エア・ウォーター、製造時CO₂排出が実質ゼロの「グリーンメニュー」を製品化

2025年度上期に「グリーン産業ガス(酸素・窒素)」を製造・販売

 エア・ウォーターグループは、カーボンニュートラル化の実現に向けて、製造時におけるCO₂排出量を実質ゼロにした「グリーンメニュー」を製品ラインアップする。第一弾として、2025年度上期中を目途に、グループ内のバイオマス発電施設から創出される環境価値を活用し、「グリーン産業ガス(酸素・窒素)」を製造・販売する。

グリーンメニューの拡充について

 エア・ウォーターグループは、自社の温室効果ガス(GHG)排出量削減(責務)と社会のカーボンニュートラル化の実現(貢献)を積極的に進めるとともに、脱炭素社会への転換過程を新たなマーケットとして捉え、グループシナジーを最大限活用した事業拡大を進めている。

 こうした中、グループは、環境価値として認定できるバイオマス発電所を複数自社保有している強みを活かし、製造時に発生する電力由来のCO₂をマスバランス方式でオフセットすることなどにより、グリーンメニューを製品ラインアップに加える。その後、需要に応じて各種製品・サービスのカーボンニュートラル化を積極的に進め、社会の温室効果ガス排出削減に貢献する。

 マスバランス方式とは、バイオマス原料やリサイクル原料などの使用によって削減した製造拠点のCO₂排出削減効果を、特定の製品に割り当てることができる仕組み。第三者機関による検証を受審することで、透明性・信頼性のある仕組みを構築する。

発電所名運転開始発電能力
日本海水 赤穂第1バイオマス発電所(兵庫県赤穂市)2015年4月約1.65万kW
日本海水 赤穂第2バイオマス発電所(兵庫県赤穂市)2021年1月約3万kW
エア・ウォーター小名浜バイオマス電力(福島県いわき市)2021年4月約7.5万kW
日本海水TTS苅田パワー木質バイオマス発電所(福岡県京都郡苅田町)2023年8月約5万kW
エア・ウォーターグループの再生可能エネルギーによる電力事業(大規模発電所)

「グリーン産業ガス(酸素・窒素)」について

 産業ガスの製造には、原料空気の圧縮や冷却などのプロセスで大量の電力を使用しており、グループ全GHG排出量のうち電力に由来するGHG排出は約80%に相当する。このため、産業ガス製品のグリーン化には、購入電力のグリーン化(再生可能エネルギー由来電力か非化石証書の購入)が求められるが、この手段が限られていることが課題だった。

 今回、エア・ウォーターが製造・販売を行う「グリーン産業ガス」は、製造時に排出されるCO₂を実質ゼロにした「グリーンメニュー」と位置付けている。グループが保有するバイオマス発電所から創出される環境価値を、産業ガス製造時に発生する電力由来のCO₂にマスバランス方式でオフセットした。

 従来の産業ガス製品の代替としてグリーン産業ガスを使用することで、顧客の「スコープ3」の削減に貢献する。ガスそのものの品質は従来製品と変わりなく、普段通り使用することができる。2025年度上期中よりエア・ウォーター枚方工場で製造する産業ガス製品を対象とし、その後、需要に応じて対象工場を拡大する。

  • 対象製品:液化酸素、液化窒素(タンクローリーによる供給)
  • 供給時期:2025年上期中(予定)
  • 製造場所:エア・ウォーター株式会社 枚方工場
  • 供給先:エア・ウォーターNV株式会社 尼崎工場
「グリーン産業ガス(酸素・窒素)」を製造・販売