九州大学・福岡市・JCCLが、CO₂分離・回収装置と材料の製品化に成功

既存プロセスに比べ最大4分の1程度のコストでCO2 回収可能

 九州大学発スタートアップの株式会社JCCL(本社:福岡市西区)は、CO₂分離・回収装置の製品化に成功した。製品化されたのは、CO₂分離膜性能評価装置「VSS1」と固体吸収剤によるCO₂回収装置「VPSA1」。

 CO2 の脱着に減圧蒸気を効果的に用いることで省エネルギーなCO2 回収が可能。分離材料との組み合わせで既存プロセスに比べ最大4分の1程度のコストでCO2 を回収可能(JCCL 調べ)。また、九州大学工学研究院の星野友教授のチームが開発した材料及び装置の特許及び技術をJCCLからライセンス可能。現在、国際特許を含む全 36 件の特許を出願中又は取得済み。

減圧蒸気スイープ型膜分離性能評価装置(VSS1)

 CO₂分離膜に、調湿されたCO₂含有ガスを流し、透過側を減圧、蒸気供給することで膜の性能を評価する装置。透過側に流す減圧蒸気の供給量や相対湿度を自動制御し、濃度13%のCO2 を1ヶ月以上安定して97%以上に濃縮できることを確認済み。DACや排ガスからのCO2回収のために自社で開発した分離膜の性能評価や、CO2回収装置の設計に活用可能。

減圧蒸気スイープ型膜分離性能評価装置(VSS1)モデル図
減圧蒸気スイープ型膜分離性能評価装置(VSS1)モデル図

減圧蒸気スイング型CO₂回収装置(VPSA1)

 調湿されたCO₂含有ガスを固体吸収剤に供給してCO₂を吸収させ、相対湿度が自動制御された減圧蒸気を定量供給することで1日2kg程度のCO₂を97%以上に濃縮・回収できる装置。自社で開発した吸収剤の性能評価や小規模・低コストなCO2回収装置設計に活用可能。

減圧蒸気スイング型CO₂回収装置(VPSA1)モデル図
減圧蒸気スイング型CO₂回収装置(VPSA1)モデル図

今回の製品化に至るまでの経緯

  • 2020年12月 株式会社日本炭素循環ラボ(現 株式会社JCCL)設立
  • 2022年8月  JCCLがVCから1億円の資金調達を実施
  • 2023年3月  JCCLがVCから2億円の資金調達を実施(累計3億円)
  • 2024年5月 CO₂を低コストに回収可能な装置及び材料の販売開始

※リリース資料「九州大学×福岡市×株式会社JCCL CO2分離・回収のための装置及び材料の製品化に成功!」補足資料つき(PDF)
https://jccl.jp/wp-content/uploads/2024/05/b5b9d0d66a6a4e204bfc71b2168a961e.pdf