エア・ウォーター、産業・医療ガスを2025年1月1日出荷分から値上げ
対象製品はヘリウム、液化炭酸ガス・ドライアイス、アルゴン・エルナックス
エア・ウォーターは2025年1月1日出荷分より、ヘリウム、液化炭酸ガス・ドライアイス、アルゴン・エルナックスの値上げを行う。値上げ幅はヘリウムが現行価格に対し10~20%以上、液化炭酸ガス・ドライアイス20~30%以上、アルゴン・エルナックス15%以上。エア・ウォーターでは、これまでも、産業・医療ガス製品の調達・製造・物流等に対する合理化を進めコストダウンに努めてきたが、外部環境の変動によるコストの上昇は企業努力で吸収できる範囲を超えており、改めて価格改定を行うとしている。
ヘリウムの対象製品は、(産業用・医療用)ヘリウムガス関連製品[シリンダー、カードル、トレーラー、液体ヘリウム、混合ガス、特殊ガス]。エア・ウォーターグループは、ヘリウムガスの安定供給を目的として調達先の分散化(北米および中東)と設備増強を進め、エレクトロニクス、ヘルスケア、航空宇宙産業等へのサプライチェーン強靭化に取り組んでいる。2022年7月以降、世界的な需給逼迫とエネルギーコストの急激な上昇により、ヘリウムガスの価格改定を実施したが、新規調達先との契約価格の上昇、円安の進行、物価上昇等によって、調達・製造・物流コストが上昇し続けているとして価格改定を行う。
液化炭酸ガス・ドライアイスの対象製品は、(産業用・医療用)液化炭酸ガスとドライアイス[ローリー、シリンダー、LGC、混合ガス等]。グループでは、主に化学コンビナート内の石油精製やアンモニア製造プロセス等で発生する二酸化炭素(炭酸ガス)を原料として液化炭酸ガス及びドライアイスを製造する。近年、カーボンニュートラルへの対応や世界的な需給変動により、こうした製造拠点の統廃合や稼働率の低下が進行し、原料調達が極めて不安定な状況が続いている。グループは製造拠点の新設を検討するだけでなく、既存拠点における原料炭酸ガスの増量対応、さらには海外からの調達を行っているが、これに伴う製造・調達・輸送コストが大幅に増加している。
アルゴン・エルナックスの対象製品は、アルゴン、エルナックス[ローリー、シリンダー、LGC、混合ガス等]。グループは、主に鉄鋼メーカー向けに設置している大型の空気分離装置により、空気中に約1%しか存在しないアルゴン・エルナックスを効率的に製造している。近年、世界的な鉄鋼需要の減少、カーボンニュートラルへの対応、国内製鉄所の再編等によって、アルゴン・エルナックスの製造可能量も減少。製造面でのさらなる効率化や輸送面での中継拠点の新設等を進めているが、これに伴う製造・輸送コストが増加している。さらに、今後は海外からの輸入も予定しており、調達コストの増加が見込まれる。