世界初、350℃の高耐熱性能を有する半導体製造装置用Oリングを開発

 エア・ウォーターと、エア・ウォーター子会社でOリング等のシール材を製造・販売するエア・ウォーター・マッハ(本社:長野県松本市、代表取締役社長:都築 康彦)は、Oリング業界では世界で初めて、350℃の高耐熱性能を有するパーフルオロエラストマー(FFKM)製Oリングの開発に成功し、この新材料・新製法を用いた半導体製造装置用Oリングの販売を開始する。製造・販売元となるエア・ウォーター・マッハにおいて、2018年9 月からサンプル供給を開始し、2019 年1 月から量産を開始する。

 エア・ウォーター・マッハは、各種産業機械等のシール材として使用される「Oリング」の総合メーカー。Oリングの材料となり得るゴムの特性は、弾性に優れ、圧縮永久歪がよく、耐摩耗性に富み、耐熱性に優れ、適用される液体や気体に侵されることなく、寿命が長いことにある。しかしながら、これら全ての条件を満たす材料は存在しないため、Oリングの使用用途に応じた材料を選択する必要がある。特に、半導体製造装置に使用されるOリングは、各種プラズマに曝されるなど、過酷な化学環境の下で使用されるため、高い耐熱性、耐薬品性、耐プラズマ性が求められる。
 エア・ウォーター・マッハは、パーフルオロエラストマー(FFKM)を材料とする高機能Oリングを得意とする製造・加工メーカーで、R.Pororoca(ポロロッカ)」のテクニカル・ブランドで半導体製造装置用Oリングの製造・販売を行っている。今回、①ポリマー材の選定、②新たな硬化材の導入、③新製法・新評価技術の採用を構成要素とする“新製造システム”によって、350℃の高耐熱性能を有するパーフルオロエラストマー(FFKM)製Oリングの開発に成功した。

 現在、世界で市販されている超高温用のOリングでは、325℃前後がその耐熱性能の目安とされているが、近年、半導体プロセスの高度な微細化が進むにつれ、半導体製造装置のシール材には更に高い耐熱性能が要求されるようになっている。新たに開発したOリングは、最大350℃の耐熱性能を有し、且つ、現在、関連市場からの要求度が高い 300℃の長期連続使用下(1 ヵ月間)においても、Oリングとしての基本特性である圧縮性能や力学的強度等を保ち、安定したシール性能を発揮することから、高い耐熱性能が要求されるドライエッチングやALD(原子層堆積)の排気系シール材に適している。
 新たに開発したOリングを使用することによって、超高温域の使用環境下であってもOリングのシール性能が低下する変形、崩壊、クラック等の発生が大幅に抑制されることから、Oリングの交換に要するメンテンス頻度の削減(設備稼働率の向上)が進み、半導体製造コストの大幅な低減に貢献する。

【エア・ウォーター・マッハ株式会社の概要】
設立 : 1969 年4月
本社 : 長野県松本市梓川倭4009 番地
資本金 : 2 億9,995 万円
代表者 : 代表取締役社長 都築 康彦
事業内容 : 工業用ゴム製品および樹脂製品の製造販売等
工場 : 本社工場(長野県松本市)、大連工場(中国遼寧省大連市)、福建工場(中国福建省福清市)
売上高 : 100 億円(2018 年3 月期・連結)
従業員数 : 260 名(2018 年3 月31 日現在)
株主 : エア・ウォーター株式会社 100%