エア・ウォーターが2030年度CO2排出量削減目標を上方修正
気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に基づく情報開示
エア・ウォーターは、2030年度におけるCO2排出量の削減目標を従来の「2013年度比15%削減」から「2020年度比30%削減」へと上方修正した。また、あわせて「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に基づく気候変動関連の情報をWebサイト上で開示した。
エア・ウォーターグループは、サステナブルビジョンにおいて2050年にグループが目指す姿として、「地球、社会との共生により循環型社会を実現する」ことを掲げており、2021年10月には、「エア・ウォーターグループ環境ビジョン2050」を制定した。この環境ビジョンでは、グループが目指す循環型社会を「脱炭素社会」「資源循環型社会」「人と自然の共存社会」と定め、2050年までに自社の事業活動による負の影響をゼロにするだけでなく、顧客や社会にプラスの環境価値を提供していくことを目指している。
特に、その中で掲げている脱炭素社会の実現に向けて、2050年までに自社の事業活動におけるカーボンニュートラルの実現とともに、サプライチェーン全体でも脱炭素化も目指す。さらに、技術革新への不断の取り組みや水素、再生可能エネルギーの利活用などを通じて社会のカーボンニュートラルの実現に貢献していくことを掲げた。
今回、環境ビジョンの制定を契機に、2030年度CO2排出量の削減目標を、従来目標である2013年度比15%削減から、2020年度比30%削減へ引き上げる。本目標は2013年度比では、CO2排出量37%の削減となり、従来目標に対して22%の上方修正となる。なお、本目標におけるCO2排出量の算定は、GHGプロトコル※1に則して算定し、自社による温室効果ガスの直接排出量(Scope1)に他社から供給された電気などのエネルギー使用に伴う間接排出量(Scope2)を加えたものを対象範囲とする。
エア・ウォーターグループは、この2030年度の目標達成に向けて、①エネルギー使用量の削減、②エネルギーの脱炭素化、③生産プロセスの改革、④技術開発、⑤経営の効率化(グループ会社の再編等)を取り組みの方針として、低炭素な物流事業の構築、生産工程で使用されるエネルギーの低炭素化、製塩事業における石炭発電の中止、省エネ設備等への投資を含む省エネルギー活動の推進、再生可能エネルギーの活用や自社製品の省資源・省エネルギー化の促進、資源循環の推進などに取り組む。
また、エア・ウォーターは、2021年8月に金融安定理事会により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言※2への賛同を表明するとともに、「TCFDコンソーシアム」に参画している。今回、TCFD提言において開示が推奨されている気候変動のリスク及び機会に関する「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」について、Webサイトにおいて情報開示を行った。
エア・ウォーターグループは、引き続き、脱炭素社会の実現に向けた取り組みをより一層強化するとともに、気候変動に関する情報開示を積極的に進めるとしている。
※1:GHG(温室効果ガス)の算定と報告の国際基準。排出される段階に応じたそれぞれの排出量の算定方法がScope1、2、3として定められている。
※2:G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するために設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」を指す。TCFDは2017年6月に最終報告書を公表し、企業等に対し気候変動関連のリスク及び機会に関する項目について開示することを推奨している。