東洋ガラス千葉工場、大型ガラス溶融窯1基に酸素燃焼方式を国内初導入
溶融窯1基あたりのGHG排出量を約20%削減
東洋製罐グループホールディングスの連結子会社、東洋ガラス株式会社(以下「東洋ガラス」)は、2025年12月に予定する千葉工場ガラス溶融窯1基の大規模修繕にあたり、燃焼方式を空気燃焼から酸素燃焼に変更する。一日当たりの生産能力が200tを超えるガラスびん用大型ガラス溶融窯に酸素燃焼方式を導入するのは国内初。
国内のガラスびん用大型溶融窯は空気燃焼方式だが、ガラス溶融の燃焼で使用する空気には約80%の窒素が含まれ、この窒素はガラス溶融の伝熱に寄与せずに排ガスとなっている。そのため、窒素を含む空気燃焼には無駄なエネルギーが必要となり、温室効果ガス(GHG)削減に対して大きな阻害要因だった。
今回、従来の生産量を維持しつつ、窒素を含まないガラスへの伝熱効率が高い酸素燃焼方式の導入で、溶融窯1基あたりのGHG排出量が約20%削減されることが見込まれる。同時に空気燃焼窯で排熱ガスの蓄熱に用いられるれんがも不要となるため、省資源・廃棄物の観点からも環境に配慮した溶融窯の構築が可能となる。
一方で、酸素を供給する設備および稼働に要する費用が必要となるが、東洋製罐グループホールディングスでは、企業の責任となるGHGの削減に対して、顧客からの理解を得ながら最初の一歩を進める決断をしたとしている。
ガラスびんは内容物の保護に加え、3Rすべてに対応した環境に優れた容器だが、東洋ガラスはこの酸素燃焼導入を足掛かりにGHG削減の技術開発を進めることで、さらに環境負荷の少ないガラスびん製造を目指す。
グループは、社会や地球環境について長期的な視点で考え、すべてのステークホルダーに提供する価値が最大化するよう、2050年を見据えた「長期経営ビジョン2050『未来をつつむ』」を2021年5月に策定した。グループの目指す姿・ありたい姿を「世界中のあらゆる人びとを安心・安全・豊かさでつつむ『くらしのプラットフォーム』」と位置づけ、「多様性が受け入れられ、一人ひとりがより自分らしく生活できる社会の実現」「地球環境に負荷を与えずに、人々の幸せなくらしがずっと未来へ受け継がれる社会の実現」を目指し、事業活動を推進する。