白金-タングステン固溶合金の水電気分解による水素発生反応で、世界最高レベルの高性能化を達成

京都大学 北川宏 理学研究科教授と小林大哉 日本曹達研究員らの研究グループ

 京都大学と日本曹達は、新たに白金とタングステンの固溶合金ナノ粒子(白金-タングステン固溶合金)の合成に成功し、この白金-タングステン固溶合金を用いた水の電気分解による水素発生反応(Hydrogen evolution reaction(HER))において、触媒活性の世界最高レベルの高性能化を達成した。

 HERは白金原子上におけるプロトン(水素イオン)の還元反応と、それに続く吸着水素原子間の結合反応によって、水から水素ガスを発生する反応であり、化石燃料に代わるクリーン燃料の水素の製造方法として極めて重要な技術となる。HERにおいて、白金は最も高活性な元素であることが知られているが、白金の地殻存在量は極めて低く、かつ高価なため、白金を用いた触媒には更なる効率化が求められている。

 今回開発した白金-タングステンの新規な固溶合金は、10 mA/cm2(ミリアンペア毎平方センチメートル)の電流密度に必要な過電圧が、従来の白金単体の触媒と比較して7割程度でよく、高効率な水素発生触媒であることが明らかとなった。さらに、単位白金質量当たりの水素発生効率が白金よりも3.6倍高く、性能が劇的に向上することを確認した。

過電圧が加えられた白金―タングステン固溶合金ナノ粒子から、水素ガスが発生するイメージ図
(銀色=白金原子、緑色=タングステン原子)。
水素発生反応の活性サイトは、タングステン原子近傍の薄青色の白金原子。

 本研究成果は、2020年9月30日に、国際学術誌「Journal of the American Chemical Society」のオンライン版に掲載された。