「イワタニ水素エネルギーフォーラム 東京」開催、安倍首相「水素社会実現目指す」
第13回となる「イワタニ水素エネルギーフォーラム 東京」が4月15日、「水素社会実現に向けた国内外の最新動向」をテーマに東京・港区の東京プリンスホテル「鳳凰の間」で開催され、会場満席となる873人が参加した。冒頭、安倍晋三内閣総理大臣がビデオレターで出席者に対し「脱炭素社会の実現には次世代エネルギーである水素の活用が何よりも重要」と述べ、「オールジャパンで世界に先駆けた水素社会の実現を目指す」と挨拶した。
続いて、岩谷産業の谷本光博代表取締役社長執行役員が、「水素エネルギー社会実現に向けた動きはより一層加速する。岩谷産業では今年3月末までに23ヵ所のステーションを立ち上げ、2020年度までに新たに30ヵ所を建設する。先週9日に開所した、大阪伊丹空港の水素ステーションを皮切りに愛知・熱田、新潟、さらに和歌山に水素ステーションがオープンする予定。来年の東京オリンピック・パラリンピックでは、是非とも聖火に水素を使っていただけるよう提案をしている」と開会の辞を述べた。
この後、日中ハイレベル経済対話への出席のため、フォーラムへの参加が叶わなかった世耕弘成経済産業大臣がビデオレターで挨拶し、「水素は非連続なイノベーションを実現するための重要分野のひとつ。今年度の水素向け政府予算を昨年度比で1・5倍と大幅に増額し630億円を投じる。FCVの普及と水素ステーションの整備が重要であり、そのため官民一体となった戦略的整備、規制改革、技術開発をさらに強力に進める。 東京オリンピック・パラリンピックまでには、水素ステーションの無人セルフ充填を実現する」とした。
フォーラムでは、東京大学大学院工学系研究科の中野義昭教授が「太陽光水素に基づく持続可能グローバルエネルギーシステム」、トヨタ・モーター・ノース・アメリカのクレイグ・スコット先端技術グループ企業戦略企画部長が「Toyota Fuel Cell Vision」、日本水素ステーションネットワーク合同会社の菅原英喜社長が「我が国の水素ステーション整備とJHyM」のそれぞれのテーマで特別講演を行った。
クレイグ・スコット氏は北米でのトヨタの燃料電池自動車への取り組みを紹介し、「Project PORTAL」と呼ばれる燃料電池搭載のクラス8大型トラックの環境負荷低減実証や、大型トラック燃料電池車の水素需要による水素低価格化と一般乗用FCV量産による燃料電池セルスタックコストダウンのシナジー効果などを取り上げて、将来的な水素によるエネルギー・エコシステムについて説明した。