エア・ウォーター 2025年3月期第2四半期連結決算(IFRS)
売上収益、営業利益ともに2Q累計で過去最高を更新
エア・ウォーターの2025年3月期第2四半期連結決算(IFRS)は、売上収益5079億6200万円(前年同期比6.5%増)、営業利益319億8200万円(同12.7%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益201億5600万円(同16.4%増)となった。売上収益と営業利益は第2四半期累計として過去最高を更新した。通期業績予想と年間配当金予想に変更はない。
成長領域と位置付けるデジタル・半導体関連事業やインド、北米における海外事業に注力。国内事業においては、グループの総合力を活かした新規顧客の獲得や販路拡大、合理化・効率化によるコスト削減と価格マネジメントの徹底により、収益力の強化に取り組んだ。また、カーボンニュートラル分野での新事業として家畜ふん尿由来の「液化バイオメタン」の販売を開始した。
当期間の業績は、一部の事業で半導体市況の停滞の影響を受けた一方で、これまで実施してきた各種産業ガスの価格改定や海外における産業ガス事業やアグリ分野における取り組みなどが順調に進展し、全てのセグメントで増益となった。
連結セグメント別業績
デジタル&インダストリー
セグメント売上収益は1648億7600万円(前年同期比1.3%減)、営業利益は143億3100万円(同6.4%増)。
国内でデジタル・半導体産業における製造拠点の増強が進む中、新規取引先の開拓や大型プラント増強などの設備投資を実行しガス需要の獲得を図るとともに、特殊ケミカルの供給やガス精製装置の販売といったエレクトロニクス関連事業の拡大に取り組んだ。また、前年度から継続して各種ガスの価格改定や製造・供給体制のさらなる効率化を推進した。
売上収益は、鉄鋼向けオンサイトガス供給の販売単価が下落したことに加え、機能材料分野においてシール材の販売や基礎化学品の販売が低迷したことにより、産業ガスの価格改定による増収分を打ち消し、前年同期を下回った。一方、営業利益は、前年度から実施してきた産業ガスの価格マネジメントの効果が発現したことに加え、産業ガスの拡販やプラント稼働における生産性向上、大手半導体工場向けのガス供給が堅調に推移したことで前年同期を上回った。
エネルギーソリューション
セグメント売上収益は278億7200万円(前年同期比10.3%増)、営業利益は7億7900万円(同46.2%増)。
低・脱炭素需要が高まる中、顧客に対して重油からLNGへの燃料転換を積極的に進めたほか、家畜ふん尿由来の液化バイオメタンなど、地域の未利用資源を活用したカーボンニュートラルに寄与するエネルギー供給を開始。また、北海道を中心とした家庭向けLPガス供給は、IoT技術を活用した配送の効率化を図るとともに、販売店の商権取得により顧客獲得に努めるなど、収益力の強化に取り組んだ。
売上収益は、LPガスが輸入価格に連動し、顧客への販売価格が上昇するとともに販売量も増え、またLNGの販売量増やLNG関連機器の拡販も寄与したことから前年同期比で大きく伸長した。営業利益については、前年同期に計上したLPガスの在庫評価損の影響もなくなり増益。
ヘルス&セーフティー
セグメント売上収益は1145億6100万円(前年同期比6.2%増)、営業利益は60億1000万円(同4.5%増)。
医療用ガスの供給基盤を通じて医療現場のニーズを汲み取り、医療機器の開発、手術室などの病院設備工事の直接受注の推進、病院業務のアウトソーシング受託などに注力した。また、日常のヘルスケアに関わる在宅医療、デンタル、衛生材料、注射針、エアゾール・化粧品といったコンシューマーにより近い事業の体制強化を進めた。さらに、防災分野では、データセンター向け工事案件の獲得に努めた。
注射針やエアゾールの受託製造が前年同期を下回った影響があったが、一酸化窒素吸入療法の症例数増加や介護用シャワー入浴装置の販売が好調に推移し、防災分野でもデータセンター向け工事案件が堅調に進展したほか、医療機器や衛生材料での価格改定効果やサービス事業におけるコスト低減により、売上収益、営業利益とも前年同期を上回った。
アグリ&フーズ
セグメント売上収益は890億2900万円(前年同期比11.2%増)、営業利益は44億3400万円(同15.1%増)。
持続可能な農業と食料安定供給システムの実現を見据え、スマート農業・鮮度保持関連の技術開発の強化や農産品の取扱量拡大に取り組んだ。さらに、自社の物流基盤を活用し、他社との協業による原料野菜の調達や青果流通・加工におけるサプライチェーンプラットフォーム構築を進めた。
野菜・果実系飲料等の受託製造が増加したことで好調に推移。また冷凍ブロッコリーや北海道産馬鈴薯等の販売が堅調に推移したことに加え、九州で青果仲卸事業を展開する丸進青果㈱を前連結会計年度に新規連結したことにより、売上収益、営業利益ともに前年同期を上回った。
その他の事業
セグメント売上収益は1116億2200万円(前年同期比15.4%増)、営業利益は55億1900万円(同38.0%増)。
物流事業は、一般貨物及び食品輸送が堅調に推移したことに加え、受託料金適正化の取り組みやデジタル化による業務効率化を進めたことで、売上収益、営業利益とも堅調に推移。
㈱日本海水は、業務用塩の販売量が回復し、2023年8月に営業運転を開始した苅田バイオマス発電所が安定的に稼働しており、水処理工事関連も好調に推移したことで売上収益、営業利益ともに前年同期を上回った。
電力事業は、小名浜バイオマス発電所でPKS価格の落ち着きやコスト低減の取り組みが寄与したことで、営業利益は前年同期を上回った。
グローバル&エンジニアリング事業においては、北米市場では低温技術を活用した機器エンジニアリング事業とともに産業ガス事業の拡大を図っており、前年度に新規連結した産業ガス関連2社が収益に大きく貢献した。インド市場は、経済成長に伴い産業ガス需要が拡大しており、シリンダーガス充填工場を新設するなど事業基盤を強化し、鉄鋼向けオンサイト供給、ローリー・シリンダーによるガス供給とも堅調に推移した。また、高出力UPS(無停電電源装置)分野は、昨今のデータセンター需要の高まり、及び半導体メーカーの設備投資の増加を背景にアジア、北米などで受注を伸ばし、好調に推移。これらの結果、売上収益、営業利益ともに前年同期を上回った。