貯蔵などに多くの経験をもつ、岩谷産業ならではの取り組みとして、LNG供給における新たな可能性を提案する意味でも非常に大きな一歩となる。

　現在、エリア内には100KLのLNG貯蔵タンクを3基設けているが、今後の更なる安定供給を目指し、平成20年頃には増設を予定。また3社がこれまでに培ってきた事業ノウハウを生かし、顧客満足を追求するとともに、より快適で効率的な供給に努めるとしてる。
 

※1:LNG供給方法
1.サテライト供給：使用者の供給地区内にローリーで輸送されるLNGの受入、貯蔵、気化のできる設備を設置し、供給を行う方法。
2.託送供給　　　：都市ガス会社等所有のガス配管を利用し、大口顧客へ向け、ガスを供給する方法
3.卸供給　　　　：一般ガス事業者等の非需要家へローリー等でガスを卸売りする方法


■会社概要
商号　　: 甲賀エナジー株式会社
設立日 　: 平成17年7月1日
本社所在地 : 滋賀県甲賀市水口町ひのきが丘12番地

社長　　: 加藤　泰平
資本金 　: 355百万円(岩谷産業(株) 56%、関西電力(株) 34%、甲賀協同ガス(株) 10%)
事業内 容:　　   1.都市ガスの製造、供給及び販売
　　　　　　　　2.ガス供給設備の設計、施工及び管理
　　　　　　　　3.ガス機器・設備の販売、レンタル、リース、設置及び保守管理
　　　　　　　　4.都市ガス供給事業に関する技術指導及びコンサルティング
　　　　　　　　5.前各号に付帯または関連する一切の業務


■保有設備概要
サテライト基地
LNGタンク　　：100KL貯槽　 3基
空気式気化器　 ：1,500m3/h　 4基
温水式気化器　 ：3,000m3/h　 2基
熱量調整設備　 ：付臭設備、導管　他