エア・ウォーターがバイオベンチャーと「バイオコハク酸」の商用生産に向けた研究開発を開始

GEIと研究開発契約を締結、脱炭素・資源循環型社会の実現に向け環境に配慮した生産・プロセス技術を構築

 エア・ウォーターは「バイオコハク酸」の事業創出に向けて、2022 年2 月28 日、公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)発のバイオベンチャー Green Earth Institute 株式会社(以下、GEI)と研究開発契約を締結し、商用生産に向けた研究開発を本格的に開始する。

 コハク酸は食品添加物の他、工業用途でも幅広く使用され、最近ではコロナ下での巣ごもりにより入浴剤用途も含めて需要が増加している。さらに、環境問題対応素材である生分解性樹脂の原料としても使用され、全世界の市場規模は約 1.5 億ドル※1、2027 年にかけての年平均予想成長率は約 6〜7%※2と年々需要量が増加している。

 一方、現在製造されているコハク酸は、その大部分が石油を原料とした石油化学製造プロセスで生産されていることから、バイオプロセスにより製造するバイオコハク酸の拡大が望まれている。

 エア・ウォーターグループのエア・ウォーター・パフォーマンスケミカル(株)は、コハク酸の国内トップメーカーとして、石油系コハク酸の製造・販売に長年携わっており、脱炭素社会・資源循環型社会の実現に向けて、バイオコハク酸のラインアップ化など環境に配慮した生産技術・プロセス技術の構築に取り組んでいる。

 GEI は、微生物を使ってバイオマスから化学品を生産する「バイオリファイナリー技術」を活用したバイオ化学品の開発に取り組み、アミノ酸や樹脂原料など数多くの製品を商用化段階へと進めた実績があり、バイオ化学品の事業化に関する知見を蓄積してきた。

 エア・ウォーターは、GEI が有するバイオリファイナリー技術に着目して2021 年6 月、同社に出資※3。バイオコハク酸の商用生産に向けてGEI と協議を重ね、今回、商用生産に必要となる菌体改良・製造プロセスの開発について同社と研究開発契約を締結した。

 本開発において、GEI はRITE と共に高生産性を有する菌体と、最適な発酵プロセスの開発を進め、量産化検討によりバイオコハク酸の商用生産にかかるコスト低減を目指す。

 エア・ウォーターはエア・ウォーター・パフォーマンスケミカルで長年培ったコハク酸事業の知見を最大限に活かし、バイオコハク酸の事業化に向けた検討を推進。今後も環境問題対応素材の開発や、ケミカルリサイクルなど環境ビジネスへの進出を図るとともに、脱炭素社会・資源循環型社会に対応した事業への変革を加速する。

※1・2:GEI 調べ(各種調査レポート等に基づく)

※3:2021 年6 月11 日付 エア・ウォーターニュースリリース「RITE 発のバイオベンチャー Green Earth Institute 株式会社に出資」

https://www.awi.co.jp/ja/business/news/news-8313908006665049162.html