エア・ウォーターがドライアイススノー精密洗浄装置「QuickSnow®」でリチウムイオン電池向けの新用途を開発
リチウムイオン電池用電極を製造する際の塗膜パターンの形成
エア・ウォーターとエア・ウォーター・ベルパール株式会社(代表取締役社長:茨木 敏)は、液化炭酸ガスを使ったドライアイススノー精密洗浄装置”QuickSnow”の新たな用途開発を共同で行い、リチウムイオン電池用電極を製造する際の塗膜パターンの形成方法を開発した。
エア・ウォーターは、脱炭素社会の進展に伴う自動車の電動化に伴い、国内の電池関連産業が拡大し、産業ガスの需要も大きく伸長するとの認識の下、2021 年4 月には電池サプライチェーン協議会※に加入するなど、技術・営業の両面でリチウムイオン製造時のソリューション提案を進めている。
”QuickSnow”は、液化炭酸ガスから生成したドライアイス微粒子を高速で洗浄対象物に衝突させ、製品上の異物を洗浄するドライ洗浄装置。基板など被洗浄物へのダメージも小さく微細部の洗浄に好適であり、これまで、スマートフォン向け部品などエレクトロニクス産業を中心に提案を進め、累計465 台の販売実績を有する。
今回、リチウムイオン電池用の電極材や部材を製造・販売するエア・ウォーター・ベルパールとともに、電池産業向けにドライ洗浄の用途開発を行い、リチウムイオン電池用電極を製造する際の塗膜パターンの形成において、安価かつ高精度に活用できる可能性を見出した。
今後、さらなる機能開発を進めるとともに、高効率な電極製造を必要とする顧客に向けてドライ洗浄装置の導入を提案し、自動車・電池業界のニーズに応える。
技術的な特長
リチウムイオン電池の製造においては、正極(+電極)・負極(-電極)を作り出すため、様々な材料を金属箔の基板に塗布する工程が欠かせない。電極パターンのうち集電部の形成に際しては、間隔を空けて塗布(間欠塗工)するか、不要な部分を掻き取り等で除去することが一般的だが、この際、電極パターンの輪郭が粗く、不均一や不整な形になってしまう課題があった。
今回の開発では、”Quick Snow”の噴射ノズルからドライアイス微粒子を含むガスを吹き付けることにより、乾燥した塗膜の一部を除去して、より高精度に塗膜パターンを形成できる可能性を見出しました。な
お、2021 年12 月に本開発に関して特許を出願した。
(参考)ドライアイススノー精密洗浄装置 “Quick Snow”
“QuickSnow”は、 液化炭酸ガスから「ドライアイススノー」と呼ぶドライアイス微粒子をつくり、噴射ノズルから高速で精密部品や基板に衝突させ、パーティクル(ミクロン単位の微細なチリ・ホコリ)や有機物を洗浄する装置。ドライアイス微粒子が洗浄対象物に衝突すると同時に、体積が約800 倍に気化膨張する作用によってパーティクルをはじき飛ばす。
これまでの納入実績
- モバイル部品(ガラスパネル、樹脂フイルム、電子部品)=294台
- インクジェット部品=23
- HDD 主幹部品=19
- LED、有機 EL=17
- フイルム製造ローラー=4
- 自動車関連=7
- イメージセンサー組立(CMOS , CCD)=3
- その他=98
- 合計=465
※電池サプライチェーン協議会とは、脱炭素社会実現に向けて電池サプライチェーンの国際標準化や電池エコシステム構築等の活動をすることを目的に、2021 年4 月1 日に設立された一般社団法人。